2023年6月9日、天気晴れ。
この旅の途中にiPhoneを失くす事態が発生しました。
命に別状はないのでご安心下さい。
詳しい経緯については後日お伝えします。
そして同時に写真データも半分ほどが消えてしまいました。
中でもマリの写真は100枚ほどしか残っていなくて・・・
できるかぎり文章でみなさんに旅の様子をお届けできるように努めますが、引用した画像も使用させていただきますことをご了承下さい。
マリを旅する
なんだかんだで炎天下を歩いて3時間。
首都バマコを満喫した昨日から一夜明けて迎えたマリの旅2日目です。
今日はいよいよ首都から移動。
危険レベル4のエリアに足を踏み入れます。
果たしてどんな景色が待っているのか。
マリツアー2日目もお世話になるのは頼れるガイドのイブラヒムさんです。
今日はほぼ時間通りに迎えにきてくれたので、逆に準備が整っていなかった自分が彼を少し待たせることになりました。
いつでも『アフリカタイム』が通用するというわけではないというのがこれまたややこしや。
到着初日に決まった今回のマリツアーの全日程。
相変わらず事前にどこに行くかは決めず、完全ノープランでやって来た私です。
もちろん情報として世界遺産の旧市街や歴史都市があることは知っていましたが、そのどちらも現在は地元の人でさえ無闇に近寄ることのない危険区域に指定されているマリ。
なんなら首都以外は危険レベル4なので、これは大人しくバマコのみを観光するしかないかなぁ〜と思っていました。
が、空港で声をかけてくれたガイドの方との出会いによって急展開することに!
危ない地域があるということをしっかり説明してくれた上で、オススメの観光スポットを提案してくれたツアー会社のボスであるシシさん。
本日これから向かうのは彼が『素晴らしい場所』といって紹介してくれた
「シビ」
という村です。
②シビ
絵のように美しい村シビーは、バマコから50km離れた場所に位置し、ギニアへの道沿いにあります。
Siby Tourismホームページより
この場所は、芸術的、観光的、文化的な創造物に恵まれ、平和で静かな環境があり、バマコの人々にとって日常を離れる避難所となっています。
シビーは別名「緑の小さな宝石」と言われています。
心配だったのは道路コンディションですが、しっかりと舗装された道がずっと続きまして。
さらに窓の外の景色に驚かされます。
『マリ=砂漠の国』
というイメージを覆(くつがえ)す一面の緑。
有名な世界遺産が北部の砂漠地帯にあるためにカラカラとした砂の印象が強いマリですが、この国の南部には熱帯気候のエリアが広がっているんです。
どんどん濃くなっていく緑の景色を見ているとココロも潤ってきます。
首都からひたすら真っ直ぐ伸びた道を進むことわずか40分。
車は目的地であるシビに到着しました。
あまりにあっという間に着いてしまったのでビックリ。
一応ココも危険レベル4に指定されたエリアなので少しは緊張するわけですが、村の雰囲気はあまりに和やかで。
そして隆起した岩山が織りなす大自然の景色にもう大興奮。
首都バマコとは全く異なる世界が周囲に広がるシビ。
早くいろいろ見て回りたいということで、イブラヒムさんの案内でシビ観光スタートです!
La Maison du Karité (カリテの家)
とにかく美しい緑が辺り一面に広がるシビ。
その中でも一際目立つのがここにもあそこにも生えているマンゴーの木になります。
本当に至る所にマンゴーの木がありまして。
この国一番のマンゴー生産地だという情報にも思わず納得です。
そんなマンゴーの木に感動している私の様子を見てイブラヒムさんが一言。
「『カリテ』は知ってる?」
聞いたことのない名前に何のことかサッパリわからず興味も湧(わ)かないわけですが、逆にカリテを紹介したくてたまらないという感じのイブラヒムさん。
「カリテ?何ソレ??」
と思いながら彼に連れられてやって来たのはその名も『La Maison du Karité(カリテの家)』でした。
一体何なんだいと思いながら敷地内に入ると、そこに生えていた木を指差して彼が言います。
「これが『カリテ』だよ!」
カリテ
カリテは、「バターツリー」または「女性の金」とも呼ばれ、サポタ科に属するVitellaria属の木です。
Wikipediaより
ナッツ入りのアーモンドはシアバターを作るのに使われます。
西アフリカと中央アフリカのサバンナで育ち、IUCNによると絶滅危惧種の1つです。
はい、私がこの事実に気付いたのはまさに今この記事を書くためにカリテについて調べている瞬間でした。
カリテ(Karité)はフランス語で
「シアバターノキ」
そう!
シアバターだったんです!!
この時の私はそのことに全く気付けず。
カリテが体に良いことや、カリテで石鹸が作られること。
またその石鹸づくりで女性の雇用が生まれることなどを教えてくれたイブラヒムさん。
・・・それがシアだとわかった今、ようやく全てが合点したところです。
日本でも非常に有名な保湿アイテムの一つになっているシアバター。
私も乾燥肌なので特に冬場は毎年お世話になっています。
まさかそのシアバターの原料にこんな所でお目にかかっていたとは!
あとからわかった驚きの大発見です。
今ではシアバターという名が一般的ですが、その昔はカリテバターと呼ばれていたそうで。
マリを含めた西アフリカを中心に生息するカリテの木。
その木になる実の種子から抽出されたオイルがシアバターになります。
改めてシビの村を見渡してみるとマンゴーの木の中にカリテの木の存在も確認できまして。
比率的にはマンゴー7のカリテが3といった感じです。
ちなみに地元の人たちは果実の部分を食べるそう。
味がとっても気になりますが6月はまだ実が熟していないので食べられず。
またどこかでカリテの木に出会える日を楽しみにしたいと思います。
カマジャンアーチ
伝統的な泥の装飾が施された家が点々と建つシビ。
年に一度開かれる家の美しさを競う大会では村の女性たちが腕を競い合うそうで、優勝者には大金の賞金が出るとのこと。
小さな村に生きる人々の自分たちの文化への誇りと愛を感じます。
ということでメイン道路を外れてオフロードを進んでいくと、先ほどまで遠くに見えていた山がいつの間にか目の前に!
ゲートをくぐってさらに坂道を車でどんどん上っていきます。
「ここからは歩くぞ!」
今日も相変わらず雲一つない快晴なので一瞬外に出ることを躊躇(ためら)いますが、この先に絶景スポットがあるのは間違いありません。
水筒代わりの袋水をバッグに入れていざ出発です。
「すぐに着く」というイブラヒムさんの言葉を信じて岩山を登っていきます。
たしかに傾斜はそこまでキツくなく、サンダルでも問題無いレベルのトレッキングです。
が、暑い~!!
ちょっと歩くともうTシャツが汗でビッショリ。
今すぐ車に戻ってクーラーで涼みたいのを我慢しながら、イブラヒムさんの背中を追いかけ続けること15分ほどで到着したのがこの村のシンボルになっている岩でできたアーチです!
カマジャンアーチは、バマコの南西約50キロに位置するシビーにあります。
Sahelien.comより
ライオンの洞窟、占いの場所、犠牲の洞窟、岩の下の避難所、テリコウロウ遺跡を収容するこの文化的景観は、シビーの村の保護壁として機能しました。
スンジャタケイタの時代には、軍隊の集会、戦争評議会、知識のデモンストレーションがそこで行われました。
かつてこの地を支配していたマリ帝国(1230~1645年)。
その帝国の始まりを作ったとされている英雄スンジャタケイタの最強の戦士として活躍したのがこのアーチの名前になっているカマジャンです。
カマジャンが放った矢が岩壁に穴を開けたというのがこのアーチの伝説になっています。
アーチを含めたこの一帯は自然の要塞として機能し、スンジャタケイタは身を隠していたとのこと。
彼が占いをしていたといわれる台座が今でも残っています。
地元の人たちにとって神聖な場所であるカマジャンアーチ。
願いが叶うといわれている犠牲の洞窟の前でイブラヒムさんは真剣に何かを唱えていました。
岩陰にいると風が気持ちよくて、しばし暑さも忘れます。
眼下に広がるのはシビの絶景。
どこまでも続くマンゴーとカリテの緑に感動必至です。
さらにカマジャンアーチ意外にもあちこちに観光スポットらしきものの存在を感じるシビの村。
車で走っているとちょくちょく案内表示を見つけるんです。
後日この記事を書いている最中に見つけたのがシビの観光ホームページ!
すごく立派なサイトがあってまぁビックリ!!
世界遺産が注目されがちなマリですが、首都から日帰りで行ける自然を満喫できる場所として人気のシビ。
地元の人は週末に家族や友人と遊びに来るそうです。
今日シビで撮影した写真のデータは1枚だけ残してあとは全て消えてしまいまして。
(本当にショック)
どうしようかと思っていたのですが、この観光サイトのおかげでみなさんにシビの様子をお届けすることができました。
SIBY Tourismさんに本当に感謝です。
以前は世界中から多くの旅行者が訪れていたというマリ。
世界遺産目当てに日本人もこの国に来ていたそうです。
入国直後に空港で
「こんにちは」
と声をかけられた際は驚きましたが、それはマリが観光大国であった所以(ゆえん)です。
しかし現在はこのシビの村もギリギリ危険なエリアに指定されています。
その昔は観光客が次々とこの村を訪れたそうですが、今はバッタリ途絶えたとのこと。
イブラヒムさんが最後に案内してくれたのは、かつて彼が働いていたホテル&レストラン。
「『飲み物は何にしますか~?』ってここでバーテンダーをしていたんだよ」
潰れてから10年以上経ったボロボロの廃墟(はいきょ)で当時の様子を再現してくれました。
「テロリズムのせいで全てを失った」
直近では2022年に外国人の誘拐事件が発生するなど、未だマリの情勢は不安定。
今回はツアーに参加することで安心して移動や観光ができていますが、それでも決して100%安全とは言えないのがこの国の現状です。
こんなに魅力的な観光スポットが各地に点在しているのに・・・
私以上に一番悔しい思いをしているのは地元の人たち。
特にガイドの仕事をしているみなさんは本当にやりきれない気持ちのようです。
一日も早く平和が訪れることを祈るばかりですが、祈るだけでは解決しない複雑な事情があるのも事実。
なので一人でも多くの人にマリという国を知ってもらえるように、私はこうして発信を続けていこうと思います。
ちなみに唯一残っていた写真のデータがこちら。
イブラヒムさん行きつけのバーで撮影した一枚です。
今日もとにかく暑かったのでビールが沁みました!
コメントを残す