モロッコを旅する④ 世界遺産「フェズ」〜巨大迷路の旧市街観光&道案内の注意点〜

2019年4月27日、天気晴れ。(※2025年3月更新)

モロッコを旅する

話は昨日の夜にさかのぼります。
いろいろあったんです実は。
夜10時、③シャウエンから4時間のバス旅を終えてようやく着いたのが④の「フェズ」という街です。
あたりはすでに真っ暗ということで車窓から星空がキレイに見えてすごくウキウキしていたわけですが、夜というのは楽しいことばかりではありません。

街中は街灯がボンヤリと道を照らすわけですが、やはり夜の時間帯に外を歩くということは自分の身を危険にさらしているという認識が大切です。
なのでお金はかかりますがタクシーに乗って安全にホテルを目指すことにしました。
が、走り出してしばらくした時でした。

「ここまでしか行けない。」

えっ、どういうこと!?
となります。
今回予約した宿も大きなメディナ(旧市街)の中にあるので、要は道は細く入り組んでいるんです。
だから車で進めるのはココまでだと。
・・・当然文句を言いたかったのですが、正直もうバス旅でかなり疲れ(つかれ)ていたので

「ハイわかりました(怒)!」

とタクシーを出ました。
もちろん運賃(うんちん)は求めてくるので請求(せいきゅう)された額から100円引いたお金をイラッとしながら渡(わた)しました。
・・・マジかよ、ココから歩くのか・・・

【要注意】メディナ(旧市街)の道案内

便利な時代でiPhoneのGPS機能があるので、道順はわかりますがやはり緊張(きんちょう)します。
まだ昼間の様子を全く知らない街なので完全に未知の場所というのが怖いところ。
でもまぁ歩いて15分程度だからなんとかなるかと思い歩きました。
こういう時は堂々(どうどう)と歩くことが大事。
うん、なんとかなる。
そう思った時でした。

「ホテルを探してるのか?」

前を歩いていたお兄ちゃんに声をかけられます。
この声かけが”お金目当て”だということはすぐにわかりました。
でもまぁ夜だし、無事に宿に着くことが大事だし・・・
特にこっちから「お願いします」と言うことはありませんでしたが、彼が道案内をしようとすることを断ることはしませんでした。
アフリカではお決まりの

「マイフレ~ンド」

という言葉を何度も言ってくる彼と通りを進んでいくと目的のホテルに着きました。
これでようやく一安心。
はい、チップですね。
ということで、今回は先日のタンジェでの経験も考慮(こうりょ)して”気持ち”として20ディルハムを渡しました。
すると

「少なすぎる!200ディルハムだろ!!」

・・・は?
何を言ってるんだ??
20で十分だろ。
しかし

「ノー」

と言う彼。
そんなんじゃダメだと。
そしてこの時私は本当に現金をそんなに持っていなかったんです。
なのでそもそも200ディルハムなんていう大金は無いんだよ!
と言うと

「じゃあ、ATMに行こう」

ふざけているんですか?
暗くなった町でできる限り外を歩きたくなく、ようやく宿の前まで到着したというのに・・・何を言ってるんだとなります。
しかし、そのあとも永遠と続く同じやり取りをしていく中で私のイライラも少しずつ高まりまして、ついに頂点へ。

「わかったよ、じゃあATMに連れてけ!!」

私の変貌(へんぼう)ぶりにアタフタする彼。
彼からのごきげんをうかがう声かけには全く応じずにまっすぐATMへ向かいます。
こうなると完全に低姿勢になるんです。
彼に先ほどまでの勢いは全くありません。
そういうところも気にくわない。

「200ディルハムっていうのは今夜私が泊まる宿の3倍以上の金額なんだぞ!!」
「”マイフレンド”っつうのはお金を払(はら)わないとなれないんだな!!」

言いたいことを全部言ってやりました。
もちろん感謝を全くしていないわけではないんです。
でもこうなるともうこちらの気持ち(チップ)をありがたいと思ってもらえない虚しさ(むなしさ)の方が強くなってしまいます。
その後ATMに到着。
お金をおろし

「やっぱり100ディルハムでいいよ」

と言ってくる彼の言葉を無視して200を渡します。
彼は申し訳なさそうな顔してました。
これが彼にとって少しでも行動を考えるきっかけになればいいかなと。
まぁそんなにうまくいくわけもありませんがね。

ということで、フェズ 到着後のタクシートラブルに道案内の彼とのやり取りでもう叫(さけ)びたくてしかたないくらいに荒れ狂(くる)っていた気持ちを宿Moroccan Dream Hostelで眠ってリセット!
場所が非常に見つけにくく、ここが入り口!?という感じですが、中は快適(かいてき)なドミトリー。
しかも1泊700円!
ぐっすり眠って気持ちも完全復活です。

さぁこのままじゃフェズは終われません。

「ちゃんとこの街をしっかり見たい!!」

ということで本日は朝から行動開始です。
ドミトリーのオーナーさんがものすごく親切な方で、地球の歩き方ならぬ『フェズの歩き方』をバッチリ教えてくれたので、それを元に巨大なフェズの街を歩きまくってきました!!

④フェズ

フェズはアフリカ北西端、モロッコ王国北部の内陸都市。アラビア語では「アル=ファース」。フェスとも表記される。イドリース朝、マリーン朝などのモロッコに存在した過去のイスラム王朝の多くはフェズを首都に定めていた。首都が他の都市に移された時であっても、フェズはモロッコ人にとって特別な都市であり続けている。フェズはラバト、マラケシュ、メクネス、カサブランカといった都市と共にモロッコの観光資源となっている。複雑な構造の旧市街地は迷路にも例えられ、1981年にユネスコの世界遺産に「フェズ旧市街」が登録された。【Wikipediaより】

こんなに人間味がある街はなかなかないかもしれない。
フェズの街を歩いているとそんなことを思いました。
かつてはモロッコの首都、中心地であったここフェズでは街を歩くといたるところで行われている「ものづくり」に目が引かれます。

甘そうなお菓子づくりや伝統的なモロッコの服の縫製(ほうせい)。
羊毛を使った絨毯(じゅうたん)づくり。

彫刻(ちょうこく)による装飾品や墓石づくりに、ヤギ革を使ったレザー製作。

街全体がまるで巨大な工場で、一人一人の仕事によってフェズは動いているのではないかと思わせる熱気に満ちたフェズの街です。

そしてこの街は細い道がアチコチに枝分かれしたリアル巨大迷路!
一度中に入ると抜け出すのがまぁ大変!!

上から見るとこんな感じです。

「もしかしてもう出れないかも!?」

なんて本気で思ってしまうようなスリルさえあります。
この街を巡るときは絶対にスマホの充電をMAXにしておいてください。
ちなみにフェズの街並みが一望できるこちらのスポットは小高い丘の上にある『メリニデスの墓』という場所です。

旧首都だったために歴史的な場所が数多く残るフェズの街。
世界遺産に登録されたフェズ旧市街の観光スポットをいくつか紹介します。

ブー・ジュルード門

壁(かべ)に囲まれたメディナの中に入るための入り口の門がフェズには全部で8つあるそうです。
その中でも特に美しいのがこちら。

ロイヤルパレス

モロッコの王様がフェズの街に来た際に泊まる王宮です。
ここはまぁそれはそれは広い敷地(しきち)に立派な建物がそびえるわけなんですが、何に一番注目したかというとその門!

この模様の面白さにすいこまれてしまいました。
そしてこういう時、私は先生だなぁと思うわけです。
これを算数の図形の授業で使うならどうするかと考えてしまいます。
あるわあるわ様々な図形のオンパレード!
平行や垂直もこの扉(とびら)を使うと楽しく教えられるかも・・・
旅をしていても常に頭の中は先生脳です。

フェズの街で見かけたステキな模様は他にもたくさんあります。
店のテーブルにも、道路に敷き詰め(しきつめ)られたタイルにも、心ときめく幾何学(きかがく)模様。

こういう一つのものにテーマを決めていろいろ発見をしてくい街歩きも楽しいものです。

タンネリ

フェズの旧市街の中にある観光スポットの中でも一番の見所はこちらの「タンネリ」と呼ばれる場所です。
タンネリは皮の染色を行う工場になります。
巨大な絵の具のパレットが屋上にあるようなイメージですね。
が、実はココが非常に入り組んだ道の先の先にあって発見するのがなかなかに難しくなっています。
さらにこれが建物の屋上にあります。
なので、タンネリを見たい場合は近くの建物の屋上に上がります。
が、そこはお土産やさんの集まるエリア。

「そこの階段で上がればタンネリが見えるからウチに来な!」

と店員さんにをかけられて屋上に行けば、そのあとは

「ウチで見たんだから商品を買ってくよね!?」

となるわけです。
商売的にはカンペキです。
お見事!!
あとは買うか買わないかはあなた次第です。

革染職人たちが丁寧(ていねい)かつ豪快(ごうかい)に皮を染める作業はパワフルで熱を感じます。
迫力(はくりょく)満点!
まるで気分は工場見学です。
そして写真で伝えられないのはこの場所の染料独特のニオイ。
強烈なニオイもタンネリの世界観を肌で感じさせてくれます。

お土産屋さんでこのタンネリで染められた革で作られたレザージャケットを着させてもらうことに。
そのやわらかさにビックリ!
着心地バツグンでした。
レザーなのでお値段はお高め。
こちらの皮は主にヤギ皮を使っているそうです。

ちなみにこちら。
スライムではありません。
日向で干された青染めしたヤギの皮。
モロッコの中でも革製品の生産が盛んなフェズです。

フェズの街はどこもかしこもお祭りの屋台のような感じで本当に熱気に満ちてます。
なので自然と財布(さいふ)のヒモもゆるんでしまうので要注意。
美味しそうなニオイのするレストランに自然と足が向いてしまいます。

こちらはモロッコの伝統料理「ハリラ」です。
スパイスの効いたスープに豆とパスタにパクチー。
暑さとつかれた体にしみる味でした。

伝統楽器「ミズマール

最後に紹介するのは楽器屋さんで発見したアラビア感のあるこちらの楽器です。
モロッコの伝統的な楽器として紹介してもらったのが「ミズマール」という縦笛。

その音はあのヘビをコントロールできるのかできないのかわからないアラビアンな音!!
先端(せんたん)の部分がアフリカ北部を代表するオリーブの木で作られているというのもなんかうれしい気分になります。
ということでこちらはお買い上げ!
これで私もヘビ使いに一歩近づきました。

見どころ満載(まんさい)のフェズの街。
モロッコの中でもココが人気の観光地になっている理由は一目瞭然(いちもくりょうぜん)で、今日もたくさんの人で街中がにぎわっていました。
日本からのツアー旅行に参加している団体の方たちも発見。

観光客が多いということは、それだけこの街で買い物や食事をする機会が増え、その分フェズの街にお金が回るということです。
が、光が当たる部分には必ず影ができます。
観光客によってどんどん恵まれていく人がいる一方、恵まれない人もいるわけです。
そういう人はどうするか。
たとえばその一つが”道案内”。

働く場所もなく、売れるものもない人は、何もなくてもできる道案内を商売にするわけです。
ここは巨大迷路の街フェズ。
正直GPSを頼りに歩いていてもまぁ迷います。
そんな観光客にすかさず声をかけるわけです。
正直いい気持ちにはなりません。
今日だって何回声をかけられたことか。
(写真はカタツムリ売りのおじさんです)

「そっちは行き止まりだよ!」

なんていうウソをついてくる人もいました(GPSでわかっていたので)。
当然イヤな気分になります。
が、彼らも彼らなりにお金を稼ごうと行動を起こしていることには違いありません。
この事実に対して「はい、わかりました」と私も素直に納得することはできませんが、忘れないようにしておきたいリアルです。

さぁ、日中のフェズ観光を終えて、夜8時30分。
今日はここから夜行バスに乗って次の街へと向かいます。
200ディルハムで買った南へ470kmほど向かうバスチケット。
到着は明日の朝6時です。
いったいどんな場所にたどり着くのか!?
モロッコの旅はいよいよ後半へと突入します。

DAY14へ続く

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