2023年1月5日、天気晴れ。
エジプトを旅する
19:00発のエジプト中部の街ルクソールから首都カイロへ向かう列車に乗り込んだ昨夜。
夜行列車は安全面には少なからずの不安があるので多少の緊張があります。
知らない人が常にまわりにいるという状況は安心できるものではありませんからね。
夜行列車に乗る際の注意点
ただ、エジプトの夜行列車は安い上に清潔感もあり、何より旅の限られた時間の有効活用にはもってこい!
一度利用してその便利さを存分に味わったので、カイロへの帰り道も迷わず夜行列車一択でした。
そして今回は一等車両。
ルクソール発カイロ行きでお値段1125ポンド(約5000円)です。
座席が大きく広々していて、シートも思いっきり倒せる仕様になっています。
さらに極めつけは二等車両とは明らかに異なる暖房の効き具合!
(砂漠の夜は寒いので要注意)
これは快適な移動になるぞ〜と思っていたその時でした。
「荷物は上に置いた方がいいですよ」
いつもバックパックは足元に置いて、両足でガードするというのが私のスタイルなのですが
『夜行列車では荷物は棚の上に置いた方が安全』
と隣の乗客の方が教えてくれたんです。
日本語で!!
なんとたまたま隣になったのが日本人向け観光ガイドさんという奇跡!
もちろんすぐに信じてはいけません。
異国の地で日本語で話しかけられると嬉しさと安心感でつい気は緩(ゆる)みやすくなり、その心の隙間を狙って・・・
なんてケースもあるので注意が必要です。
が、驚くほど流暢(りゅうちょう)な日本語を話す彼に驚いてしまいまして。
それもそのはずで、なんと彼は日本人専門のガイドを続けて23年の大ベテラン!
身分証をすぐに見せて安心させてくれるところも、さすが日本人の心配性なところをよく分かっているなという感じでした。
もう一度言いますが、すぐに信じてはいけませんからね。
失礼ですが十分に疑い、この人は信じてOKとなったところで少しずつ心を許します。
隣になったご縁ということで、とてもよくしてくれた日本人ガイドのシシさん。
サンドイッチもごちそうしていただき、私の質問にも丁寧に答えてくれました。
外国人料金の支払い
列車に乗るとすぐに切符の確認が行われます。
購入した切符を車掌さんに見せるだけなのですが、ここでトラブル発生。
何かを言われているということはわかったものの、なんだかハッキリしないので困っていると助けてくれたのはシシさん。
「もう一枚切符を持ってるでしょ?」
夜行列車の切符を買うと、ホッチキスで留めていっしょに渡されていた紙。
領収書なのかと思っていたのですが、実はこの紙も切符だったんです。
2022年12月から導入されたというエジプト鉄道の外国人料金制度。
外国人旅行者が夜行列車に乗る場合、乗車券代とは別に外国人料金の支払いが必要になりました。
まぁ外国人からお金を多く取るというのは決して悪いことではないので納得・・・
しようと思ったのですが、シシさんが熱を込めて一言。
「同じ列車に乗ってるのに5倍も値段が違うんだよ!」
- エジプト人:245ポンド(約1000円)
- 外国人:245ポンド+880ポンド(約5000円)
・・・たしかにかなりの差があります。
外国人観光客が多く見込めるエジプトならではの、旅行者からお金をしっかり取るという国の方針。
シシさんはこのような政策によってエジプトの印象が悪くなることを懸念(けねん)しているようで
「おかしいよ!」
と憤(いきどお)っていました。
確かにその気持ちもわかりますが、観光大国エジプトだからこそできる大胆な財源確保のやり方。
さすがエジプトだなと感心してしまいました。
早朝の駅到着後の行動
熟睡とまではいかないものの、しっかりと眠ることができまして。
午前6時。
列車は首都カイロのラムセス駅の一つ手前にあるギザ駅に到着しました。
予定より早く進んできたそうで、まだ辺りは暗く。
こうなってくると無闇に外を歩くのは危険なので、
- 明るくなるまで駅で待機する
- Uberなどの安心できる移動手段でホテルへ向かう
というのが定石です。
ただ今回はいつもと勝手が違いました。
「ぼくの家はピラミッド近くなのでいっしょに行きましょう」
あまりに心強すぎるシシさんからの提案!
なんだか申し訳ない気もしましたが、ここはご厚意に甘えさせていただくことに。
夜明け前の街をシシさんにピッタリくっついて歩きます。
目的方面に向かうローカルの乗合バスを捕まえてくれまして、いっしょに乗って大通りの途中で下車。
続いてトゥクトゥクに乗り換えてさらに先へ進みます。
そして道を曲がった次の瞬間でした。
ウワァーーーー!!
見えてしまった~という感じでまだ気持ちの整理がつかない中、トゥクトゥクはそのまま進んでシシさんの家に到着。
本当にピラミッドの近くにあったんです。
そこから二人で歩いて予約した宿へ向かうことに。
安全に旅するための心得
「ダマされているかもしれない」
と思わなかったと言ったらウソになります。
やはりアフリカ旅中はどうしても疑心暗鬼になってしまうもので、それは自分の身の安全を守るためには必要なことなんです。
「あとで高いガイド料を請求されるのではないか?」
なんてことをどうしても疑ってしまいます。
ただ、100%の善意で私たち旅人のことをおもてなししてくれる人がいるのも事実なんです。
シシさんお気に入りのサンドイッチのお店で買っていただいたファラフェルサンドをいっしょに食べ歩き。
すっかり日は昇って辺りは明るくなったので正直一人でも行くことはできたのですが、最後までついてきてくれたシシさん。
「何か困ったことがあったらいつでも連絡ください」
自分の抱いていた疑いの心があまりに恥ずかしくて。
「穴があったら入りたい!」
まさにこの表現がピッタリです。
『人を信じすぎてもいけませんが、疑いすぎてもいけない』
旅を続けていると陥(おちい)るジレンマですが、この板挟みの状態が旅の安全には大切なことだというのも事実です。
無限列車ならぬエジプト夜行列車での旅の途中の運命的な出会い。
シシさんからいただいたたくさんの
『想い』
は、これから出会う人につないでいきたいと思います。
本当に本当にありがとうございました。
さぁ、先ほどから写真にちょいちょい写り込んでいましたが・・・。
「歩いているともう見えちゃうんです!!」
エジプトといえばやっぱりコレですよね。
ついにその姿を拝むことができまして早朝からもうテンションが上がりっぱなしです。
やって来たのは首都カイロの西に位置する
「ギザ」
この街に来た理由はもうコレしかありません。シシさんに観光のポイントもバッチリ教えてもらったので、準備は万端!
時刻は朝の7時過ぎ。
ゲートがオープンするのをあと少しだけ待ちたいと思います。
「今日はまだ始まったばかりです!!」
DAY331.5へ続く
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