2023年6月8日、天気晴れ。
マリを旅する
雨の中のバイク移動でびしょ濡れになったリベリア出国から24時間後。
まさか温かいシャワーがこの国で浴びれるなんて思ってもいなかったので、いきなりの衝撃でスタートしたアフリカ42ヶ国目マリの旅です。
ただ、昨日紹介した通り2023年6月現在日本の外務省はこの国のほぼ全域を危険レベル4
『退避してください』
に指定しています。
かろうじて今いる首都バマコのみレベル3。
それでもまさかのビザが取得できたので・・・さぁでは一体どうやって旅をしようか!?
と考えながらマリの入国を完了した時です。
お兄さんに声をかけられました。
タクシーの客引きかなぁと思ったのですが、身分証を見せてきてガイドの仕事をしていると言ってきたその彼。
もちろんこの瞬間は99%疑いから入ります。
簡単に人を信じてはいけません。
いきなり『お願いします!』オーラ全開でいくとうまいことビジネスを展開されるので、とりあえず話を聞くぐらいの軽いスタンスで話を聞いておきます。
が、今回は危険レベル4の国の旅ということでイロイロと助けていただきたいのが本音で。
マリという国の実態がまだ掴めていない中、信頼できる地元の人といち早くつながりたいところ!
とりあえずホテルにチェックインしてシャワーを浴びて、スッキリしたところで近くのパン屋へ。
旧フランス植民地のマリは街を歩けばそこら中に『Boulangerie(パン屋)』の文字を見つけることができます。
美味しそうなパンを買って店内でいただきながら、声をかけてきた彼と上司のシシさんを交えて3人で始まった作戦会議。
まずは絶対にダマされないためにも相手を慎重に判断することが大切です。
ツアーなどを個人同士で契約する場合は
- 身分証明書を見せてもらう
(ニセモノの場合もあるので写真を撮っていいか聞いておくと◯) - 電話番号を教えてもらう
(その場で一度かけて本当に正しい番号か確認する) - 契約内容を細かく紙に書いてもらう
(『お願いしたいこと』『不要なこと』をはっきり伝えることが大事)
以上3つを拒(こば)まれる場合は契約は見送った方が無難です。
その上で、もう一つ。
特に『危険と呼ばれる国』を旅する際には
- 正しい判断をしてくれる
というのが非常に重要です。
この国の東部にはとても有名な世界遺産があります。
来たからには是非とも見に行きたいわけですが、残念ながらその場所も危険レベルは4。
まぁ当然わかってはいたのですが・・・もしかしたらがあるのも事実です。
地元の人に聞いたら実は安全に行けた〜なんてことがないとも限りません。
なのでダメ元でソコに行けないか聞いてみたんです。
「Never.」
(絶対ダメだ)
キッパリと言い切られました。
そしてここでマリの現状を詳しく教えてくれたシシさん。
この国はマリのみなさんから見ても
『危険』
だという事実を隠さずしっかり伝えてくれたんです。
特に世界遺産があるマリ東部は地元の人でも用がない限り行かないとのこと。
彼の説明を聞く中で、自分が今いるのが決して安全とは言えない国であるということをようやく認識したのでした。
ただ、危険な場所だけではないということも同時に教えていただきまして。
「君にマリを安全に案内するのが私たちの責任だ!」
そう言ってシシさんが考えてくれた4日間のツアー。
しつこいくらいに何回も質問する私に対して丁寧に対応してくれるその姿勢にも好感が持てたので、ここでようやく契約することに決定しました。
値段交渉はお互いゆずらない攻防が続きましたが、最後は中間地点に着地して固い握手で契約成立。
旅の安心安全が買えるなら多少高額でも仕方ありません。
ということで、一夜明けて迎えた本日。
9時に迎えにきてもらう約束の20分遅れで宿に車で迎えにきてくれたシシさん。
アフリカンタイム的には十分合格の範囲です。
そしてシシさんは『ボス』なので彼の仕事はここまで。
彼といっしょに来てくれたのはこれから4日間ガイドをしてくれるの部下のイブラヒムさんです。
結論から言うとこのイブラヒムさんが本当にステキな方で、今回のマリ滞在は彼のおかげですごく充実したものになりました。
良き出会いに感謝です。
それでは、イブラヒムさんと行くマリツアー。
初日は首都
『バマコ』
を巡ります。
①バマコ
バマコはマリ共和国の首都。
Wikipediaより
州と同格の特別区である。
2009年の人口は約180.9万人。
バマコはマリの行政上の中心地である。
都市名の「バマコ」とはバンバラ語で「ワニの尾」という意味である。
現在は200万人を超えたというバマコの人口。
朝から街には車がバンバン走ります。
ちなみにバマコは『ワニの尾』や『ワニの川』という現地の言葉ですが、肝心のこの国の名前である
『マリ』
この国名がなんとバンバラ語で
『カバ』
という意味なんです。
一番好きな動物はと聞かれたら「カバ」と答える私としては絶対に押さえておかないといけないアフリカ豆知識。
力強さの象徴としてこの名がつけられたとのこと。
バマコの街を走ると大きなカバのモニュメントを街中にいくつか見つけることができます。
しかし残念ながらカバは現在この国には生息していないそうです。
そしてここで記念すべき瞬間が訪れます。
アフリカという広大な大陸に文明をもたらした大河。
その中でも特に有名な3つの川があります。
一つは言わずもがなのナイル川。
『ナイル川=エジプト』のイメージがありますが、実際はアフリカ5ヶ国にまたがって流れる世界最長の河川です。
続いて中央部を流れるのがコンゴ川。
コンゴ共和国とコンゴ民主共和国の間を流れるこれまた非常に大きな川になります。
残るは最後の一本!
以前ブルキナファソに向かう飛行機の窓からその姿を眺めましたが、地に足つけて見たことはなかった西アフリカを代表する川です。
では、改めてご紹介します。
ニジェール川
ニジェール川は、西アフリカを流れギニア湾に注ぐ河川である。
Wikipediaより
全長4,180km。
流域面積は209万2,000㎢ある。
ギニアの山地から北東に流れてマリ共和国に入り、南東に転じてニジェール、ナイジェリアを流れる。
河口に大デルタ地帯を形成しギニア湾に注ぐ。
マリのセグーからトンブクトゥ間に内陸デルタを形成している。
乾燥したサヘル地帯を貫流しており、特に中流域に当たるマリ・ニジェール両国では重要な水の供給源となっている。
また、ギニア湾沿岸地域と北アフリカを結ぶサハラ交易の重要な拠点でもあり、流域ではガーナ王国・マリ帝国・ソンガイ帝国といった国家が興亡を繰り返した。
バマコの人々にとってそこにニジェール川が流れているのは当たり前の光景なわけですが、私にとっては非常に特別です。
42ヶ国旅をしてきてようやく目にすることができたニジェール川。
マリの国土を西から東へ横切るように流れています。
アフリカ三大河川、これにて制覇達成!
そんなニジェール川にかかった橋を渡り切るといよいよそこからがバマコの中心地になります。
バマコの熱がギュッと詰まったこのエリア。
一歩足を踏み入れるとそこには楽しい発見と驚きに溢れた世界が広がっていました。
政府庁舎と大統領官邸
「あれが省庁舎だよ」
バマコのニジェール川には橋が3つ架かっています。
その内の一つ(King Fahd Bridge)を渡り切ろうかというところでイブラヒムさんがまず紹介してくれたのはマリの省庁が全て集まっているという立派な建物。
へぇ〜といつもだったら聞き流す関心が弱い分野のネタですが・・・ちょっと待てと。
「ここはマリ!」
あまり言いたくなくても何度も言うしかない危険レベル4の国で、国内の東部ではイスラム過激派が活動をしている国です。
「そんな国の中枢機関の一つがこんな目立つ所にあっていいの!?」
思わず心配になってしまうほど街のド真ん中にあるマリの政府庁舎。
もちろん周辺には警備の方がたくさんいて、写真撮影も禁止です。
が、少なからずの不安がよぎってしまうこの立地。
ニジェール川沿いに建つその立派な建物はリビア資本で建設されたそうです。
そして政府庁舎に負けず劣らずで大胆すぎるのが大統領官邸!
バマコは谷の低い部分に都市部が広がり、北の方は丘になっています。
これがかなりの勾配(こうばい)がありまして。
クネクネと曲がった急な坂道を上るとあっという間にものすごく高い所まで来てしまいます。
そんな丘の一番テッペンにあるのがマリ大統領の官邸でございます。
見晴らしが良く、首都バマコを一望できるという点では素晴らしい地の利があるとは思うのですが・・・やっぱり気になる目立ちすぎ問題。
これがいらぬ心配で終わることを願うばかりです。
絶景スポット「ポイントG」
そんな大統領官邸に旅行者が足を踏み入れるなんてことは間違ってもできないわけで、近づくことすらダメ絶対!
ただこの丘の上からの景色は見てみたいおきたいもの。
大統領官邸と反対の方に進んでいくとその先にあるのが『ポイントG』と呼ばれる地区です。
「君をポイントGに連れて行く!」
バマコ観光のプランを考えてくれたシシさんがずっと口にしていた『ポイントG』という謎の言葉。
一体何のことかわからず、まぁイイ感じの場所なのかなぁぐらいに考えていましたが、名前も名前なので大して期待はしていませんでした。
そんな中やって来た細い路地の突き当たり。
するとそこから見えたのは
「スゲーーーー!!」
この国のことをどこか軽んじていた自分がいたことを恥ずかしく思ってしまう大都市の景色。
これがバマコかと。
流れるニジェール川の姿もよりハッキリ見えまして、
バマコがこの川によって創り出された街なのだということがよくわかります。
マリの印象をガラッと変える絶景スポット『ポイントG』。
シシさんがココを推していた理由がよくわかりました。
丘の上へと続く道路の麓(ふもと)にはこれまた立派な国立の動物園&博物館があるバマコ。
平日の今日は学校の遠足で大型バスに乗ってやって来た子どもたちの姿がありました。
『アフリカ=動物』
というイメージがありますが、西アフリカにゾウやライオンはいません。
そんないわゆる『アフリカの動物』を見にきた子どもたち。
先生の引率で子どもたちが列になって歩くほのぼのとした様子を見ていると、思っていたマリという国とのあまりに違う世界観に不思議な気持ちになります。
そこからはバマコ市内をアチコチ歩き回った本日。
地元の人で盛り上がりを見せるマーケット(こちらの様子はまた後日ご紹介します)やセネガルの首都ダカールへと続く鉄道の駅舎(2018年以降運行停止中)など、見所をたくさん案内してくれたイブラヒムさん。
ガイドをつけて首都を観光するというのが実は初めてのことだったのですが、これがとっても楽しくて。
何より安心して外歩きができるというのが有り難かったです。
人混みや路地裏など一人では避けるような場所にも二人だから行けるこのRPGで仲間が増えた時のような世界(行動範囲)が広がる感覚。
さらにアジア人が街中で写真撮影をしていると白い目を向けられることがありますが、彼がいるとそんなこともほとんどありません。
おかげで今日はバマコの様子をたくさん写真に収めることもできました。
治安の心配がある街ではガイドをつけるのはかなりアリな選択肢です。
※しかし、この旅の途中でiPhoneを失くし、今日撮った写真のデータはほとんど消えてしまいました。
それにしても暑いバマコ。
少し歩けばすぐに汗が吹き出るレベルなので袋水でのこまめな水分補給が必要不可欠です。
写真はデータの中に残っていた唯一のイブラヒムさんとの2ショット。
二人で
「暑い〜」
と言いながら炎天下の中を歩いたわけですが、見ることができたのはポイントGから見えたバマコのほんの一部になります。
この街の大きさを実感すると共に、この国への興味がますます高まったマリの旅初日でした。
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