ソマリランド(ソマリア)を旅する① 危険レベル4の国の国境の町で過ごす26時間 〜ジブチからの陸路入国情報 Part2〜

2019年8月6日、天気くもり。

ソマリランドの歩き方

話は昨日の夜にさかのぼります。昨日の夕方5時にソマリランドへの入国(★)を完了し、さぁいよいよソマリランドの首都「①ハルゲイサ」に向けて出発!長いドライブになるから車の中でできるだけ寝て、明日はいよいよ観光だ!!と思っていました。

が、一向に動く気配がない。車の上部に乗せた荷物にレインカバーをかけて出発していく車も少しずつ増えていく中で、私の車はその準備をする様子が全くありません。いつ出発するんだ?と。そして夜8時になる頃でした。

「車に乗るはずだった1人がビザの金が無くて入国できなかったから客の数が足りない。君たちがその1人分を払ってくれるなら出発できるけど、どうする?」

もう1人の乗客予定の女性はまぁ怒ってました。なんで出発しないのー!!お金なんて払うわけないでしょー!!こんな感じだったと思います。英語じゃなかったので想像です。私はというとお金を追加で払う気はなかったので、今日は出発せずに明日客が来るのを待つということで納得しました。ムダにお金は使いたくなかったので…。

野宿

ということでなんとソマリランドの国境で一夜を明かすことが決定!そしてここはホテルがあるような大きな町でありません!国境手前のちーいさな町です。なので…もうおわかりでしょうか?はい、今夜は野宿です。まさかのソマリランド、危険度レベル4の国で野宿!!こんな刺激的なことがあるのか!?という感じですが、マットレスにシーツ、そして枕まで用意してくれまして寝心地は意外にもバツグン!アフリカの国境でのまさかの2度目の野宿です。ソマリランドに入国したといってもまだすぐ隣(となり)がジブチという場所なので、夜になってもそれなりに暑いわけで。外で寝ていると少し吹く風でも気持ち良く感じられるからいいものです。ソマリランド入国初日にこんな体験をすることになるとは。いきなり非常に思い出深い夜になりました。

さぁ、まだここまでは昨日の話ですからね。今日はここからです。私はまだソマリランドを知らない!そのことを強く知ることになるソマリランド2日目の朝です。ちなみに、明るくなって自分が寝ていた場所がわかるとちょっとビックリしました。こんなところで寝ていたのかと。

まずは朝ごはんから!昨日の夕飯も同じ場所で食べたのですが、国境すぐ近くのレストランの男性陣(だんせいじん)がつくる料理がまぁ美味しいんです。付け合わせのパンがすすむいい感じの味付けがバッチリ!豆で朝からチカラをつけ、さらにあま〜い紅茶で一気にカラダにエンジンがかかりました。

そしてようやく出発です!このソマリランドの国境の町「ロウヤッド(Lawyaddo)」ともついにお別れです。野宿で一夜を過ごしたということでかなり思い入れの強い国境になりました。朝の8時になり国境も開きました。さぁ、客を集めて出発です!…出発です!…出発…するよね?…あれ??

国境の営業時間

国境は開いたはずなのですが、肝心(かんじん)の運転手さんが見当たらないんです。今回お世話になるドライバーのジャメルさん。いったいどこにいるんだ??近くにいた人たちにジャメルさんがどこにいるかを聞いてみました。ちなみに、ソマリランドに入った瞬間から英語が通じる人が増えました。もし英語が通じない環境だったら昨夜はきつかっただろうなぁと思います。これは本当によかった。さぁ、ジャメルさんはどこなの?

「寝てると思うよー」

いやいやいやいや!出発!!出発するよ!!何をしてるんだジャメルさん!?と思いながら彼のところへと向かいます。そしたら本当に寝てました。もういい加減にしてくれと思いながら彼を起こして伝えます。

「ジャメルさん!国境開いたよ!!早く客引きしないと出発できないよ!!」

するとこの後でした。衝撃(しょうげき)の回答がこちらです。

「午前中はソマリランドを出国してジブチへ入国するための国境が開くんだ。ソマリランドに人が来るのは午後だよ!」

…絶望と共に点と点が線でつながった瞬間でした。昨日の時点でおかしいと思ったんです。なんで国境に向かう車が夕方4時頃にしか出発しないのか。なぜ、こんな夜遅くに国境にわんさか人と車がいるのか。…つまりこういうことです。

  • 8:00~12:00 ソマリランド→ジブチ入国
  • 15:30~19:00 ジブチ→ソマリランド入国

えー、結論から言いますと私はまだこの町を出発できないということでした。なぜならソマリランドに入国してくる旅行者は15:30以降にならないと現れないからです。…マジかーーーー!?朝早くから気合入れて、よし!いよいよ出発だ!!なんて思ってたわけですが、全くの勘違い(かんちがい)でした。最速でも夕方3時半までこの国境に待機することがわかり、さらにこの時点で今日中に目的地のハルゲイサに着くことはないということがわかったわけです。…そういうことね。そりゃ昨日の女性は怒る(おこる)わけだ。昨日の夜の時点でこの事実を知っていたら…タラレバの話はやめましょう。今さら怒っても仕方がないので、今日はガッツリこの国境の町に腰を据(す)えて午後の国境が開くまで待つこととしました。

国境の治安

日本にいると、何時までに!何日までに!!なんて感じで期限を意識して動きがちな気がします。期限があるから動こうとするわけだし、それが一つの指針になって自分自身を動かしているんだなと。今の私の旅のように期限というものが無いと、こういう時に焦り(あせり)は感じません。与えられたゆっくりする時間だと認識して、いろいろと物思いにふける。こんな待ち時間がもしかしたらとっても貴重なものなのかもしれません。

そして昨日からずーっと同じ場所にいるということで、だいぶ顔なじみも増え、国境に居心地の良ささえ感じ始めました。事前に調べた情報では”国境付近で石を投げつけられることがある”なんてことが書いてあったのですが、今回の私の場合は全くそのようなことはありません。治安の悪さを感じることはなく、人もみんな非常にやさしい方ばかりです。まだ慣れないソマリランドのお金「ソマリランドシリング」での買い物では親切にレートを教えてくれながら対応してくれたり、ずっと待ってる私に気をつかって声を何度もかけてくれたりと、非常に温かい歓迎(かんげい)を受けています。これがソマリランド。なんだか思っていた国境とあまりに違うので不思議な気持ちです。

ソマリランドのSIMカード

ただ、さすがに待ち時間が長い本日。そんな問題を解消してくれる”あるもの”をソマリランドの国境でゲット。SIMカードです!なんとソマリランドに入国するとすぐに手に入れることができるんです。エリトリアでの大変な冒険を経験しているので、そのあまりのあっけなさ逆にビックリ!

ソマリランドの通信会社はその名も「Telesom」。「テレコム」ではなくソマリア(Somalia)にかけて「テレソム」です。お店のお兄さんが設定を全てやってくれるので、インターネットもすぐに使えるようになりました。SIMカードと最初の400MB分のデータを買って25000ソマリアシリング(約300円)。ちなみにこの国境ではソマリアシリング、ジブチフラン、USドルの3種類の通貨が使用可です。ダマして多く取ろうとする人はいませんでした。ちなみに、1週間3USドルで5GB使えるプランを利用しました。非常に安い!さすが自国のための通信会社です。

覚醒植物「カート

エチオピアやジブチでも見かけた覚醒植物カート(チャート)はここソマリランドでも大人気!この葉っぱを濡(ぬ)れたタオルにくるんで大切そうに抱えながらパクパク食べる男性の姿はなんとも微笑(ほほえ)ましく思えてきます。たーくさん口の中に含んで、どっちかのホッペにためておくという楽しみ方が主流のようです。そしてカートを食べてる人はみーんな口が緑色!…面白い文化です。

24時間がすぎるといよいよ大台に乗ったなぁという気がしました。夕方5時頃になるとついに旅行客らしき人の姿が少しずつ増えてきました。未だに書いていても本当かなぁ?と疑ってしまう午前と午後で入国の受け入れを分けるシステム。本当に面白い国境です。

夕方から町が一気に活気づく国境の町ロウヤッド。両替用の大量のソマリランドシリングを持って歩くおばちゃんが姿を見せるのも日がだいぶ傾(かたむ)いてきてからです。レストランも人が一気に流れこんでくるので、夕方からが大忙し!

「行くぞ!!」

夜7時。ついにジャメルさんから声がかかりました。キターー!!ソマリランド入国から26時間。ようやく国境とお別れです。

国境の子どもたち

そう思うと一気にさみしくなるのは、別れを惜(お)しんでくれる少年たちがいるから。非常に私に興味を示してきた彼ら。普段だったら軽くしゃべってバイバイをすることが多いわけですが、丸一日いたのでほとんど一緒にいたようなもんです。英語ではなく現地語しか話せない彼らなので思うように会話はできませんでしたが、それでも一緒にいて楽しかったしいろいろ気もつかってもらっちゃいました。

朝から家の前の掃除(そうじ)をし、買い出しや車の洗車などの仕事を淡々(たんたん)とこなしていく彼ら。この国境で生活していくということをその姿から学ばせてもらいました。

何度言っても「コジマ」という名前を忘れてしまう彼らに、最後はメモを渡してサヨナラをしました。楽しかったしお世話になりました!またね!!

国境出発

さぁ、この時はもう「ついにハルゲイサだ!!」という感じでテンションが最高潮(さいこうちょう)になったわけです。が、まだ早かった。本当の意味での国境越えはココからでした。確かに出発前に気にはなっていたんです。なぜバスが出ていないのか。たくさんの人がハルゲイサに向かうんだからバスがあってもおかしくないのに…。そしてもう一つ。やたらと多いランドクルーザー。知らない方のためにも書いておきますと、ランドクルーザーとは日本の自動車メーカーTOYOTAが生産している世界で最も有名であり最強とも言える4WDの車になります。トヨタの宣伝では『地球上のあらゆる道とあらゆる人々の生活を想定し、最も厳しい基準でクルマづくりを行ってきたランドクルーザー』なんて風に書かれているわけです。そのランドクルーザーがハルゲイサまでの移動手段なのかぁ〜。カッコイイなぁ〜。なんてのんきに思ってたわけです。

が、出発してすぐにわかりました。私はまだソマリランドを全く理解していなかった!!

2 件のコメント

  • はじめまして。
    現在、ブルキナファソ在住のてんやわんやママと申します。

    AAAのサイトで記事を拝見して、ブログにお邪魔しました。(国境越え記事の、ザンビア→ボツワナのカズングラ、私もあのフェリー?に乗って国境越えしました!懐かしかったです!)

    国境に野宿、居心地よく感じるなんて、すごいっすね。

    ソマリアにも4Gがあることに、ちょっと驚きでした。笑

    これからも気をつけてください。ブルキナファソから応援しています!(ブルキナに来る際はぜひご一報くださいね。)

    • ありがとうございます!
      ブルキナファソ!すごく興味ある国の一つです。必ず行きますので、その際は是非お会いできればと思います。
      これからも様々な国のヒトモノコトを求めて旅してブログで発信するので楽しんでもらえると嬉しいです!

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