マリを旅する③ 美味しい食と魅惑の世界遺産 〜危険レベル4の国の国内移動〜

2023年6月10日、天気晴れ。

マリを旅する

西アフリカのマリに来てから3日が経ちました。
アフリカを40ヶ国以上旅していると『危険』と呼ばれる国に訪れることも珍しくなくなってくるわけですが、それでも毎回緊張感は当然あるもので。
もしかしたらホテルの外に出ることはできないかもしれないくらいに思っていつも渡航しています。
そしてそのイメージが一瞬でくつがえされるというのが毎度おなじみの展開!
巨大な首都バマコの活気と、シビの美しい自然の景観に心を奪われ、すっかりマリに魅了されてしまった私です。

「危険と呼ばれる国がこんなに素晴らしい国だったなんて・・・」

もちろん決して『安全』とは言えないのがこの国の現状です。
魅力的な観光スポットが各地に点在しているのに、治安のせいで旅行者を招き入れることができないマリ。
ガイドの仕事は激減して、かつてガイドとして働いていた人のほとんどが今は別の仕事で生計を立てているそうです。
私のように観光目的でこの国を訪れるアジア人は今はほとんどいないとのこと。

「君がマリに来てくれて本当に嬉しいんだ。そしてまた多くの観光客にマリを訪れてもらえるようにするためにも、君にこの国を安全に案内することが僕たちにとって大切なことなんだ」

今日もほぼ時間通りに宿まで迎えに来てくれたお世話になっているガイドのイブラヒムさん。
マリツアー3日目の本日は首都バマコから遠出をします。
荷物といっしょに車に乗り込んでいざ出発!

食文化① サンドイッチ

とその前に腹が減ってはなんとやら。
朝9時の時点で既にかなり暑いので、しっかり食べておかないとカラダがもちません。
いただくのは道ばたに構えられたお店で買えるこの国の定番の朝ごはんです。

パンが美味しい旧フランス植民地。
マリの首都バマコでも街を歩いているとたくさんパン屋(Boulangerie)の文字を見かけます。
我々がフランスパンと呼んでいるものがこの国ではザ・パン!
ちなみに旧イギリス植民地ではパンといえば食パンになります。
アラブの文化を持つ北アフリカでは丸い形のパンが主流であるなど、パンを見るだけでもその国や地域の特色が現れるのは面白いポイントです。

サクサク食感の軽いバゲットに好きな具材を入れて作ってもらえば『マリサンドイッチ』のできあがり。
具材に牛ひき肉のそぼろが用意されているのはマリならではだなと!
ゆで卵やフライドポテトなどもいっしょにサンドしてもらえば朝からお腹が幸せで満たされます。

食文化② エスプレッソ

そして食後はコーヒー!
実はこれが非常に驚きポイントでして。
イスラム教の国ではホッと一息つくための飲み物といえばティー(紅茶)です。
マリでもやはり主流はティー。
なのでこういう国ではコーヒーは完全におまけで、インスタントの粉で作ったものが『コーヒー』になります。
が、本格的なコーヒーが街のあちこちでいただけるという驚きのマリ。
コーヒー好きな者としてこれは嬉しいわけですが、私以上にコーヒーを愛して止まないのが

「コレを飲まないとスイッチが入らないよ」

と言いながらことあるごとにコーヒーに誘ってくれるイブラヒムさん。
彼の行きつけのドローカルなお店でいただくのは趣(おもむき)がある店主が淹れてくれるエスプレッソ!
砂糖をちょっと入れて飲むとこれがまぁ沁(し)みまして。
普段はドリップコーヒー派なのでエスプレッソには抵抗があったのですが、マリで毎日飲んでいる内にすっかりその美味しさにハマってしまいました。

Google Mapsより

ということでココロとカラダの準備が十分に整ったところで、いよいよ首都バマコを出ます。
街の端にあるゲートでは身分証明書の確認が行われ、通行料を支払って通過。
特に威圧的な感じはなく、これがいつも通りなんだなという雰囲気で。
これから進んでいくのが真っ赤に塗りつぶされたエリアなんだということを改めて意識させられたところです。

Google Earthより

東方面へ真っ直ぐとのびる道路。
昨日に引き続きこれまたしっかりと舗装された道が続いていて感動するわけですが、そりゃそうだよなと。
マリは観光に力を入れていた、いや今も少なからず入れている国なんです。
観光大国にとって首都と主要都市を結ぶ道路インフラの整備は欠かすことはできません。
そしてこの道をずーっと進んだ先には・・・!!
今回は行くことを断念しましたがいつか必ず行きたいこの国を代表する観光スポット。
せっかくなので紹介だけさせて下さい。

ジェンネ

ジェンネは、マリ共和国モプティ州の都市で、モプティ市からは130km、①首都バマコからは574kmのところにある。
ジェンネは遊牧民と定住民の橋渡しとなる都市であり、サハラ交易の要衝となっていた。

Wikipediaより
X @AfricaViewFactsより

紀元前3世紀以降に人が住んでいたことが明らかになっており、西アフリカの交易の重要な拠点となったジェンネ。
伝統的な泥でできた建造物が今も残り、『ジェンネ旧市街』として世界遺産に登録されています。
その中でも特に有名なのが泥のモスク!
お隣のブルキナファソにも泥でできたモスクがありましたが、『泥のモスク』といえばやはりこのジェンネのグランドモスクになります。
とにかく巨大なモスクで・・・
実物を見てはいないので想像ですが、写真からもその大きさが伝わります。

マリのみならず西アフリカを象徴するジェンネの泥のモスク。
今回は首都バマコの国立博物館にあったミニサイズの模型で我慢です。

Google Mapsより

そしてもう一ヶ所。
ジェンネよりさらに東に進んだところにあるのが

トンブクトゥ

トンブクトゥは、西アフリカのマリ共和国内のニジェール川の中流域、川の湾曲部に位置する砂漠の民トゥアレグ族の都市である。
マリ帝国、ソンガイ帝国時代に繁栄し西欧では「黄金郷」として知られるほどであった。
アラブ・ムスリムの学者たちも往来し学問研究も盛んであったが、16世紀以降は次第に衰退する。

Wikipediaより
Google Mapsより

ジェンネと同じく交易の中継地として栄えたトンブクトゥ。
泥のグランドモスクのような目立った建物がないのが少し残念なポイントですが、歴史的にはジェンネよりも重要な場所でして。
最盛期を迎えた15世紀の建築物が多く残るこの街はそのまま『トンブクトゥ』という名でこれまた世界遺産に登録されています。

X @unicefmaliより

しかし、イスラム過激派が支配の手を広げているマリ北部に位置するトンブクトゥは2012年から続く紛争の要地となっています。
大きな衝突はないものの今なお続くマリ国家と過激なイスラム主義団体との一触即発の緊張状態。
現在は地元の人でも用が無い場合トンブクトゥには行かないそうです。
ジェンネも含めたマリ北部の治安が安定し、一日も早くこの国に平和が訪れることを祈るばかりですが、それだけでは決して解決しない複雑な事情があるのも事実。
どうしたものかと考えても今の私には何も思いつかないので、まずは私の見たマリをブログで発信していきます。

Google Mapsより

来る前は砂漠の国のイメージが強かったマリですが、窓の外には緑が点々とした和やかな景色が広がります。

「ここも危険レベル4なんだよなぁ」

あまりに快適なドライブで進んでいくのでなんとも不思議な気分です。
それでも頭の片隅から治安の心配が消えることはありませんでしたがね。

Google Mapsより

バマコから車で約2時間半。
やって来たのは「セグー」という小さな町です。
なんだかんだここまでの移動中はずっと少なからず気を張っていたので無事に到着できてホッと一安心。
さっそくセグーの町をイブラヒムさんに案内してもらったのですが、その様子はまた明日にしたいと思います。

1 個のコメント

  • ようやくブログ再開されたようでこの先も楽しみにしています。トンブクトゥとジェンネ行ってみたいですね。泥のモスクかなり興味あります。早く内戦が良いほうに向かってくれることを祈ります。

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