中央アフリカを旅する① 危険レベル4の国のビザ申請方法完全解説

2023年12月11日、天気晴れ。

中央アフリカを旅する

入国早々いろいろあった昨日。
予約していた宿が満室だから泊まれないという自身初の経験をしまして。

「ありえないだろ〜!」

と思ったのですが、『ありえないことなんてありえない』のがアフリカでした。
そのあと宿を見つけることはできたのですが、これがとーっても良すぎるホテルで・・・当初の予定より1泊1万円も高いんです。
が、やって来たのは中央アフリカ。

外務省の海外安全ホームページが出している危険情報。
中央アフリカは全土が『退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)』のレベル4に指定されています。(2025年5月時点)
各地で武装勢力の襲撃が断続的に続いているとのことです。
また首都バンギ(左下)も治安情勢が不透明とのことで同様にレベル4。
一番の原因は政治の不安定さにあり、独立以降クーデターが何度も起きている中央アフリカ。
2023年8月に新しい憲法が採択・公布されたばかりで、今後への期待が高まっているところではありますが果たしてどうなるのか。
とりあえず現時点でアフリカの中でも特に治安の悪い国、それが中央アフリカになります。

なので今回はお金を出してでも安心して滞在できるホテルを選びます。
この国は公用語がフランス語なのでホテルのスタッフさんが英語を話せるかというのも非常に大事なポイントです。
ちょっとバックパッカーは場違いな感じはありますが、それでも温かく迎えてくれたホテルQuatre Saisons Hotel
ココに決めました。
現金は先払いなので持っていたお金がほとんど消えましたが我が選択に一片の悔い無し!
よろしくお願いします!!
※2023年12月時点ではまだ外構が工事中でしたが、現在は完了して中庭ができあがっています。

さて、ここまでの話を聞くとこう思うはずです。

「そんな危険な国のビザって取得できるの!?」

入国にビザが必要な中央アフリカ。
ケニアを出国する際にもビザの確認がしっかりと行われました。
正直疑われていたような気もします。

「あなた本当に中央アフリカのビザを持ってるの?」

そりゃそうですよねと。
バックパッカーが今から中央アフリカへ行くと言ってもなかなか信じてもらえません。
なのでこのビザが目に入らぬか!的な感じでパスポートのページを開いて渡します。
はい、もちろんこの日のために取得した中央アフリカのビザ。
一体どのようにゲットしたのか?
ここにその全てを記したいと思います。

中央アフリカのビザ取得方法

まず中央アフリカは2023年時点でE-Visaのようなシステムは運用していません。
同じく治安の悪い国として有名なお隣の南スーダンはこのオンラインでの申請ができたのでなんとかビザをゲットできました。
が、中央アフリカではその手段は使えず。
となるともう大使館に行くしかないのですが、これまた2023年時点で日本に中央アフリカ大使館はないんです。
これはもう詰(つ)んだか!?
と思ったのですが『中央アフリカ ビザ』でネット検索するとトップに出てくるなんとも怪しげなサイトがありまして。
それが

「中央アフリカ共和国名誉総領事館」

このブログをずっと読んでいただいている方は思い出すかもしれません。
以前ニジェールビザの発行の際にも紹介した名誉総領事という肩書き。
順番が入れ替わってしまいましたが、私がこの存在を知ったのは実はこの中央アフリカが先でした。
初めて見る名誉総領事館という謎の施設。
疑わしく思いつつも、とりあえずホームページの内容を調べてみるとこれがちゃんとしていて。
そこに『ビザ発給手続き要項』の文字も発見。
これは信じてもいいかもしれないと思い、とりあえずものは試しでチャレンジしてみることにしたんです。


先に言っておきますがこの中央アフリカ名誉領事館は疑う余地のない公式な施設であり、疑ってかかった私が大変失礼でした。以降も無礼な表現があるかもしれませんが、この時の私はこう思っていたんだという感じで読んでいただけるとありがたいです。


①電話で予約をする

「査証申請の際は、事前に電話でアポイントをとる」

ホームページにこう書かれているのでまずは電話をします。
毎回大使館等に電話をする際は背筋が伸びる思いになるもので。
国によっては外国人スタッフの方が窓口になっていることもあるので、フランス語だったらどうしようなんて考えながら呼び出しをしていたら通話が始まります。

「もしもし」

落ち着いた日本人女性の方の声にホッと一安心。
ビザの申請のために連絡をさせていただいた旨を伝えると

「領事につなぎますね」

と言われました。
領事といったら中央アフリカの方に間違いありません。
というかビザ申請で領事に直接お話をするなんて滅多にないこと!
この電話でいきなり篩(ふるい)にかけられるのだろうなと思い急にドキドキしてきたところで、通話が再開されます。

「はい、お電話代わりました。ビザの申請ですか?」

電話口から聞こえてきたのはこれまた日本語。
それもかなりご年配の男性の声なんです。
よかった〜と思いながらも、本当にこの方が領事なのかイマイチ信じられず。
ですが、話はトントン進み、準備するものを教えていただき、領事館に伺(うかが)う日取りも決まり。
よろしくお願いしますと伝えて電話を切ります。
・・・なんかビザ取れちゃいそうだぞ?

②ビザ申請に必要な書類を準備する

ビザ申請に必要な書類もホームページにしっかり記載されています。

・ビザ申請書【3部】※ホームページからダウンロード
・パスポートサイズの証明写真【3部】
・往復航空券予約確認書類のコピー【1部】
・黄熱病予防接種証明書 ※当日原本を見せる
・ビザ申請代 5000円(シングル1ヶ月)

以上です。
はい、私もウソだろ!?と思ったので電話の際にも念のために確認しましたがこれだけでOKとのこと。
・・・中央アフリカのビザですよ??
ナイジェリアはあんなに大変だったのに・・・。
ビザ申請では定番のホテルの予約確認書類も不要です。
申請書を3部書かないといけないというのが唯一(ゆいいつ)面倒だなと思う点ですが、これもダウンロードして内容を見たらあまりにも基本的なことだけしか書く必要がないのでビックリ!
これを3枚書けば中央アフリカのビザがいただけるのであれば喜んで書かせていただきますよ。

③ビザを申請しに行く

それではここで改めて名誉領事についての説明です。
日本に大使館が無い国からその国の領事としての権限の一部を委託された日本人の方を「名誉領事」と呼びます。
当然誰でもなれるものではありません。
その国の発展に深く貢献した方などが特別に任命されます。
要は名誉領事というのは只者(ただもの)ではないわけです。
やって来たのは東京都世田谷区の一等地。
そこに中央アフリカの国旗が掲揚(けいよう)されている立派な一軒家があります。
こちら、中央アフリカ名誉領事である江口 工(えぐち たくみ)さんのご自宅です。

江口 工 中央アフリカ名誉領事
中央アフリカ共和国名誉総領事館ホームページよ

鉱研工業株式会社前社長・工学博士。
1929年福岡県筑後市生まれ。
1953年に熊本大学工学部卒業。
同年鉱研試錐工業株式会社(現鉱研工業株式会社)に入社。
入社後、アフリカや旧ソ連などで鉱山採掘調査、地下地質調査に関りながら、ボーリング機械の製造にも携わる。
その間国内では石炭ボーリング、金属鉱山開発、ダム建設やトンネル建設の機械製造などを行う。
鉱山開発や地下開発などの現場で培ってきた技術を元に地震研究も続けており、その成果を「地震防止工法」の特許としてまとめている。
1967年より取締役、1981年から2006年まで代表取締役社長を務める。
早稲田大学工学博士。
技術士(建設部門・水力)。
鉱山開発が縁で、中央アフリカ共和国名誉総領事を務めている。

HMV &BOOKSより

約束の時間ピッタリにインターフォンを押すとゆっくり開くゲート。
入っていいのか躊躇(ちゅうちょ)していると、奥の玄関から江口さんが出てきてくれまして、どうぞと中へ案内されます。
通されたのは玄関横の立派な応接室。
おかけくださいと言われるのでソファーに座り、用意したビザ申請の書類を手元に出します。

『本人申請の際は、担当官が直接面接をする』

ホームページにはこのようにも書かれていたので、久しぶりの試験モードです。
どんなことを聞かれるのか!?
軽く緊張していたのですが、そこから始まったのは申請書に書いてあることの確認と、そのあとは楽しい会話でした。

もう江口さんの経歴がスゴすぎて。
江口さんは先ほどの説明にもある通り鉱山採掘などに使用するボーリング機械開発の第一人者!
その世界では知らない人はいないというすんごい方なんです。
24歳で初めてアフリカへ渡航されてから様々な国の鉱山採掘に携わったそうで。
そして活動はアフリカだけに留(とど)まらず、これまで訪れた国は130を超え、ロシアには旧ソ連時代から通算70回は足を運んだとのこと。

「プーチン大統領ともたまに電話でお話しますよ」

一つ一つの話のネタのインパクトが強すぎます。
そんな江口さんはなんと御歳94歳!
(2025年現在は95歳!!)
これが何より驚きで、もちろん御高齢なことは確かなんですが、話し方や立ち振る舞いなどを見ているとまぁ94には見えない若々しさがあるんです。
スゴイ方にお会いして、刺激的なお話を聞かせていただき何だかパワーをもらいました。

さぁ、ビザ申請のための書類を全てお渡しして、あとは後日また受け取りに来ます!
と思っていたらサッとビザ用のシールを一枚出して書き始める江口さん。
ホームページには翌々日発行と書いてありましたがその手が止まることはなく。
公式のスタンプを押したらそこにサインも加わり・・・

ジャン!
まさかの即日発行で中央アフリカのビザをいただいてしまいました!!

「いいんですかぁ〜!?」

正直渡した書類はほとんど目を通されず、ずっとおしゃべりをしていただけです。
まぁこのトークでもしかしたら人となりを判断しているのかもしれませんがね。
それにしてもあまりに簡単に発行していただいたので逆にもらったコチラ側が心配になります。
が、何はともあれ中央アフリカのビザをゲットです!

いかがでしたでしょうか?
危険レベル4の国への切符がこんなにアッサリ手に入るとは予想外だったかと思います。
はい、私自身もパスポートに貼られたビザを見返しては

「マジか〜!」

と何度も信じられない気持ちになっていました。
しかし、やっぱりちょっとは不安もあったんです。
・・・コレ、ちゃんとビザとして機能するんだよね?
厳しい審査の末に取得したわけでもなく、言ってみれば一枚のシールをただペタッと貼ってもらっただけです。
中央アフリカと書いてはありますが、現地でビザとして認めてもらえるんですよね??

はい、認めていただきました。
入国審査官から何か言われるようなことも一切無く。
改めて江口さんに感謝です。

ということで無事に昨日入国をしまして、本日は早速この国の首都バンギの街を見て回ってきました。
その様子は明日じっくりお伝えしたいと思います。

DAY398へ続く

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