2019年5月9日、天気晴れ。
目次
セネガル
セネガル共和国、通称セネガルは、西アフリカ、サハラ砂漠西南端に位置する共和制をとる国家である。北東にモーリタニア、東にマリ、南東にギニア、南にギニアビサウと国境を接している。また、ガンビア川の岸に沿った細長い国土を持つガンビアとも国境を接し、セネガルは同国を陸上から囲んでいる。これによってセネガルの南部のカザマンス地方は、残りの地域から隔てられている。西は大西洋に面し、カーボベルデと海上の国境を接している。領内にはアフリカ大陸最西端で、カーボベルデの国名の由来となっているベルデ岬を抱えている。セネガルの経済的・政治的首都はダカールである。【Wikipediaより】
今日からアフリカ4ヶ国目セネガルの旅が始まります。見てわかるようにモーリタニアと比べるとだいぶ国土は小さく、面積は196190㎢と日本の半分ほどの大きさの国になります。セネガルも国土に砂漠地帯がありますが、南の方は緑もありそうな様子です。昨日国境を超えてすぐに広がった緑からも、自然の変化を感じました。
そして、そんなセネガルで最初に訪れたのは①「サン=ルイ」という街です。セネガルの北西のはじにあるこの街はセネガルの第2の都市であるとともに、ここにある島は世界遺産に登録されています。
①サン=ルイ
サン=ルイは、セネガル共和国北西部に位置する都市。サンルイ州の州都であり、セネガル川の河口に位置する。ウォロフ語では『ンダール』とよばれている。 【Wikipediaより】
サン=ルイと呼ばれる街は大きく二つのエリアに分かれます。一つは川を挟んで東側。こちらが現在の人々のメインの生活圏になります。そして川を挟んで西側。大西洋にガッツリと面した側はいわゆるオールドタウン。その中でもセネガル川が運んだ土砂がたまって真ん中にできた三角州「サン=ルイ島」が世界遺産に登録されています。
世界遺産「サン=ルイ島」
サン=ルイ島は、セネガル北西部のサン=ルイ地方、セネガル川河口に浮かぶ島。大西洋に対面する。 島の中心部には、かつてフランス領西アフリカの首都だった都市サン=ルイがある。この島は、都市サン=ルイの歴史的町並みを主たる理由として、ユネスコの世界遺産に登録されている。【Wikipediaより】
セネガルはかつて「フランス領西アフリカ」と呼ばれるフランスの植民地の一部でした。そしてその政治の中心地となったのがこのサン=ルイです。人々をものとして売買する「奴隷貿易」の拠点として栄え、アフリカの歴史を語る上で非常に重要な場所になります。そのフランスによってつくられたこのサン=ルイ島。その町並みや建物が植民地時代の歴史を語る町として世界遺産に登録されているわけです。
これまで出会ったことのない色づかいの建物やしっかりと区画された道が印象的です。古い町並みや建物を生かしつつ、今はホテルやお土産屋さんが建ち並びます。そのオシャレな景観は観光客からも人気で、海外からもたくさんの人が訪れるこの島。
ここに悲しい奴隷(どれい)の歴史があったことは、正直何も知らず来ると全く感じないだろうと思います。歴史の上に”今”があることはどの国も同じです。いろいろ考えながら散策する中でこの島の歴史を少し感じることができた気がしました。
南国の雰囲気もただようこの島ですが、ここには学校もあり、本土から橋をわたって島にやってくる学生の姿がたくさんあります。島を歩いていると学生服やおそろいのジャージを着ている中高生ぐらいの子たちを何度も見かけました。
大西洋に面した街
そんなサン=ルイの街の一番の見所は一番西側に位置するエリア!サン=ルイ島は町並みを目と心で感じながら散歩するのが楽しいわけですが、地元の活気を感じることができるのは海沿いです。まずは何と言ってもこの島から眺める西側エリアこの光景。
海に面したサン=ルイなので漁業が盛んに行われる漁師の街なのですが、その船のアートな感じに心を奪(うば)われます。
街を走るトラックやバスもおしゃれでカラフル!
そしてすぐそこは大西洋なのですが、この街から抜けで見える海の青がこれまたキレイで。
海風になびく洗濯物がまたいい味を出すんです。街のいたるところが絵になるサン=ルイ!
ちなみに太陽の日差しはモーリタニアほどジリジリとは感じません。風が暑さを和らげてくれているようです。散歩していても汗をそこまでかかないので歩く足が止まりません。
動物と共にある暮らし
とにかく人が多い海沿いのローカルエリア。車も人もたくさん行き交う様子に街のにぎわいを感じます。そして、気になる倉庫のような建物を発見。何だろうなぁと気になったら行ってみる!こういうのが旅の楽しみです。入っちゃダメと言われる場所もありますが、それも行かないとわからないので、とにかく行動することが大事です。
地元の方向けの小さめの市場でした。マーケットに並ぶ肉の種類にも国によって違いがあり、文化を感じます。ちなみに、サン=ルイではいろんな動物を街の中で見かけます。
荷物や人を乗せた車を引っ張る動物はこれまではロバが多かったのですが、サン=ルイの街を走るのは馬です。
そしてこれは奇妙でした。こちらの写真をご覧ください。なぜ君がそこにいるの!?という動物がいるかと思います。これ、置物ではありません。海沿いの街だからといって、ここまで街に馴染(なじ)む姿には驚きました。
まぁでもやっぱり一番多いのはヤギです。この通りにも、あの通りにも!乾燥に強いヤギはどの国にも数多くいますが、サン=ルイのこの密集した感じはなかなかに迫力があります。さらには川でヤギの体を洗う少年たちの姿も見かけました。いろんな動物と人々が生活を共にする様子を見ていると、生きていくということについてもイロイロと考えさせられます。
市場には新鮮な魚も売られていました。海だけでなく川にも面しているサン=ルイなので、これまで見たことのない魚もちらほらと。そしてここで一つ先に言っておくことがあります。ここセネガルも北アフリカの国々と同様でイスラム教がメインの国になりますが、キリスト教の方もいる国になります。なので昨日は一週間以上ぶりにビールを飲むことができました。お酒は厳粛なイスラム教では禁止されています。今日サン=ルイを歩いていると堂々とお酒を売っているお店を街中で発見!これまでとは違う2つの宗教が存在する国の様子の変化を感じました。そんなセネガルなので今はラマダンの期間ですがレストランに入ると地元の人でもお昼ゴハンを食べてる人がいるんです。ちなみに街中では日中は食材やお菓子は売られていますが、食べている人は見かけませんでした。暗黙のマナーなのかもしれません。ということで数日前に断食宣言をしましたが、前言撤回!セネガルは食文化も豊かということでさっそく昼ごはんはこの国の伝統料理をいただくことにしました。
伝統料理「ヤッサポワソン」
スパイスの効いた甘辛たまねぎソース「ヤッサ」。それを骨まで食べれるくらいに揚げられた魚(フランス語でpoisson)にたっぷりとかけたのがセネガルの伝統料理「ヤッサポワソン」です。そしてセネガルは米文化がある国なので、そこにライスがセットでドーン!!これが美味しすぎて食べる手が止まらない最高の組み合わせです。しかもこのボリュームでワンコインでお釣りが30円返ってくるという信じられないお値段!たまりませんでした。
肉、魚、さらに野菜も色とりどりの新鮮なものが売られていて、見ていて楽しいサン=ルイの市場でした。
アフリカ布の変化
歩いていると本当にいろんな”色”に出会うサン=ルイですが、やはりなんといってもこちら!これまでも各国ならではのアフリカ布と出会ってきましたが、暑さもあってかセネガル以北の国では薄い生地の布が主流でした。そこについにお目見えした独特の柄と色づかいが見る者の心を踊らせるしっかりした厚めの生地のザ・アフリカ布!これはもう見ているだけで楽しいんです。
布があればテーラーさんもいます。ここセネガルでもミシンを扱うのは男性の仕事のようです。街のあちこちに小さな工場がたくさんありました。
街行く女性の中にも、このザ・アフリカ布の帽子やドレスで全身をコーディネートする方の姿を見かけるようになりました。宗教や地理的環境に合わせて、アフリカ布は各地で独自の流行や文化を創り出しているのかもしれません。
サン=ルイの子どもたち
歩いているだけで本当に楽しく、ビタミンカラーでとても元気になれる街サン=ルイですが、本日何よりも私を笑顔にしてくれたのはこの街にいるたくさんの子どもたちでした。
とにかく子どもたちがたくさんいて、私を見かけるとワーとかキャーとか言いながらみんな近づいてきます。アジア人が面白いのかもしれません。
笑顔で手を振ってくる子や、通りすがりに「ボンジュール!」と挨拶をしてくれる子。小さい子はもちろん、小学生や中学生ぐらいの子からもたくさん声をかけられました。
小さい子たちは突然手を握ってくるので最初はドキッとしますが、それがまた嬉しくも感じました。
たくさんの笑顔をありがとう!メルシーボークー!!
ちなみにここはサッカー大国セネガル!ちょっとした広場があるとそこにはサッカーに白熱する少年たちがいました。アフリカではサッカーはその国を測ることのできる一つの文化になっているなと感じます。
これだけ書くと平和な感じですが、ちゃんと事実も書いておきます。中には「お金をちょうだい!」と言ってくる子どもたちもいます。少なくはありません。観光客の目線からはなかなか感じることの難しい貧富の差ですが、この街にもそれはしっかりと存在していました。
ということで大変な国境越えをしたのがもう遠い過去かのように感じられるくらい、サン=ルイの街で心が元気で満たされた本日。1日の最後を海に沈む夕日で締めくくれるのは大西洋に面した街の特権です。このオレンジに勝るオレンジはこの世には存在しない気がします。ジーッと眺めながら感じる海風がまた気持ちいいんです。
そしてあたりが暗くなると日中は全く見かけなかった街中での飲食が一気に解禁!揚げドーナツのワゴンのとなりで売られていたのはスパイスの効いたコーヒーのような飲み物です。ジワーッと口の中に広がるスパイスの香りがクセになります。ちゃんとプラスチックのコップが用意してあるところがすごいのですが、なんと持ち帰りはビニールの袋に入れるのが面白いポイント!汁物を袋に入れるというのは日本人からすると驚きですが、モロッコの料理屋さんでもパンにつける豆のスープを入れていました(香味油とローリエ的な葉っぱもいっしょに)。本当に”所変われば品変わる”です!
久々の街歩きにテンションが上がり気付けば1日中歩いていたので、日の入りと同時に訪れた疲労感。そういえばつい昨日まで砂漠の国にいたんだよなぁとあとでふり返ると不思議な気分になったセネガル初日でした。
2023年4月23日の朝日新聞を読んで、ロシアに変わるガスの調達先としてアフリカが欧米から注目されていること、その中でもピンポイントでゼネガルのサンルイについて書かれている記事を読み、「ゼネガルってどんなとこ?サンルイはフランス植民地時代の建築物が多く残っていて素敵な場所のように書いてあるけど、どんなとこだろう?」と思い、検索してこちらのブログに辿り着きました。
わかりやすい地図や、背景が記載されていて、綺麗な写真と、心のこもった文章で、知識のない私にも優しく、実際に現地を歩いたような気分になれました。
世界にはこういう土地があって、歴史があって、人が生活していて、今も先進国から視線を向けられている様子をより鮮明に感じることができました。複雑な気持ちにもなりました。ありがとうございました。
資源をアフリカに求める欧米諸国。
地元の漁師の皆さんは漁業被害を訴えるも、国益を考えると選択の余地があるセネガル。なかなか考えさせられる事態ですよね。教えていただいて朝日新聞の記事を読ませていただきました。ありがとうございます。
サンルイは今も思い出に残る人々の活気と美しい街並みが印象的な町です。もう一度訪れたいなぁ。