中央アフリカを旅する② 首都「バンギ」〜危険レベル4の国の歩き方〜

2023年12月12日、天気晴れ。

中央アフリカを旅する

昨日のブログではこの国のビザ取得についてお届けしました。
中央アフリカのビザが意外にもアッサリ取得できてしまうことに驚かれた方もいるのではないでしょうか?
私自身もその一人です。
もっと困難な申請となるかと思いきやあまりに簡単にもらえてしまい、全く現実味が無く。
それでもちゃんとビザが効力を発揮しまして、この国に入国したのが2日前。
既に昨日、外へ出てイロイロと見てきましたが、広がっていたのは想像とは違う世界です。
やはり『百聞は一見にしかず』だなと感じたところで、今日もこの街を巡ります。
やって来たのは中央アフリカの首都

「バンギ」

です。

①バンギ

バンギは、中央アフリカ共和国の首都。
人口は約81万人(2021年推計)。
都市圏(バンギ州)の人口は約143万人。

Wikipediaより

この街を歩いていると思い出すのは同じく危険と呼ばれる国、南スーダンです。
お隣の国同士というのもあり、2つの国を比較してみると中央アフリカの特徴がより際立ちます。

首都でも危険レベル4

まず押さえておかないといけないのが中央アフリカは全土が日本の外務省によって危険レベル4に指定されているということ。
南スーダンは首都ジュバだけはレベル3でしたが、この国は今いるバンギも含めてレベル4(退避勧告)。
となるとさぞかし危ない街なのだろうと思われますよね。
この点に関してはひっじょ~に心配していたので、ホテルの方に念入りに質問をさせていただきました。
ナイジェリアのラゴスケニアのナイロビのように移動はタクシーの方が良いのか?
一人で行動するのが危ないならセキュリティーを付けた方が良いのか?
そもそも外へ出ることはできるのか?
しつこいくらいに細かく聞いたんです。
が、そんなビビる私に対してスタッフさんは笑顔で一言。

「ノープロブレム!」
(問題ないよ)

地元の人の意見というのはその地を理解する上で何よりも有益な情報です。
特に治安に関してはネットで見聞きしたものだけを信じるのではなく、必ず現地で直接話を聞くことが大切。
危険と呼ばれる街ではみなさん忖度(そんたく)無しでイロイロと教えてくれます。
が、ここ中央アフリカでまさかの全く予想していなかった回答が返ってきたのでまぁビックリ!
コレに関してはさすがに「ハイそうですか」とすぐに受け入れることはできません。
だって全土危険レベル4の国ですからね。
しかし、粘る私に対してそれでも問題ないと言うスタッフさん。

「もちろんノットベリーベリーセーフだけど、バンギを歩く分には心配はいらないよ」

今回中央アフリカを訪れたことでアフリカにおける『危険』という表現には2種類あるということがハッキリしたので共有します。
一つは、『個人をターゲットにした危険』が蔓延(まんえん)している状態です。
具体的にはスリや強盗などで、旅人が直面しやすい『危険』になります。
ちなみにアフリカ三大凶悪都市(ダルエスサラーム、ナイロビ、ヨハネスブルグ)と呼ばれる街で気を付けるべきなのはコチラ側。

「ナイロビではスナッチに気を付けろ!!」

先日ケニアの旅の途中にアンボセリ国立公園から帰る車の中でガイドのタイトスさんが注意してくれたことを思い出します。
そしてこれはなにも旅人だけに適応されるものではなく、そこで生活する人々も直面している危険であり、その街の社会課題なんです。
・・・そんな地元の人も危険視しているアフリカ三大凶悪都市の危険レベルは1~2。
そう、外務省が言及しているのはどちらかというとコチラ側ではなく、続いて説明するもう一つの『危険』を指します。

多くの人が行き交うバンギの街。
学生が多く、お昼時になると制服を着た若者を街中でたくさん見かけます。
道を行くバイクは未舗装路が多い影響か赤土をかぶっていて、これがなんとも言えない味になっていまして。
少し歩けばこれでもかというくらいに人やバイクとすれ違うバンギ。
しかし、不思議と危険のようなものは感じないんです。
もちろん基本的なことを守った上での話ですので誤解はしないでくださいね。
スリや強盗にはどの街でも当然要注意。
ただ、もしかしたらバンギの中心地ではそんな軽犯罪が起きることすらないのかもしれない・・・なんて思ってしまうんです。
その理由はこの街を白地に黒でUNと書かれた国連(国際連合)の車が大量に走っているから!

個人ではなく『集団や社会をターゲットにした危険』が潜伏している状態。
これが二つ目の、いわゆる外務省が『危険』と指定しているものの正体です。
この危険は常に水面下にあるわけで、それ故に決して安全とは言い切れない状況であることは間違いありません。
しかし、だからといって危険だとも言い難(がた)いわけでして・・・
そう、これがレベル4の国のリアル。
地元の人たちが毎日ビクビクしながら暮らしているなんてことは全くありません。
もちろん万が一有事になったら生活は一転してしまいますが、そのための国連です。
武装蜂起に襲撃など、いつ起こるかわからない危機を抑止したり未然に防いだりするために国連軍などが駐留しています。

というわけで、様々な国際機関の車が巡回している関係で治安も必然的に守られている中央アフリカの首都バンギ。
かなりの安心感があるので街中を歩くこともできます。
そして南スーダンでも国連の車はよく見かけましたが、バンギはその比ではありません。
主要道路沿いを歩けば30秒に1台はUNを見かけます。
さらに車種もゴツイのが特徴で。
青いヘルメットをかぶり機関銃を携帯した軍人さん10名ほどが荷台部分に座っている車や、マシンガンを携えた戦車のような車などもバンバン走っているんです。
今から何か始まるんですか!?という感じですが、これがバンギの日常の風景。
軍人さんたちだけは常時臨戦態勢になります。

ここで改めて明記させていただきますが、本ブログは危険と呼ばれる国への渡航を推奨しているわけではありません。
アフリカ54ヶ国の中にはこのような国があるということを知っていただきたく筆を執っている次第ですのでご理解いただければと思います。

写真撮影は基本NG

以上のことからこの街で悪事を働くというのがどれほどハードルが高いことかおわかりいただけたかと思います。
国連軍だけでなく、警察や警備の方もそこら中にいるので、要は監視カメラが街中の至る所にあるのと変わりません。
そのため、旅人がこの街で絶対に気を付けないといけないことが一つ。
もうわかりますよね。
そうです、写真撮影!
「またかぁ〜」という感想を持たれる方はこのブログをよく読んでいただいている方ですね。
はい、またです。

調べてみると中央アフリカでの写真撮影には許可証が必要だった時代もあるそうで。
スマホが普及した現在はカメラが特別なものではなくなり、Google Mapsなどには地元の方が撮影した写真が堂々とアップされています。
「じゃあ私も〜!」といきたいところですが、一歩間違えると犯罪者として捕まる可能性があることを覚えておいて下さい。
水面下に危険が潜んでいる国や地域において、写真撮影は基本好まれる行為ではありません。
街並みや建物、道路などは全て『情報』であり、それを撮影する行為は治安を揺(ゆ)るがすものとして捉えられても仕方がないのが危険レベル4の国です。
日本では首都圏の小学6年生が東京見学の一環で国会議事堂前で集合写真を撮ることがありますが、もし中央アフリカで同じようなことをしようもんなら一発アウト!
また、たまたま写真を撮っていたら写り込んでしまったなんてパターンも可能性として考えられますが、言い訳は一切通用しないと思って下さい。
中でも警察や軍の方々を撮るのは絶対にダメです。
なので写真撮影は基本NG!
・・・そんなことを言いつつ私自身撮影をしているので説得力はありませんが、決して無闇矢鱈(むやみやたら)に撮っているわけではないので誤解なさらぬようお願いします。

外出する際はパスポート原本を携帯

ここまでの話をまとめると、中央アフリカの首都バンギはとにかく写真撮影を控えて、あとは基本的なことに気をつけさえすれば外出できるということになります。
先に言っておくと、この滞在中に身の危険を感じるようなことは何一つ起きませんでした。
バンギの街を歩きながら改めて感じるのは『レベル4』という言葉が我々にもたらす強烈な印象操作。
真っ赤に塗られたエリアを見るとそこにいる全員がまるでテロリストかのように思えてしまい。
もちろんそんなことは決してないんです。
それは当たり前なんですが、実際に訪れるまではほんの少しだけ疑ってしまう自分がいるのも正直なところで。
バンギで暮らすみなさんの様子を見て一安心すると同時に、『百聞は一見にしかず』という言葉の重みを何度も実感させられました。

ということで、今日も外へ出かけるぞ〜!
と気持ちを引き締めてホテルを出発です。
車やバイクの交通量が多く、それでいて横断歩道のようなものがあるわけでもないので道路の反対側へ行くのは一苦労。
行き交う車を見ながら渡れそうなタイミングを見計らうもなかなか上手くいかず、立ち往生していたその時です。

「どこへ行くんですか?」

近くにいたガッツリ装備を着けた迷彩服の警察の方が声をかけてくれたんです。
これはもしや横断するための手助けをしてくれるのかなと思いながら聞かれたことにイロイロ答えていると

「パスポートを見せて下さい」

えっ?
なんだなんだと思いながらパスポートのコピーを渡すと、何やら不穏な空気が流れ・・・
何何何!?
全く状況が掴(つか)めない中、少し離れた木の下に待機していたボスの元へいっしょに来るように言われまして。
何もしていないのにいきなり呼び止められてボスと面会。
これは賄賂(わいろ)を求められるパターンかもなと覚悟ができたところでボスの出方を伺(うかが)います。

「パスポート(原本)はどこにある?」

宿泊しているホテルのすぐ目の前で呼び止められたので

「部屋にあります」

と指差しながら伝えると

「持ってきなさい」

とのこと。
ここは言われた通りにするべきだと判断して取りに行くことにします。
が、なんと警察の方も付いてくるんです。
一体何がしたいのか。
とりあえずパスポートを持って急いでボスの所に戻りまして。
果たして次の一手はどう出てくる!?

「OK!ノープロブレム、ノープロブレム」

パスポートが返され、ついでに道路を横断する手伝いもしていただいて無事に解放されたのでした。
・・・驚かさないで下さいよ〜!
とこの時は思いましたが、実はココで警察のみなさんに呼び止められていなかったらとんでもないことになっていたかもしれないんです!!

街中を国連軍の車が走り回り、警察もたくさん見かける首都バンギ。
彼らは危険を未然に防ぐために活動しているのであり、必要に応じて街行く人の身分確認も行っています。
そのためこの国では外出時は身分証を所持することが義務付けられているんです。
これは旅行者も例外ではありません。
パスポートの原本を常に携帯する必要があります。
彼らからしたら街中をウロウロしているアジア人の私こそ最も怪しい危険因子なんです。
あとでホテルのスタッフさんに先ほどの警察とのやり取りを伝えると

「パスポートを持っていないとそりゃ捕まるよ!」

と驚かれてしまいました。
所変われば常識も変わるということですね。
旅中はパスポートを極力持ち運びたくないのでコピーで代用していますが、中央アフリカでは効力を持つのは原本のみになります。
この事実にホテルから100mも離れていない場所で気付けたから良かったものの、もしそのまま出かけてどこか見知らぬ場所でパスポート不所持で捕まってしまっていたら・・・
改めて呼び止めてくれた警察の方に感謝です。

「シンギラ!」
(サンゴ語で「ありがとう」)

バンギ市内はバイクタクシーで移動可能

さぁ、これでようやく安心して街へ出られるぞというところで今回は終了です。
レベル4の首都の様子はもう少しだけ引っ張らせていただきたいと思います。
もったいぶってすみません。
本日最後に紹介するのはこの街の移動手段です。
中央アフリカ入国の際にはたくさんの外国の方を見かけて少し安心したのですが、街中ではその姿を一切見かけません。
やはりこの街で外を歩くことは推奨されてはいないようで、みなさんご自身の車で移動をしています。
なのでバンギを1人で歩いているアジア人なんてのは注目の的!
そりゃ警察も声をかけるはずです。
地元のみなさんの視線もイヤでも集まります。
ただ、何度も言うように危険を感じることはないので歩けないことはありません。
ただ歩いているだけでなんだかんだ神経を使って疲れてしまうので、バイクタクシーも上手く使うと◎
長い距離でも500セーファーフラン(約100円)ほどで利用できるので旅人にはありがたい移動手段です。
こちらも外国人が乗っていることはまずないので確実に目立ちますが、バンギの街を風を感じながら駆け抜ければ気分爽快!
それではいざ、バンギの中心地へと向かいます。

DAY399へ続く

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