ソマリランド(ソマリア)を旅する② 首都「ハルゲイサ」までの300km酷道ドライブ 〜危険レベル4の国の人々〜

2019年8月7日、天気晴れ。

ソマリランドの歩き方

国境での26時間待ちを経て、ようやく首都ハルゲイサに向けて出発した昨夜8時半。もう辺りは真っ暗で景色を楽しむこともできないので、これはしっかりと寝(ね)て、明日に備えよう!と思っていたんです。が、しかし!ここからでした。想像をはるかに超える旅路の始まりは。

ハルゲイサへの道のり

地図で見ると一本の線が続くハルゲイサまでの道のり。その距離およそ300km。思ってた以上に近い距離でしたが、町の人たちにハルゲイサまでの所要時間を聞くと

「8時間ぐらいだよ!」

という情報が。たった300kmしかなく、さらにはエチオピアのように道がクネクネしているわけでもないこの距離に8時間もかかるのか?…まぁきっとだいぶ多く見積もっての8時間なんだろう。この時はそう思っていました。

ですがすぐにわかりました。まずその道が道ではなかった!道なき大地を前の車が走った跡(あと)を頼りに進んでいくんです。マジですかと。しかも夜ということで視界は真っ暗で何も見えない中を進んでいく車。そして当然ですがとんでもなくゆれるんです!ひたすらガッタンガッタン車体をゆらす車の中で寝れるわけがなかった。ちなみに、この写真を見て不思議に思った方はいますか?助手席から撮っているのですが、なんとソマリランドの車は日本と同じ右ハンドル!アフリカで見る初めての右ハンドルに感動ですが、まぁ車はゆれるゆれる。

これはとんでもない移動だぞと思いながらなんとか1時間半ほど走ったところで最初の休憩(きゅうけい)です。これだけ走って進んだ距離は50km。…算数の問題です。50kmを1時間30分で進む車は、300km進むのにおよそどのくらいの時間がかかるでしょうか。

300kmは50kmの6倍なので、1時間30分(90分)の6倍。90×6=540。540分。つまり540÷60で答えは約9時間!マジかーー!!この事実にいきなりノックアウトされたのと同時に、町の人たちが言っていたことが正しかったと気付かされた瞬間でした。9時間。ただの9時間なら全然問題無いんです。アフリカでの陸路移動の経験はそれなりに積んできているので、長時間移動はすっかり慣れたもの。しかし!このとんでもないゆれが9時間続くと考えるとさすがに恐ろしくなります。マジか。この区間を大型バスが運行できない理由がよーくわかりました。

「コイツはこの区間を10年間走ってくれてるんだ。日本車はさすがだよ!」

この休憩を最後にとにかくひたすら前へ前へと進むランドクルーザー。激しい横ゆれと縦(たて)ゆれ。これまで経験した中でダントツに激しいドライブが永遠と続きます。ランドクルーザーのポテンシャルもさすがですが、ドライバーのジャメルさんがこれまたすごい!真っ暗な中をかなりのスピードを出して進むランクル。車内はまるでディズニーシーのインディージョーンズのアトラクション状態なのですが、一人平気な顔をしているジャメルさん。さらに彼はここから6時間ノンストップで夜通し運転を続けたのでした。

朝6時。ハルゲイサまで残り80kmほどの地点で迎えた朝。明るくなってくると本当に道無き道を進んでいたことがよくわかり、改めてこの国境からのルートの過酷(かこく)さを痛感。ただ私はそんな激しくゆれる車内でなんと寝ていたらしいです!自分の意識としては全然眠れなかったなぁ〜と思っていたのですが、ジャメルさんから

「おまえ、よく寝てたぞ!」

とお褒(ほ)めの言葉をいただきまして。褒められてますよね?はい、そういうことにしておきます。

伝統料理「アンジェーロ」

朝食はクレープとホットケーキの中間のような生地を4枚重ねたソマリランドの伝統的なパン「アンジェーロ」をいただきました。フワフワとパリパリの食感がミックスされていて、味はほんの少し酸味を感じるこのアンジェーロは砂糖をまぶして食べます。ちなみにソマリランドは紅茶文化。あま〜い紅茶で朝から気合いが入ります!そしてこれをジャメルさんがさらっとおごってくれるのがカッコよすぎてシュクラン!!

ジャメルさんもさすがに疲れたようで2時間の仮眠を含めた朝食休憩を終えて、車は再出発。ここからはゆれの少ない山道ゾーンに入っていきます。これはさすがに夜中は進めないなとわかる険しいコースで、先ほどの町で明るくなるのも待っていたのだとすぐにわかりました。ようやく景色を楽しめるドライブがスタートです。

ソマリランドにもラクダの姿がたくさんあります。ここではラクダのミルクが人気のようで、道の途中にはペットボトルに入ったミルクを売る人々が。

さらに車を走らせているとこんな動物が!

「カメだぞ!!」

とジャメルさんも少し興奮気味。移動中にお目にかかる動物としてはかなりレアなカメです。昨夜の苦しいドライブから一転して楽しいサファリドライブに!

そのあとも縄張り争いでケンカをするキツネとサルの群れを見たり、あと少しでハルゲイサに着くというところで突然(とつぜん)現れた対向車とすれ違いざまにぶつかったりと、本当にイロイロあった道中。

ハルゲイサ到着

そして国境を出発してから14時間!ソマリランド入国から41時間!!ついに!!!首都ハルゲイサに到着しました〜!!!!…もう、言葉にできない達成感。来た!ついに来たよ〜!!

ドライバーとしてここまで私を連れてきてくれたジャメルさんには感謝しかありません。最初怪しい人かもしれないと疑ってしまったことが恥ずかしいくらいに親切でナイスガイな彼に出会えたことは本当に幸運でした。最後はガッチリ握手でお別れです。本当にお世話になりました!!

危険レベル4の国の人々

さぁ、ここまでの大変だった道のりの余韻(よいん)に浸りたいのも山々ですが、一気に気持ちを切り替えます。ここはソマリランドの首都ハルゲイサ。これまで踏み入れたことのない日本の外務省が「退避(たいひ)してください」という指示を出している国の首都です。そういう場所に今いることを意識し始めると、警戒レベルは自然と最大まで上がります。首都に到着して喜んでいるこのタイミングが一番気が緩(ゆる)んでいる時。さらにバックパックを背負ったアジア人ということでイヤでも注目を浴びてしまう状況です。ということでまずはいち早くホテルへ!

そこからでした。まず私に声をかけてきたのは靴屋(くつや)のおじさん。

「どこから来た?おぉ、ジャパンか!!」

とってもにこやかな笑顔で話しかけてくれました。ほぅ。そして歩いているとやはりジロジロ見られます。これはアフリカだとどこの国でも大抵同じです。が、いつも以上に自分がまわりを意識しているせいか視線を強く感じます。なのでこう言う時は逆にこちらから挨拶。

「アッサラームアレイクム(こんにちは)!」

「ワーレイクムサラーム(こんにちは)!君は中国人?あっ、日本人か!ジブチから来たのね。ハルゲイサは涼しいだろ!」

英語も公用語になっているソマリランドなので町の人と簡単に会話ができるのが嬉しいところ。ほぅほぅ。バスに乗っている子どもは手を振って来るし、もちろんお決まりの「チャイナ!」と言ってくる人もいるし。…老若男女様々な方にこんなに声をかけられる国は今まであったかなと。少なくとも今回のアフリカ54ヶ国制覇の旅-第2章-で訪れてきた他の3ヶ国と比べると、明らかに声をかけられることが多いです。なんとも不思議だなぁと思いながら歩いていると

「君は日本人かな?やっぱり!ソマリランドをどこで知ったの??ここは平和な国だよ。君の国みたいにね!ソマリランドにようこそ。」

私が抱いていたソマリランドのイメージ。国境で過ごした1日でも少しずつその印象が変わっていったわけですが、ここハルゲイサの人々によって完全に壊(こわ)されました。「危険」と呼ばれるのはこの国という大きな括(くく)りであり、そこで暮らすのは他の国と変わらない、他の国よりも温かい心をもっているかもしれない人々!勝手に作り上げられていた先入観がスーッと薄れていきます。

だからといって完全に油断するわけではありません。もちろん最低限の警戒は常に怠(おこた)りません。中心地はかなりガヤガヤとした印象のハルゲイサ。ホテルの場所もなかなか見つけられず。ですが、地元の人に聞くとすごく丁寧(ていねい)に教えてくれました。わからないことがあったら聞く!そんな当たり前のこともこの国ではできないかも…と思ってた自分がいました。反省です。信じることから始める!この大切さを今日ほど感じたことはありません。

ということで、ホテルにチェックインして2日ぶりのシャワーで完全復活。さすがにここまでの移動で疲れたので今日は部屋でのんびり!とも思いましたが、実はもうすでにソマリランドの旅は3日目。休みたい気持ちもありますが、もっと知りたい欲の方が勝りハルゲイサの街を少し散策することに!

ジブチは暑くて外に出るのが苦しかったですが、ハルゲイサは丁度いい気温!といっても30度ほどはありますが、今の私にとって30度は快適で散歩にピッタリくらいの気持ち良さです。が、気は張ってしまいます。やはり外へ出ることに対する緊張感はまだぬぐえません。この国は写真を撮ることがあまり良しとされないという事前情報を得ていたので、写真を一枚撮るにしてもiPhoneをサッと出してサッと撮る。悪いことをしているわけではないのですが、なんとも複雑な心境で。

ただもう一度書きますが、人は良い人ばかり!平日夕方だというのにものすごい賑(にぎ)わいを見せる通りでは、あちこちから声がかかります。私の方から声をかけても親切に対応してくれるハルゲイサのみなさん。

スイカジュース

この街のイロイロは明日書くことにしたいと思うので、今日は最後に1つ!ハルゲイサの街を歩くとたくさん目にするスイカ!!あちこちのお店に大量のスイカが並んでるんです。いや、積まれている?転がっている??どんな表現がいいかわかりませんがその数がすごい!!

そしてこのスイカを使った100%スイカジュースをいただきました。スイカの味がギュッと詰(つ)まったフレッシュジュース!氷を入れて冷やしたらもっと美味しくなるだろうなぁと思うのですが、常温だからこそ感じられる人の心の温もりがあるのかもしれません。ソマリランドで飲む一杯のスイカジュース。沁みました。やっとたどり着いた首都ハルゲイサ。明日は思いっきり歩き回りたいと思います!

3 件のコメント

    • ありがとうございます!
      健康で安全に旅をすることはこれからも最優先にして、自分の足で動いて見て感じる旅を続けていきたいと思います。

  • こんにちは、昨夜ジブチからの国境を超えてきて、今ハルゲイサに行く手前ボルマという町から書いています。この記事は到着後に読んで、みなそうだそうだ、とうなづいています。 本当にドラマでした。「!!」と書くか「、、、、」と書くか、。
    まずジブチが1時間に集中的に降った雨で、道路が至る所で洪水。国境手前で道が寸断。急遽大型トラックに乗り換えて水をかき分け運んでもらい、えーと、国境でのドラマははしょり、ソマリランド入国を果たし、4WDであの悪路を真っ暗な中を走行。はい、洪水です。ヘッドライトに照らされて、道がくぼんだところに不気味に赤い大量の水が幅広い川となって溜まっています。どれだけ深いのか、数台に増えてきた中の、最初の勇気あるランクルがみんなが固唾を飲んでの見守る中、アクセルふかして突入。あ、あーーーと静まり返る中、窓ガラスのところまで来た水の中、右に揺られ左に揺られしぶきをあげながら突き進み、ついに渡りきりました。これが少なくとも3箇所。一つは水が音を立てて流れていて、皆唸って考えてましたが、さすが世界のトヨタ。すごいです。
    そして、灯りひとつない途中で見た、360度の地平線まで見える星、星、星。
    このブログに助けれ国境をスムーズに超えられました。そして新たな旅の感動のページが開けました。ありがとう!

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