2023年6月17日、天気晴れ。
目次
アルジェリアを旅する
5泊6日のアルジェリアツアーも残すところ2日。
最終日は出国となるので丸一日をこの国で過ごすのは今日が最後となります。
いやー、もう終わってしまうことにビックリ!
楽しい時間というのはあっという間に過ぎていくものですね。
つい昨日入国したばかりの感覚ですが、振り返ってみると確かに濃い日程を過ごしてきました。
ツアーなのでサクサク流れるように観光スポットを巡るのかと思いきや、訪れる一ヶ所一ヶ所が強烈な印象を残す重厚な感じで。
まるで贅沢(ぜいたく)なコース料理をいただいているかのような旅行会社Fancyellow Travel Servicesのアルジェリアツアー。
こうなってくるともっとこの国を見てみたいという思いもあります。
が、5泊6日ぐらいが腹八分目でちょうど良いかもしれません。
ずっと同じ環境いるとどうしても慣れというものは生じ、感動や興奮も薄れてしまうもの。
ドキドキワクワクが最高潮のところで旅を終えるとその国が『また来たい国』になるので!
私の中で既にもう一度来る国になっているアルジェリア。
ビザ申請に時間はかかりますが、取得のために労力をかけるだけの価値がこの国にはあります。
このブログを読んでいただいているみなさんの中にも
「アルジェリアがこんな国だとは知らなかった!」
「アルジェリアに行ってみたい!」
と思った方がいるのではないでしょうか!?
そう、この国は間違いなく今後もっと注目を浴びる観光大国になります。
今はまだその魅力に気づいている人が少ないだけ!
数年後には大量の旅行者が訪れることになると思うので行くなら早めがオススメですよ。
さぁ、まもなく出国するかのような書き振りでスタートしましたが、今日はここから!
2日前からずっと滞在しているホテル。
毎朝目が覚めて窓の外を見ると
この景色が広がっていたんです。
夕暮れ時になるとこれまた息を呑(の)むような時間が流れまして。
目の前に美しい絵画のような光景がずっと見えていました。
しかし、先にティムガッドやジェミラの遺跡を巡るツアー日程だったので観光はお預け。
「早く見てみたい〜!!」
と思い続けてついに迎えたツアー5日目。
ようやくみなさんにこの街を紹介できるということが嬉しくてたまりません!
それはまさにアルジェリアツアーのフルコースの締めを飾るデザート。
本日巡るのはアルジェリア東部の大都市
「コンスタンティン」
です。
④コンスタンティン
コンスタンティーヌは、アルジェリア北東部に位置する同国3番目の規模の都市である。
Wikipediaより
内陸都市としてはアルジェリアで最大の規模を有する。
2008年当時の人口は448,374人。
地中海の沿岸からおよそ80km南に位置する、コンスタンティーヌ県の県都である。
都市の名前はローマ皇帝コンスタンティヌス1世に由来する。
Wikipediaではコンスタンティーヌとなっていますが、本ブログでは「コンスタンティン」と表記させていただきます。
紀元前3世紀には王国の首都となり都市が建設されたコンスタンティン。
ここで押さえておきたいのがその場所です。
ホテルの部屋から見えた風景でもおわかりのように、ここは山に囲まれた内陸に位置しています。
古代の都市というのは他国との外交や軍事の面から基本的に海沿いに作られることが多かったわけですが、そんな中こんな辺鄙(へんぴ)な場所に国を築いた当時の王様。
一体なぜココだったのか?
そこには非常に大きな理由がありました。
コチラをご覧ください。
1840年代のコンスタンティンの様子を表したイラストになります。
おわかりになるでしょうか。
そんな所に!?という衝撃の場所に作られた巨大な都市。
そう、それがコンスタンティンなんです。
太古の昔からこの地に流れていた川が長い年月をかけて大地を侵食し、その結果生み出された巨大な峡谷(きょうこく)。
まわりをグルっと一周川が削ったことによってそこに現れたのは外界から切り離された巨大な岩の丘でした。
1800年代のイラストには橋が架かっていますが、紀元前3世紀頃にはまだ人工の橋は当然ありません。
あったのは流れる川の作用で偶然生まれた岩の橋。
この橋があったことで人々は丘の上へ移住し、都市を築くことができました。
そう、この自然によってできた数本の橋がコンスタンティンへとアクセスできる唯一のルートだったんです。
コンスタンティンは周りが幅100mほどの深い谷に囲まれたいわば陸の孤島。
一見生活には不向きのように見えますが、逆に言えば外部からの敵の侵入を防ぐことのできる難攻不落の要塞都市としての機能を有していたこの場所。
王国民の暮らしを守るという意味では最適だったのです。
そして現在、この町がどうなっているかというと・・・
ジャン!!
オスマン帝国やフランスの支配下に入ると橋の建設が行われ、今日までに8本の橋が架けられました。
この峡谷をつなぐ橋の一本一本が本当に美しくて。
今では「橋の町」と呼ばれるようになったコンスタンティン。
驚きの絶景に次々と出会えるこの街をガイドさんと共に歩いてきました。
❶シディ・ラチェッド橋
飛行機でこの街に訪れた場合、空港からコンスタンティン市内への移動途中に目にすることになるのがこのシディ・ラチェッド橋です。
橋の町を象徴するこの圧巻の景色に到着早々大興奮!
1908年から1912年のフランス領時代に造られた長さ447m、最大の高さ107mのシディ・ラシッド橋。
完成当時は世界一高い石橋だったわけですが、その迫力は今も健在です。
コレを見られただけで既にもう大満足で
「橋の町の名は伊達ではないなぁ~」
と思っていたのですが、まだ1ヶ所目!
ココは始まりに過ぎないんです。
近くのベンチに座ってコーヒーを飲みながらこの景色をずっと楽しんでいたいところですが、先へ進みます。
❷アミル・アブデルカデルモスク
次はどんな橋が現れるのかなと期待が高まるところですが、その前に立ち寄ったのはこの街の中で一際目立つモスクです。
1986年に建造が始まり、1994年に完成した高さ107mの2つのミナレット(塔)と丸いドームが特徴の巨大なアミル・アブデルカデルモスク。
アルジェリアの中で最も美しいモスクと言われています。
旅行者でも中に入ることができるこのモスク。
それなら是非見ておきたいところですが・・・
Tシャツ&短パンといういつもの旅スタイルで来てしまった私。
イスラム教の人々の神聖な場にはあまりにふさわしくない格好です。
いやー、これは失敗したなぁと思っていると
なんと入り口で服を貸していただきました!
上から羽織ればフォーマルな格好に早変わり。
身なりが整うと自然と背筋も伸び、モスク内に足を踏み入れると思わず心が洗われるような気分になりました。
❸シルタ国立博物館
続いてやって来たのは博物館。
実はこの時の私は先ほどみなさんに説明したコンスタンティンの地理的特徴を全く理解していませんでした。
この博物館に飾られていた立体地形図を見て初めてこの街が峡谷によって分断されていることを知ったのです。
「こんな場所にいたのか!!」
と現在地にビックリ。
まさか切り取られた岩の上にいるとは思ってもいませんでしたからね。
シルタ博物館でコンスタンティンの地理を掴(つか)んでおくと、このあと訪れる橋の見方がだいぶ変わります。
橋への興味もさらに高まるわけです。
ちなみにティムガッドやジェミラでも見た古代ローマ時代のモザイクアートや彫像も展示されています。
が、こちらはもう十分堪能(たんのう)してしまったのでサラッと見て終了。
早く橋を見たいという思いが抑えきれないので急ぎ足です!
❹滝の橋
それではここで一度コンスタンティンの全体像を確認です。
地図で見ると川が流れていることがわかります。
この川が大地を分断する峡谷になっている部分です。
コンスタンティンの旧市街は岩の丘の上でも一番高い位置に作られました。
要は崖(がけ)の上!
そこから離れるとものすごい急な坂道があり、あっという間に100mぐらい下ってしまいます。
ということでグワーッと崖を降りてやって来たのは川にかけられたこちらの滝の橋。
小さい橋ですが美しい見事な建築で。
何よりよくこんな所に建設したなという驚きが勝ります。
今も止まることを知らないコンスタンティンの大地を削り出した流れる水の勢い。
滝の橋からは川沿いを歩くことができます。
見上げるとこれがまた衝撃の光景で。
遥か上部には橋が架(か)かっているのが見えるんです。
先ほどまではあの高さにいたんだなと。
そして、あの橋を人間が造ったという事実。
・・・マジかよ。
橋の町、恐るべしです。
❺戦没者慰霊碑
一番下の川辺まで行ったかと思ったらまたまた坂道を一気に駆(か)け上りまして。
その道中もすごい景色の連続!
先ほどからもうずっと心臓の鼓動が高鳴りっぱなしです。
地図や模型でわかったつもりになっていたコンスタンティンの地理。
実際に車で移動すると信じられない光景に次から次へと出会い、その度に
「よくこんな場所に都市を築いたな」
という思いが一層強くなります。
街の一番高い所には第一次世界大戦で亡くなった人々のための慰霊碑があります。
そこからの景色が素晴らしいことは言わずもがなです。
砂漠の国として認識していたアルジェリア。
今はハッキリと言うことができます。
アルジェリアは砂漠だけではありません。
さぁ、もうおなか一杯いった感じかもしれませんがあと少しだけお付き合いください。
いよいよ登場するのはこの街に架かる橋の中でも特に見応えのある2本です。
❻シディ・ムシド橋
シディ・ムシド橋は、アルジェリアのコンスタンティンにあるルーメル川に架かる長さ164m高さ175mの吊り橋です。
Wikipediaより
1912年4月に開通し、1929年までは世界一の高さを誇る橋でした。
橋はフランス人技師フェルディナンド・アルノディンによって設計され、カスバとシディ・ムシドの丘を結んでいます。
先ほど川沿いから見上げていた橋がコチラになります。
近くで見ると益々どうやって建設したのかが謎でして。
極め付けは高さ175mからのこの圧巻の景観。
滝の橋があんなに小さく見えるんです!
真下を見てると恐怖で腰が引けるので、そんな時は少し遠くに目を向けます。
するとそこにもまた橋があって、それがまた非常に絵になる風景で。
感情の高低差もものすごいことになるコンスタンティン観光です。
❼メラ・スリマン橋
メラ・スリマン橋は、アルジェリアのコンスタンティンにあるルーメル川に架かる長さ125m高さ110mの吊り下げ式歩道橋です。
Wikipediaより
1925年4月に開通した当時は世界で3番目に高い橋になりました。
この橋はフェルディナンド・アルノディンによって設計され、ラルビ・ベン・ムヒディ・ラルビ通りとルーマニア・ロードを結んでおり、鉄道駅周辺と旧市街の中心部を結んでいます。
コンスタンティンはどこも観光客で賑(にぎ)わっていますが、その中でも一番混み合っていたのがこのメラ・スリマン橋です。
他の橋とは違って車が通れない歩道橋なので、橋からの眺めをゆっくり楽しむことができるのがポイント。
橋の突き当たりにはリフトがあり、それに乗ると旧市街エリアに行くことができるということでこれも人気のアトラクションになっています。
そしてこの橋の上から見えるのもまた橋。
バブ・エル・カントラ橋という1792年のオスマン帝国時代に建設されたこの街で最も古い橋です。
橋を何本も見ているとさすがに飽(あ)きてくるかと思いきや、見れば見るほどハマっている自分がいまして。
自然が分断した大地をつなぐ人工のアーチ。
それがあまりに芸術的で。
橋にこんなに心を奪われるとは思ってもいませんでした。
また来るときは一つ一つの橋をもっとじっくり鑑賞したいと思います。
はい、また来ます!
味のあるカフェでエスプレッソを飲んだり、オスマン帝国時代の宮殿を見たりと他にもイロイロしたのですが・・・だいぶ長くなってしまったのでここまで!
ということで、コンスタンティンをこれでもかというくらいに満喫させていただきました。
車での移動もありましたが、なんだかんだ結構歩きまして気持ちの良い疲労感です。
気付けば少し日も傾き始めていて、コンスタンティンの街とのお別れの時間に。
アルジェリア東部を巡った3日間。
感動で胸がいっぱいで、今は軽く燃え尽き症候群です。
いやー、大大大大大満足!!
予定より遅れた関係で最後にコンスタンティンの夜景も見ることができたところで、飛行機に乗って首都アルジェへと帰ります。
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