2019年4月28日、天気晴れ。
モロッコの歩き方
④フェズを20時半に出発する夜行バスに乗ってモロッコの大地を南下した昨晩。窓の外は真っ暗ですが、バスの中からでも見える星たちの輝き(かがやき)に胸が高鳴りました。そしてココで海外のバス旅の注意点を一つ。夜のバス移動は寒いんです。これまでアフリカで何度も夜行バスに乗っているのでもちろんこのことはわかってました。が、これから向かうところは砂漠(さばく)!ということはきっと温かいから大丈夫だろう…という考えが甘かった。夜はどこだって寒いです。とりわけ砂漠の夜は特に冷えるんだったということを走るバスの中で思い出したのでした。バックパックの中にはダウンジャケットや寝袋(ねぶくろ)が入っていたものの、預けてしまったからどうしようもありません。この経験をもう二度と忘れないぞ!!と誓う(ちかう)寒い夜をなんとかしのぎ、たどり着いた場所が⑤メルズーガという村です。
⑤メルズーガ
メルズーガはモロッコ南東部にある小さな村で、アルジェリアとの国境から約50kmの場所にあります。 村はエルグシェビ砂丘に近いことで知られており、このため多くの観光客がメルズーガをツアーなどで訪れます。 メルズーガは「砂漠のテーマパーク」と呼ばれ、エルグシェビは「砂のワンダーランド」と称されています。【Wikipedia英文翻訳より】
あたりは真っ暗。それもそのはずでなんとメルズーガに到着したのは朝の5時!予定より1時間も早く着いてしまったのは良かったのか悪かったのか。バスを降りる場所でこの町でお世話になる人にピックアップしてもらうことになっていたのですがまだ姿は見えず。そのまま路上に座って待つことに。…犬がウロウロ。…宿の人は迎え(むかえ)にくるよね?…もし来なかったら…。肌寒さと暗さで不安がつのります。が、今日の一日の行程は昨日『フェズの歩き方』を作ってくれたステキなオーナーの紹介してくれた友人がアレンジしてくれることになっていました。「彼はいいやつだ!」とオススメしてくれた人なので、絶対に来てくれるはず!!そう信じて待っていると、バスの到着予定時刻ピッタリにやって来てくれたその彼、ユセフさん。もうこれだけで心から感謝でした。助かった〜!!
到着したのはオシャレな宿でした。しかし、今回泊まる場所はこのホテルではありません。夕方の砂漠のラクダツアーに参加するまでの待機場所を用意してくれていたんです。ただ、着いたらそこに良い感じのソファーがあり…。気づいたらそこで1時間以上気持ちよく寝て(ねて)しまっていました。夜行バスではあまり眠れなかったので。そして申し訳ない感じで目覚めるとユセフさんが一言。
「朝ごはんを食べますか?たまごとトマトのタジンでいいですか?」
えっ?あっ、もちろんいいです。
「飲み物はコーヒーでいいですか?」
あっ、はい。お願いします。
宿泊客でもない自分にこんな親切な対応をしてくれる彼にも驚きのですが、それ以上のサプライズ。実は今書いたユセフさんとの会話。これ、英語を翻訳したわけではありません。実際に彼と交わした日本語でのやり取りなんです!これまでカタコトの日本語を話すレストランの店員さんには会ったことがありましたが、ユセフさんは明らかに日本語を理解して流暢(りゅうちょう)に話しているんです!!この秘密はブログの後半で紹介しますね。肝心(かんじん)の朝食のタジン。ふんわりとしたたまごにパクチーがアクセントに効いていて。ココロにしみる味でした。1時間の仮眠と美味しい朝食で一気に体力が回復したところで、メルズーガを満喫(まんきつ)する一日がスタートしました!!
メルズーガはモロッコの南東に位置する村です。これまでのモロッコ北部の旅の写真を見返すと山の緑が印象的ですが、この村の色は大地の黄色。ここは世界で一番大きな砂漠であるサハラ砂漠の中にある村になります。
私の中でモロッコといえばこのサハラ砂漠のイメージが全てでした。今回モロッコ北部にはアトラス山脈の豊かな緑があることを知れたのは大きな学びです。こうやって実際に旅することでアフリカへの理解が深まっていくのが楽しいもの!さぁ、いよいよモロッコ南部!これが砂漠地帯のモロッコになります。
砂漠を巡る村ツアー
午前中はタクシーを貸し切り、ドライバーさんにお願いしてメルズーガの村を回りました。モロッコの代表的な伝統の音楽「グナワ」を聞いたり、
美しい砂漠が一望できる場所に行ったり!
特にサハラ砂漠地帯を移動しながら生活をする「ノマド」の人々の住居は非常に興味深かったです。必要最低限の環境の中にしっかりと生活していくための工夫がたくさん詰めこまれた住居!
中でいっしょにお茶を飲ませてもらい、ついでに砂漠地帯の生活必需品であるターバンも巻いていただきました。暑さや風から顔を守る役割があるとのこと。たしかに、今日一日だけでも顔がかなり日焼けをしました。
ちなみに、ウェルカムドリンク文化があるイスラム教ではミントやスパイスの香るティーを出してくれます。暑いけれどティーはホット。でも美味しく飲めちゃう!これぞスパイスの力。
メルズーガの村を見て感じることは、人と砂漠が共存しているということです。私が2年間生活していたナミビアにも「ナミブ砂漠」という世界最古の砂漠があります。雄大(ゆうだい)な砂漠の感動的な美しさに心がふるえるのですが、ナミブ砂漠付近では人は基本的に生活をしていません。砂漠というのは水は少なく暑い気候のため、当然ですが人が生活するのには適さない環境です。なのでナミブ砂漠は大自然そのものの美しさを味わうというのがメインでした。
対して、モロッコのメルズーガのサハラ砂漠では、人々が家を建てたり、ノマドのように場所を変えたりしながら砂漠と共に生きる姿が見られます。この地に多く住むのはチュニジアの旅でも出会ったベルベルの人々。砂漠の気候に合わせて自分たちの文化や暮らしをつくってきたベルベル人の生きる力強さを感じさせられました。
午前中のメルズーガ観光を終えて夕方まで少しのんびりしている間は、宿でお手伝いをしている男の子2人とソファーに座っておしゃべり。モロッコのことや日本のこと、2人の学校のことなどについて話をしました。2人は15歳。英語の勉強が好きだそうです。将来の夢は左のブライヒムが『サハラ砂漠のガイド』、右のモハメッドが『サハラ砂漠の地理学者』。2人ともこの地元メルズーガが大好きだということがよく伝わってきました。学校では寮生活をしているため土日だけメルズーガに帰ってきてお手伝いしているそうです。明日からはまた30kmはなれた学校で一週間勉強。すごく頼もしい2人に未来を感じました。
日本人旅行者のために
そして先ほども書きましたが、今日はこの人と出会いに本当に感謝です!!彼の名前はユセフさん。本当に日本語がペラペラな彼。会話していても「申し訳ありません」などの絶妙(ぜつみょう)な日本語を正しく使うんです。東京で建築の仕事をしていたことがあり、12年間日本にいたとのこと。実は今回荷物置き&仮眠でお世話になったホテルの経営は彼の仕事ではなく、友人の代わりに手伝ってるだけだというのです。彼の仕事は今でも建築で、今日も村で建設中の建物を見せてくれました。そして彼が手がけるもう一つの事業が日本人を対象にしたツアー会社。…そもそも、なぜ彼は日本に行ったのか!?
「モロッコに来る日本人が、旅行中に困ったり助けを求めてくる姿をよく見ました。だから私は助けたいと思いました。そして日本語を勉強しようと思ったので日本に行きました。」
『日本人にモロッコを安全に旅してほしい』
その思いが彼を動かす原動力になっていることに良い意味で衝撃(しょうげき)を受けました。だれかを助けたい。だれかのためになりたい。こんな風に思って一生懸命日本語を学んで、それを今実際に使って、今日も3組の日本人旅行者のモロッコ旅行のツアーのサポートをしているユセフさん。彼の電話の受け答えはもちろん「もしもし」でした。日本独特の文化もちゃんとわかっているからさすがです。
「メディナは危ないので何かあったら連絡してください。」
ユセフさんにお願いすればモロッコ国内のツアーを組んでもらうことができるだけでなく、困った時に電話をすれば日本語でやさしく教えてくれます。買い物の際の現地の人との難しい交渉も電話越しで対応することもあるとか!
彼の仕事の姿勢に大いに共感するとともにたくさんのことを学ばせてもらいました。出会えてよかった!!ちなみに、彼の会社「HAMADA TRAVEL」は「浜田さんの旅行会社」という意味ではありません。「ハマダ」というのは現地の言葉で黒い砂漠を意味するそうです。これがハマダ!
ちなみに、メルズーガの村付近では、日曜日は電気がとまります。お昼の3時ごろから復旧するのですが、日曜日はATMも使えなくなります。今日はどうしてもお金を降ろす必要があったので、となりの町まで行ってきました。その途中で見つけたのがラクダ注意の標識!今までいろんな動物注意を見てきましたが、これは初めてでした。発見できてラッキー!
ラクダツアー
さぁさぁ、なんかもう自然と人とで心がいっぱいなメルズーガですが、本日のメインイベントはここから!今回ユセフさんにおねがいしてオーガナイズ(イベントの予約や調整のこと)してもらったのがサハラ砂漠をまんきつするためのアクティビティーです。
ラクダに乗ってサハラ砂漠の夕日を見に行ってきました〜!!
砂の丘と書いて「砂丘」といいます。この美しい砂丘は当然ですが人がつくったものではなく、この地に吹く風の力がつくりあげたもの。
自然の偉大な力と、照りつける太陽の輝き(かがやき)が生み出す壮大(そうだい)な景色を、ラクダの背に乗ってゆっくり歩きながら堪能(たんのう)する時間。たまりませんでした。
人生で初めて乗ったラクダ。かしこくてかわいくて乗り心地も最高でした。予想以上に背が高かったので、視点も高くなりサハラ砂漠がより大きく見えた気がします。そして、ラクダがしゃがむ時がスリル満点。ラクダは座る際に前足から曲げるので、ガクンと前のめりになる瞬間(しゅんかん)にドキッとしますが、何回もやっているうちに楽しくなってきます。
残念ながらきれいな夕日は見れず、若干(じゃっかん)の砂嵐にも見まわれましたが、砂漠の新たな一面を肌(はだ)で感じることができたのでよし!
そのあとはこのラクダツアーに参加した全員で夕食を。たくさんの人といっしょにごはんを食べたり、ベルベルの伝統音楽を聞いたりしながら砂漠の夜を過ごしました。メルズーガには日本人の観光客も大変多く訪れるようで、私のことを「日本人!」と呼ぶラクダガイドのお兄ちゃんたち。とても親切でていねいに接してくれる彼らのおかげで、楽しくこのツアーに参加することができました。さらに本当にいろいろな日本語を知っているガイドのお兄さんたち。日本語に興味(きょうみ)をもってくれていることが日本人としてうれしく感じました。そしていっしょにツアーに参加した様々な国から来た人たちも「あなた日本人なの?」から始まり「日本に行ったことがあるよ!」「日本に行きたいんだ!」「あなたが住んでるのはどんなところなの??」という会話で日本に関心を示してくれる方が何人も!自分が日本人であることを改めて認識すると共に、外国の人に対してしっかりと自分の言葉で日本を伝えられるようになることも大事なことだなと考えさせられました。これからこちらの方もがんばっていこうと思います。
サハラ砂漠で過ごす夜。ツアーはまだ明日も続きますが、全て込みで1200ディルハム(約13500円)で手配してくれたユセフさん。心からシュクラン!!
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