レソトを旅する③ 国の象徴『バソトハット』のルーツがある町 「タバ・ボシウ」〜首都から日帰りパワースポット巡り〜

2019年11月3日、天気晴れ。

レソトの首都マセル。首都や最大都市(人口が多い、経済の中心地等でその国の一番発展した都市が首都以外の場合)がこれほどまでに居心地がいい国は本当に珍しいと思います。基本的に一番栄えている街というのは人混みがあってガチャガチャしたり、その分気を引き締めないといけなかったりで何かと神経(しんけい)を使いながらの旅を強いられることが多いのですが、マセルは本当に不思議なくらいに快適な首都です。何がそうさせているのか。アフリカで数少ない王国であることや、この南アフリカに囲まれた山奥に位置するという特別さが自国への誇り(ほこり)を育んでいるのかもしれません。私たちの国は素晴らしい!その素晴らしい我が国へようこそ!!マセルの人々を見ていると溢れる(あふれる)自国愛を感じます。

本日はレソト国内初移動!まずはマセルのバス乗り場へと向かいます。そして、物は試しということで久しぶりにタクシーを利用してみることに。レソトのタクシーはこの黄色いサイドラインが目印です。そこまで高くないと聞いていたので利用してみると街の中心地からバス乗り場の約2kmで20マルティ(約150円)でした。良心的な値段設定です!

バス乗り場に着くとしっかりとしたお兄さんが行き先を聞いてきて目的のバスを案内してくれます。各バスにはフロントウィンドウに紙で行き先が表示されているので安心です!ちなみにレソトのバスも満席になるまで出発しないシステムです。

今日は8時半ごろにバス停に着きましたが、その時点で私が一番乗りでした。私はバス利用者が少ない日曜日に移動する場合はバス乗り場に早めに行くようにしています。朝の一本を乗り過ごすとそのあとずっと待ちぼうけ!なんてこともあるので念には念をです。ちなみに、早く行くと助手席に座れるというのも嬉しいポイント!万が一の安全面的に助手席を控える(ひかえる)というのも一理ありますが、私はやっぱり一番前の席で景色を楽しみたい派なので、ここが特等席です。

さぁ、出発まで時間があったのでバス乗り場を歩くとすぐに気になるエリアを発見!なんと朝一から豚肉を焼いているではありませんか!!いやー、もうこれを見てはいサヨウナラはできません。我慢(がまん)できずに朝からパップです!さすがに普通盛りは食べきれないと判断してパップだけ半分にしてもらいましたが、まぁ意外にペロッといけちゃうもんでした。ここも付け合わせは豚肉の薄切りにキャベツということで、これがレソトのパップの基本スタイルのようでした。味付けは店によって塩加減などに違いがでるので、好みのパップレストランを見つけるのも南部アフリカ旅の楽しみの一つです。ちなみにここはすこーしキャベツがしょっぱかったですが、肉の味は抜群(ばつぐん)でした!朝からお腹いっぱいになったところで

待つこと1時間半ほどでバスは無事満席になり出発しました!今日向かうのはマセルからおよそ20kmほどしか離れていない場所になります。この移動のお値段も先ほどのタクシーと同じく20マルティということで、そう考えるとタクシーはこの国の中ではやはり割高なんだなと思うわけですが、全体を通して移動費が安いのは非常にありがたいことです。

そしてレソトでよく見かけるのが羊(ひつじ)です!羊の毛であるウールがレソトの特産品の一つになっているそうです。「山」の「羊」と書くヤギ(山羊)はアフリカでもよく見かけますが、羊がいる国というのは比較的(ひかくてき)珍しいです。

ということでバスで1時間ほどでやって来たのは思わずなんだここは!?と目を疑う何もないような町「タバ・ボシウ」です。

②国の象徴「バソトハット」のルーツがある町 タバ・ボシウ

タバ・ボシウ

レソト西部にある丘陵。首都マセルの東約20キロメートルに位置する。ソト族のモシュシュ1世が要塞を築き、ズールー族、英国人、ボーア人と戦った。同国の独立の象徴とされる。【Wikipediaより】

景色だけをみるとここがかつて王様のいた土地だとは思えないわけですが、このそびえるタバボシウという名のテーブルマウンテンが要塞(ようさい)の役割を果たしていたわけです。地の利というやつで、高いところに陣(じん)を構えるというのは戦いの基本のようです。写真は乗合バスの終点になります。

ただ、実は私は大きな間違いをしていました。私の中で「タバボシウ」はこの山ではなかったんです。バスが到着した場所が目的の山からだいぶ遠かったのでなぜだろう?とは思っていたのですが、どーも様子がおかしいぞとなり、歩いていたお姉さんたちに教えてもらいました。

「どれがタバボシウですか?」

これがタバボシウだよ〜!ということで、やはりこちらがタバボシウだったんだと。じゃあじゃあ、あの山はなんなんですか!?と私がこの町に訪れた目的の山を指差して聞きました。

「あれはキロアン!」

キロアン山 (Mount Qiloane)

The profile of Mount Qiloane, the legendary conical mountain close to Thaba Bosiu, and described by Masupha as Mother and Father, inspired the traditional Basotho Hat called mokorotlo. Qiloane Hill is crowned by a pillar of Cave Sandstone some 100 feet high. It is about 15 feet broad on top, and is composed of three immense steps gradually tapering to a point. Elevation of the hilltop is 5,640 ft (1,719 m) and is located at coordinates 29°20′53″S 27°41′10″E.【Wikipediaより】

実は正確にはキロアンという発音ではありませんでした。レソトの言語である「ソト語」や南部の特定の言語では「Q」はクリックサウンドという音になります。卓球の音マネをする時に舌を使って出す音です。わかりますかね?なので、「キロアン」とは聞こえず、「(クリック音のあとに)ロアン」と聞こえます。何度聞いてもクリックサウンドを含んだ(ふくんだ)言語は興味深いです。このブログでは「キロアン」と表記させてもらいますのでご了承下さい。

さぁこのキロアン山!なぜ私がわざわざこの山を目当てにここまでやって来たのかというと、その山の独特の形にあります。この山の形、どこかで見たことがありませんか?レソトに来てから何度も目にするあれです。そう、こちら!

レソトのシンボルである帽子「バソトハット」の形にそっくり!それもそのはずで、実はこのキロアン山の形を模(も)してつくられたのがバソトハットなんです。どうしてこの山が選ばれたのか、この山の形から帽子を思いついたのか等は宿のお姉さんに聞いてもわからないとのことでした。が、確かにキロアン山がモデルになっていることはこの山を見れば一目瞭然(いちもくりょうぜん)です。

ということで今日の目的はこのキロアン山を見ること!でしたが、お姉さんたちに聞くと登れるとのことだったのでまずは歩いて麓(ふもと)まで行くことにしました。ショートカットをして道なき道を進むのがなんとも冒険チックで気分が上がります。

遠くにあるかと思いきやゆっくり歩いて40分ほどでキロアン山に到着しました!近くで見るとバソトハット感は薄れて(うすれて)しまいますが、迫力(はくりょく)はなかなかのものです。バソトハットのモデルというだけあって神聖(しんせい)な感じの山なのかと思いきや、住居も点々とあり、何とも生活感のある山でした。さぁ、ここから登っていきます。

道は全くと言っていいほど無いので、なんとなくジグザグに登っていきます。かなり大地が乾燥(かんそう)しているので滑り(すべり)やすくなっているので注意しながら登ること10分もかからない内にてっぺんに到着します。そこまで高い山ではないのですが傾斜(けいしゃ)はけっこう急でした。そしてその上からの景色が

こちら!のどかな風景がどこまでも広がっていました。牛や羊などの家畜(かちく)の群れは首に鈴(すず)をつけていて、その姿と共に鈴の音が山の上までも聞こえてきました。

それにしても日差しがとんでもなく強いレソト。この数日で明らかに肌(はだ)が焼けたなと感じます。ちょっと痛いくらいなので、レソトを旅する際は日焼け止めが必須(ひっす)です。そしてそれに加えて乾燥(かんそう)対策も忘れずに。日陰(ひかげ)がないのでキロアン山の滞在は30分ほどで切り上げました。

タバボシウの町を歩いているといろんな人に出会いました。よそから来た私に何気なく当然のように声をかけてくれる人たち!ステキな温かい歓迎(かんげい)に心が温かくなります。

今日は個人的な目的だったキロアン山を登れたのでもう私は大満足だったのですが、この町が推して(おして)いるのはタバボシウの方なんです。バス停から来た道を少し戻ったところにあるインフォメーションセンターに行けばガイド付きの登山ツアーに参加できます。2時間ほどのツアーがなんと40マルティ(約300円)と非常に安いです!おそらくこれに参加すると、ここが要塞だった時代の話も聞けるのかと思います。ちなみに、キロアン山よりも標高は高いのでより壮大(そうだい)な景色が広がること間違い無しです!

そしてインフォメーションセンターのすぐ下に広がっているのが「タバ・ボシウ文化村(Thaba-Bosiu Cultural Village)」です。日本語にすると何ともかわいい表現になってしまいますが、こちらはレソトの伝統家屋であるバソトハットのミュージアムになっていて、さらにその中にリゾートホテルが併設(へいせつ)されているかなり大きな施設(しせつ)になります。

ホテルのお値段は調べていませんがおそらく高めです。なので私はその中にあるレストランだけ利用させてもらいました。いや、正確にはWi-Fiを!リゾートホテルだけあってやはりそれなりの通信速度のWi-Fiでした。旅をする上でWi-Fiは必需品(ひつじゅひん)です!が、レソトは無料Wi-Fiが使える場所が首都マセルの中でもあまりありません。なので、レソトに来たらSIMカードをゲットするのが1番です。実は私はもう手に入れていたんです。いったいいつ、どこで、どうやって?詳しくは明日書きたいと思います。

ということで本日はまたマセルの街へと戻ります。首都からわずか20kmほどしか離れていないので日帰りで来れるレソトの観光スポット、タバボシウでした。明日はいよいよ首都を離れます。いったいどんな世界が待っているのか!?首都で過ごす最後の夜を楽しんで明日に備え(そなえ)たいと思います。

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