レソトを旅する④ 『天空の王国』の絶景山岳ドライブ〈マセル→セモンコン〉

2019年11月4日、天気晴れ。

レソトを旅する

首都マセルで迎(むか)える最後の朝は相変わらずの快晴。本日は合計4泊した宿の紹介からスタートします。レソトに入国した4日前。ちょうど日が沈み、辺りが暗くなってきたので早めに宿にチェックインしたいところだったのですが、実はこの時まだ宿を決めていませんでした。Booking.comで事前に調べていたのですが、マセル近辺の宿は最低でも1泊2500円ほどという南アフリカ旅のあとだと少し高く感じるお値段設定。ということで宿を決めかねていたのですが、あまりにスムーズに入国してしまったのでさぁどうする!?となり、とりあえずタクシーの運転手さんにお願いして2つほど宿を巡ってもらい、最後にやってきたのがこちらのNoble Hearts Bed & Breakfastでした。

Booking.comだと評価9.1の「とてもすばらしい」に指定されているこちらの宿。いやいや、ここは明らかに高いだろうと思いながらもとりあえず値段を聞くと1泊650マルティ(約4800円)と想像通りの答えが返ってきました。ん〜、ちょい高すぎるなぁ〜と思いながらも念のためにもっと安い部屋はないかと聞いてみると

「朝食抜きだったら1泊280マルティで泊まれるよ!」

えっ!朝食抜き!?宿の名前に「ベッド&ブレックファースト(1泊朝食付きの意味)」が入っているのに、その朝食を抜くことができるんですか!?しかも280マルティ!!約2100円〜!!迷わずすぐにこちらの宿にお世話になることに決めました。逆にいったいどんな朝食が出るのか気になるところではありましたが、安く泊まれるならそれがベストです。

部屋はベッドが4つあるドミトリー。なんと4日間この部屋を一人で貸し切ってしまいました!ものすごい贅沢(ぜいたく)!!Wi-Fiは受付の所でサクサク使えます。部屋の中でもかろうじて使用可能です。

さらにこちらの宿ではレストランの出前サービスが利用できます。到着直後にお腹を空かしていた私はありがたくこのサービスを使わせてもらいました。手数料ゼロ。時間も30分ほどで温かい食事が届きました。キヤレボーハ!

そしてとにかく受付のお姉さんがとーっても親切!私の旅のプランを聞いてアドバイスをくれ、質問にも丁寧にこたえてくれました。私にレソトのSIMカードをくれたのも彼女です。そう、くれたんです!レソトのシムは街中でもお店に行けば簡単(かんたん)に手に入るようですが、お金はいらないよという彼女のやさしさにもうキヤレボーハでした。

ということで本当にお世話になった宿をチェックアウトして、やってきたのは昨日と同じミニバス乗り場。今日はいよいよ長距離移動。マセルの街ともこれでお別れです。

ちなみに今日は宿から歩いてここまできたのですが、まぁ暑い!美味しそうなものを発見してしまいすかさず購入(こうにゅう)しちゃいました。グアバ味のアイスです。お値段は4マルティ(約30円)。固めの氷に薄いグアバの味がついた感じですが、暑さ対策には最高!こういう氷を食べるとどうしてもセネガルやガンビアで食べたビサップ(ウォンジョ)を思い出してしまいます。あれを経験してしまうともう他の氷じゃ満足できません。また食べたい西アフリカの味!

今日はゆっくり動き出したので11時頃にバス乗り場に到着したのですが、ラッキーなことに待つこと20分でバスは出発。こういうこともあるのでアフリカのミニバス旅はやはり運任せです。良い時もあれば悪い時もある!その当たり前のことをわかってれば心持ちがだいぶ違います。

さぁ、マセルから南東に向かって進んでいきます。いよいよレソトの中央部の方に移動するということで、また違う景色を楽しみにしながら今日も助手席で窓の外を眺めていると

車はどんどん山の世界へ。美しい山々が連なる景色に魅了(みりょう)させられます。

かなり急な坂道をゆーっくりと進んでいくミニバス。標高もいつの間にか2000mを超え、さらに山の奥へと進んでいきます。

レソトが「南アフリカのスイス」と呼ばれていることは以前紹介しました。美しい山が多いことからその名がつけられたそうです。そしてこの国にはもう一つ異名があります。

『天空の王国』

こちらは在日本レソト大使館が発行しているパンフレットです。その表紙にも書かれたこの言葉。神秘的な山々が織りなす風景はまさに天空のごとし!というかなり強気なネーミングなわけですが、実際にこの国を訪れるとその意味がよくわかります。

本当に美しい山が一面に広がるレソト。山のおかげで青い空が一段と映え、天空を旅しているかのような感覚を覚えます。

『天空の王国』はこの国の美しさを見事に表現したキャッチフレーズです。

そんなこんなでレソトの景色を目に焼き付けながらバスに乗ることおよそ3時間。やって来たのは標高2500mの所に位置する「セモンコン(Semonkong)」という町です。この町も昨日訪れたタバボシウと同様にまぁ何もなさそうだなぁ〜という印象を受けます。

セモンコンに到着するとすぐに目に入ってくるのが馬たちの姿。この国には羊がたくさんいるという話を昨日書きましたが、実は馬もチラホラと見かけることがありました。山の中にあるセモンコンの町では馬は特に大切な移動手段となっていて、老若男女(ろうにゃくなんにょ)問わず人々が馬に乗る姿を目にします。ちなみに足の長い動物である馬は荷物の運搬(うんぱん)には適していないので、そこはロバの出番だそうです。エチオピアではラクダ、レソトでは馬とその国の環境に適した動物が人々の生活に欠かせない存在となり、暮らしを支える役割を担(にな)っているのが本当に面白いなぁと感じます。

突然ですが、お腹が空いたのでトタン屋根でできたレストランで遅めのお昼ごはん。やはり南部アフリカのローカル飯といえばパップです。今日の付け合わせは王道のチキン!ちょっと多いかなぁと思う量でも少し辛め(からめ)の味付けがアクセントになって完食してしまいます。ごちそうさまでした!

もちろんセモンコンに来たのはパップを食べるのが目的ではありません。この町の観光名所を訪れるためにやって来たわけですが、到着したのが夕方3時頃だったので、観光は明日にお預け!今日はこの町でゆっくりすることにしました。まずはこの町にあるおそらく唯一(ゆいいつ)の宿Semongkong Lodge(セモンコンロッジ)を目指して歩きます。本当に山奥の田舎(いなか)町という感じのセモンコン。いったいどんな宿なのかと思いながら歩いていると、後ろからやって来た車が停車。

「セモンコンロッジに行くなら乗っていきな!」

親切に声をかけていただきました!キヤレボーハ!!そして車で進むことわずか数分。目の前に突如(とつじょ)現れたのはオシャレ&アフリカ感が漂うリゾートエリア!まさかこんな宿だとは思っていなかったのでそのギャップにビックリです!!

ですが驚いてばかりはいられません。こんな宿は値段が高いに決まっています。いや、でももしかしてこの自然の中にある雰囲気(ふんいき)からして『アレ』が使えるかもしれない!と思い聞いてみますと

オッケーでした〜!南部アフリカの旅にはこの選択肢(せんたくし)があるんです。部屋泊でもドミトリー泊でもない第3の宿泊方法、キャンプサイト泊!よく見かけるのはキャンピングカーで利用する方の姿ですが、テント泊ももちろんOK。激安で敷地内(しきちない)に泊まらせてもらえるスペシャルな手段になります。アフリカ54ヶ国制覇の旅-第1章-で西アフリカを旅した際もずっとテントを携帯(けいたい)していたのですが、キャンプサイト文化があまりなかった西側エリア。荷物を軽くするためにテントを宿のオーナーに譲(ゆず)ったのは懐かしい思い出です。が、やはり南部にはこの文化がありました。早速おニューのテントを組み立てて今夜の寝床を確保。安く、しかも自然を感じて泊まれるキャンプ泊はテンションが上がります!

そのあとは辺りの散策をして過ごした本日。Semongkong Lodgeはリゾートホテル感はあるものの、このセモンコンの人々の生活圏(けん)の中にガッツリ位置しているので地元の人々が終始敷地内を行き交う不思議な空間です。この学校帰りの少年。とても礼儀(れいぎ)正しく挨拶(あいさつ)をしてくると、次の一言はこれまた非常に丁寧(ていねい)な英語でこう続きました。

「とてものどが渇(かわ)いているのですが、水をいただけませんか?」

あまりに誠実(せいじつ)だったので思わずどうぞと水をあげちゃいました。

家から学校までは1時間。山道を歩いて通っているという彼はこのあと坂を上がって家に帰るとのことでした。世界の通学路はこんな山奥にも当然あるわけです。とっても気持ちの良い少年でした。

夜は宿のレストランで絶品ラムチョップとパップ。宿泊費が安い分、美味しい食事にお金を使えるのがキャンプ泊の良いところです。ビールもたっぷり飲んで最高の気分で外に出ると夜空には満天の星が!とってもステキな大自然の夜を満喫(まんきつ)したところで、テントの中で眠りにつくのでした。

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