マリを旅する④ 西アフリカ文化の聖地「セグー」〜年に一度のお祭りと新しい宗教観の話〜

2023年6月11日、天気晴れ。


この旅の途中にiPhoneを失くす事態が発生しました。
命に別状はないのでご安心下さい。
詳しい経緯については後日お伝えします。
そして同時に写真データも半分ほどが消えてしまいました。
中でもマリの写真は100枚ほどしか残っていなくて・・・
本日の写真に関してはまるでこの日が無かったかのようにそこだけキレイに抜けてました。
Wi-Fiの通信環境が十分ではない国ではクラウドへの自動保存はあてにはならないということを学んだ次第です。
今回も画像を様々なサイトから引用させていただきますことをご了承下さい。


マリを旅する

Google Mapsより

マリの旅もいよいよ残すところあと2日。
昨日やってきたのは首都バマコから200kmほど東に移動したところにある

「セグー」

という街です。

③セグー

セグーは、マリ共和国のセグー州にある都市。セグー州の州都でもある。人口13万690人(2009年国勢調査)、標高294m。

Wikipediaより
Google Mapsより

18世紀には王国の都となって繁栄したニジェール川沿いに位置するセグー。
ココからさらに東へ行った所にあるマリの有名な観光都市「ジェンネ」や「トンブクトゥ」の通過地点になっています。
が、現在は治安の関係でアクセスするのはやめておいた方が無難です。
セグーで一泊してからさらに奥地へと進んでいく旅行者がかつては多くいたそうな。

Google Mapsより

そんな街で一泊。
宿は予約していなかったのでガイドのイブラヒムさんにお願いしてオススメの所を紹介してもらうことにしたのですが、連れてきてもらったのはGoogle Mapsでは宿マークが付いていないMieruba Art Centerという場所でした。

Google Mapsより

アートセンターの名にふさわしく、ゲートの中に入るとオシャレな空間が広がるこの施設。
地元の人たちが木の下に腰掛けて何やらおしゃべりをしているかと思うと、その手にはギターが!
昼間からステキな音色が庭に響きます。

「何なんだココは!?」

本当にこんなところに宿があるのか一瞬疑問に思ったわけですが、そこはイブラヒムさんが案内してくれた場所です。

できるだけ安い値段で泊まりたいという私の要望をちゃんと理解してくれていた彼がリーズナブルでかつイイ感じの宿として選んでくれたのがこのアートセンター!
施設の奥の方にはしっかりとした宿泊棟がありました。

Google Mapsより

Wi-Fiは使えませんがシャワーを浴びることができてクーラーが効く部屋があればもう何も言うことはありません。
宿の方にお願いをすれば簡単な食事も用意してくれます。
つい忘れてしまいそうになりますがこのセグーも一応危険レベル4に指定されているエリアなので無闇に外出するのは避けたいところ。
居心地の良い施設内で安心して飲食ができるのは有り難いです。

Google Mapsより

それにしてもなぜこんなところにアートセンターがあるのか。
宿泊棟の壁には楽器を奏でたり歌を歌ったりしているアーティストの写真があちこちに飾られています。
実はこのセグーはマリの文化の中心地として賑(にぎ)わう街なんです。

FESTIVAL SUR LE NIGER SEGOU

Under A Million Miles Of Skyより

川があるところに文明は生まれる。
マリを流れる大河ニジェール川のほとりに位置するセグーにもかつては王国が繁栄し、現在は歴史的にも重要なこの国の要地となっています。
そんなセグーで年に1回、毎年1月の終わりから2月の頭にかけて開催されるのが

『FESTIVAL SUR LE NIGER SEGOU』

伝統的な歌やダンスをはじめ、絵画や工芸など多種多様なアートがセグーに集合するマリを代表するお祭りです。

MINUSMAより

レジェンド級の大御所から新進気鋭な若手までたくさんのアーティストによるパフォーマンスが見られるそうで、期間中はものすごい盛り上がりを見せるとのこと。
マリ国内のみならず世界中からもアート好きな観光客がこの街に押し寄せるそうです。

間も無く開催されるFESTIVAL SUR LE NIGER 2024
20回目の記念すべき回ということでとんでもない熱量のお祭りになること間違いなしです。
期間は2024年1月30日から2月4日の6日間。
私もSNS等で祭りの様子をチェックしていきたいと思います。

Google Mapsより

知る人ぞ知る西アフリカのアートの中心地セグー。
年に一度しかないにも関わらずこのフェスティバルのためだけに設けられた特設会場があり、さらに川沿いにはオシャレなレストランやホテルも!
お土産屋ストリートもあり、さぞ街は活気に溢れていることと信じたいわけですが・・・
残念なことに現在は期間外になると観光客の足はピタッと止まり、街には閑散とした雰囲気が漂います。
※祭りの期間中はたくさんあるホテルが全て予約で埋まるそうなので参加する場合は予約必須です!

Google Mapsより

ちなみにセグーからかつては船が出ていて、ニジェール川沿いの他の都市へと移動ができたそうですがこちらも今は運行がストップ。
理由はやはりこの国の治安の問題です。

「ボートに乗りたかったら乗ってもいいんだけど、対岸には行くなとボスに言われた。君の身を守るためだよ。」

セグー自体は安全なわけですが、この街から一歩外に出ると状況はまた違うようで。
安全第一を考えてガイドをしてくれるイブラヒムさんに出会えたことに感謝です。

Google Mapsより

そんなイブラヒムさん、実はこのセグー出身だったんです!
今日は実家に招待してもらい、家族のみなさんにご挨拶。
ごはんもいただいてくつろがせていただきました。
写真がないのが本当に残念。
本日もGoogle Mapsからたくさん写真を引用させていただいています。
セグーの雰囲気が少しでも伝われば幸いです。
こちらはせグーの名産の一つであるポット。
ニジェール川の粘土質の土は陶磁器作りに適しているそうで、川沿いにはたくさんのポットが並びます。
地元の人はお祝い事がある度に贈り物として買うそうです。

Wikipediaより

ということでセグーを散策した2日間。
コレといった見所がある街ではありませんが、イブラヒムさんの地元にお邪魔させていただけたという特別感でとても思い出深い時間になりました。
いつかこの国の治安がもう少し良くなって、東部の世界遺産を見に行く際はもう一度セグーの街を訪れようと思います。

さぁ、首都バマコへと来た道を通って帰ります。
もちろん帰りもイブラヒムさんの運転で、私は助手席に座っているだけ。
ガイド付きの旅の快適さを思う存分味わっているわけですが、本日最後はそんなイブラヒムさんについての面白い話を。

新しい宗教観

マリは国民の90%がイスラム教徒の国です。
そのため毎日定時になると経典であるコーランが街中に響き渡ります。
イブラヒムさんが信仰するのも名前からわかるとおりイスラム教。
まぁ特段驚くことでもないわけですが、そんな彼がお腹が空いた時間帯にこんな誘いをしてきたんです。

「豚肉を食べたいかい?」

イスラム教にはイロイロと制約されているモノがあるのですが、その一つが豚肉。
教えによって『不浄の動物』とされている豚肉はイスラム教では食べることを禁止されています。
なのでイブラヒムさんのこの発言にビックリ!

「そんなこと言っていいんですか!?」

と逆にコチラが焦ってしまうわけですが、豚肉が食べたくないわけはないので彼に連れて行ってもらうと・・・
辿り着いたのは首都バマコの地元の人しか来ないであろうローカルな食堂が並ぶ細い通り。
そこに焼いた豚肉を売っているお店が本当にあったんです。

「このことはボスには内緒でよろしく!」

お店側は別に隠れて売っている感じでもないのですが、イスラム教徒が豚肉を食べることは当然認められていません。
しかし、現在は厳格に規律を守らない新しいタイプの人たちもいます。
国や地域によってもかなり差があるとのことですが、マリはかなり緩めだそうで。

「ワインは飲む?」

首都バマコの中心に広がるマーケットの中にどこにでもありそうないたってシンプルな商店が一軒。
そのお店の裏に行くと西アフリカといえばの袋入りの水ではなく、まさかのワインを飲みながらおしゃべりをしている人たちがいるんです。
飲酒もイスラム教では禁止されています。
さすがにお酒を外で堂々と飲むことはできないそうですが、こうして隠れて飲んでいる人がいるのは事実で。
厚めのビニールに詰められた色鮮やかな赤ワインはメイドインマリ!
質よりアルコールという感じでお世辞にも美味しいとは言えませんが、暑い日中に飲む袋ワインはある意味炭酸飲料よりも刺激はありまして。
が、さすがにこれが海外への輸出用に作られたとは思えません。
こうして影でワインが売られていることは国から黙認されているのかなと。

ワインだけでなくビールも飲むイブラヒムさん。
それでも一日一回のお祈りは欠かさず行うとのこと。

「新しい考え方や価値観があっていいんだよ」

時代によって文化や習慣は当然変化しますが、どこか宗教だけは変わることのないものと決めつけていた自分にとって彼の考え方は非常に新鮮でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です