セネガルを旅する④ 世界遺産「ゴレ島」〜奴隷貿易の歴史を語り継ぐ美しいアートの島観光〜

2019年5月12日、天気晴れ。

セネガルの歩き方

ついにこの時がきてしまった…。昨日の夕方からお腹の調子が悪くなりまして。水か、それとも昨日のお昼ご飯のヤッサプレか。「アフリカ=お腹を壊す」というイメージは強いらしく、旅に出る際には「お腹壊さないようにね~」というメッセージを多くの方にいただきましたが、ついにという感じです。今朝も調子はイマイチ。ですが、お昼頃になってようやく回復してきたかなと。そしてここで頼りになるのが日本の薬です。ちなみに、薬局や病院はアフリカでもどの国にもあります。こちらのイメージは弱いかもしれませんね。なので万が一という時はかけこめばいいのですが、やはり信頼できるのは日本の薬。特に正露丸は旅には欠かせません。今回もこれを飲んで気持ち的に治っていったように思います。他にも風邪薬や食べ過ぎた時のために太田胃散、緊急用の下痢止めなんかも持ってきています。薬に頼るのはあまり良くないかもしれませんが、旅のお守り代わりとしてバックパックに忍ばせておくだけでもものすごい安心感。ということで不調スタートの本日はダカール周辺の海に浮かぶ島にプチ日帰り観光に行ってきます!

ダカール市内バス

まずはダカールのバスに乗車です。時刻表はありませんが本数は多いのでとても使い勝手のいいダカールのバス。番号によってルートが決まっているようですが、その表示も無いので宿のオーナーさんが教えてくれた「3番に乗れ!」を信じて乗車します。

バスは地元の人がたくさん利用するので朝はかなり混み合ます。昨日紹介したド派手な目つきのバスとは違う種類の市内バス。乗車するとバスの真ん中あたりに鉄格子で囲われた窓口があり、その中にいる人に行き先を伝えて料金を払うシステムになっています。約1時間ゆっくりと長い距離を進んでも運賃はたったの50円!※バスのような密閉空間では荷物には細心の注意を。

バスの座席をすごくゆずり合うダカールのみなさん。私にも「座りますか?」と気配りをしてくれたのはビックリ!同じように男性が女性に席をゆずる姿はチュニスの市電でもありました。バスや電車の中にもその国らしさが表れます。

やってきたのは市内の南の方にあるバスの終点。昨日とは違ったダカールの風景が広がり、これまた面白い所にやってきたなと。道路の脇(わき)にズラッとお店が並ぶこの感じ。西の大都会だからといってどこもかしこも高い建物というわけでもありません。地元の人たちでにぎわうローカルな場所もあります。

解体された古い車の部品を扱うお店が並ぶマニアックな通りも。エンジンがゴロゴロと置いてあるのはなかなか迫力のある光景です。

そんな通りを歩きながらたどり着いたダカールのフェリー乗り場。チケット(5200セーファーフラン)を買ってフェリーに乗船です。

ちなみにこのフェリー乗り場に入る際にはパスポート確認がありました。そして20分ほどで到着したのが、ダカールがあるヴェルデ岬の南に浮かぶ小さな島。世界遺産の「ゴレ島」です。

ゴレ島

ゴレ島はセネガル領の島。同国首都ダカールの沖合い約3キロメートルに浮かぶ。

島は東西300メートル、南北900メートル、面積28ヘクタール程度と小さい。セネガルでは最古のイスラム教のモスクも残っている。1815年に統治国だったフランスが廃止するまで、奴隷貿易の拠点として栄えた。かつての奴隷収容所が島内に残っている。【Wikipediaより】

この島を見てすぐに感じたのは町の色づかいが先日訪れたサン=ルイ島によく似ていること。

ゴレ島もサン=ルイ島と同じく奴隷貿易の拠点となった島であり、フランスによって造られた町になります。なので建物の雰囲気は非常によく似ているんです。

違うのはここは完全な島だということ。海で囲まれた美しい島に存在した負の歴史。

ゴレ島は当時の新大陸であったヨーロッパの西の浮かぶアメリカ大陸へ奴隷を送る拠点となりました。新大陸にアフリカの人々を送り、そこで作物の栽培などを行わせていたわけです。

今では機械によって行われる農作業ですが、当時は人的労働力が全て。人々は非常に過酷(かこく)な労働を強制されました。

奴隷の家 (House of Slaves)

「奴隷の家」と呼ばれる建物。2階はフランス軍人たちのスペースで、1階の狭(せま)い空間に何百人という奴隷の人々が収容されていたそうです。そしてこの中央の通路を通って船に詰(つ)め込まれ、アメリカ大陸へと送られました。もちろん片道切符。故郷であるアフリカに帰ってくることは決してありません。

計り知ることの不可能な現実がそこにあったんだなと思います。ですが、それが歴史。過去があったから今がある。非常に考えさせられる人類の歩んできた道のりです。

現在は地元の人々が街中を行き交い生活をする島。子どもたちも元気に遊んでいます。

負の世界遺産

1978年に始まった世界遺産事業。ゴレ島はこの記念すべき最初の12件の内の一つとして登録されました。二度と同じ悲劇を繰り返さないためにという意味合いが込められた「負の世界遺産」として奴隷貿易の歴史を語り継ぐゴレ島はセネガルの観光名所の一つとなっています。

洗濯物が風になびく風景にも平和を感じてしまうのはこの島だからでしょうか。今日もいい天気。

海の向こうには首都ダカールのビル群がハッキリと見えました。

アートの島

そしてやはりこのキレイな町並みに心を奪(うば)われます。自然の緑と海の青、建物のやさしい色合いが見事に合わさるまるでアートのようなゴレ島。

本土とは離れた孤立した島だからこその芸術が発展するのかもしれません。島のいたるところにはアートギャラリーのようなお店がズラリ。

アフリカ布のパッチワークや絵画、色とりどりの砂を使ったサンドアートなど様々な作品が島と一体になって独特な世界観を作り出しています。

負の世界遺産としてだけではなく、観光地としても成長を遂げた現在のゴレ島。本日フェリー乗り場に到着した際、この島を訪れるたくさんの人の数にまぁ驚きました!歴史を知ることができて、ゆったりとした時間も過ごせるこの島は世界中の旅行者の注目を集めています。

国民魚「チョフ」

ということで島にはオシャレなレストランもあちこちに!すぐそこの海でとれた新鮮な魚を使った料理が食べられるということで、これはもう食べるしかありません。お腹の調子は復活した!と言い聞かせ、注文したのは

メニューに「National fish(国民魚)」と書かれていたこちらのセネガルを代表する魚「チョフ」です。身はしっかりと、それでいてフワッとしていて美味しく、付け合わせのトマトのドレッシングの酸味がいい感じのアクセントに。それにしてもアフリカ54ヶ国制覇の旅-第1章-ではどこでも美味しい魚が食べられることに驚いています。肉がメインの南部アフリカに対して、海に面した北&西アフリカの魚文化。やはりアフリカの食も一括(くく)りにはできないなと。異国の地で魚を食べるとどこか安心するのは日本の国民性かもしれません。チョフ、美味しくいただきました!

今日は珍しくデザートも!やはりこれを食べねばと思い、なんとマンゴーをまるまる一つ贅沢(ぜいたく)にいただきました。もうこれは言わずと知れた美味でございます。甘さとトロける柔らかさで口の中がしあわせに。お値段はレストラン価格でもなんと200円ほど。最高です!

伝統楽器「アサラト」

そしてゴレ島に来てからずっと町の中に鳴り響いているのが物売りのお兄さんたちが奏(かな)でる楽器のリズム。マラカスのシャカシャカという音にカンカンとものがぶつかる音が合わさるこの面白い楽器。「アサラト 」という西アフリカの打楽器で、木の実の中に草の種を入れた小さなボールのようなマラカスが2つヒモでつながっています。その楽器の形状を見ただけだと「なんじゃこりゃ?」という感じですが、演奏する姿を見るともう「カッコイイ!!」と誰もが思うはずです。平成世代の懐かしいおもちゃであるハイパーヨーヨーのような目にも留まらぬスピード感と、日本の伝統おもちゃであるけん玉のような洗練されたシンプルさと奥深さが融合されたアサラト 。リズムを奏でるだけでなく楽しむこともできる楽器です。動画で見たい方はこの彼サリウさんの演奏の様子をチェックして見てください。感動しますよ!

ゴレ島をめぐり、のんびりした時間を過ごすことができた本日。最後に一つ。みなさんにも知っておいてほしい事実を書いておきたいと思います。今回のブログで何度か登場した「奴隷(どれい)」という言葉。書くたびに少し苦しい思いがするのが正直なところです。しかし決して目をそらしてはいけない過去の歴史であることも事実。人がモノ(労働力)として扱(あつか)われていた時代が確かにあるのです。

そしてここからが本題。今回このゴレ島を訪れ、様々な歴史的資料や情報にも触れることができました。その中で衝撃だったことがあります。

『Victims of modern forms of slavery』

現代社会にも奴隷的な扱いを受けている人がいるという事実です。しかもその数は世界におよそ4000万人もいるというのです。たとえばしたくもない仕事を強制的にやらされている人々、安い賃金で労働を強いられている人々がまだ世界にはいるという現実。日本にいると全く感じない世界の実情。こういう目に見えない現実に対して自分はいったい何ができるのか。あまり大きな行動は取れませんが、決して他人事にはしたくないなと。

思えば旅が始まって間もなく一ヶ月。今日まで一日も休まず動き続けていることに今さらながら気がつきました。決して無理をしているわけではないのですが、たまにはこういうのんびりする時間もいいなと感じたのでした。

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