2022年6月1日、天気晴れ。
コモロを旅する
穏やかな空の下、海から吹く気持ちの良い風を受けながらの散歩は島国ならではのしあわせな時間です。
コモロの旅はいよいよ本日最終日。
ラストにグランドコモロ島にそびえるカルタラ火山に登ろうかとも思いましたが、飛行機トラブルで1日予定がズレたことや、登山参加予定だった他の旅行者のキャンセルによってツアーの値段が上がったこともあり、今回は見送ることにしました。
明日の出国に向けて気持ちを整えたい!
というのも大きな理由の一つです。
最後にキレイな海を見納めたい!
ということで本日はグランドコモロ島の北にあるビーチへ行くことに。
首都モロニから40kmほど離れた場所に位置する④ミタミオウリ(Mitsamiouli)という町へと向かいます。
もうすっかり慣れましたがコモロのみなさんは私に見向きもしてくれません。
明らかに目立つのに・・・いや、目立ちたくて目立っている訳ではありませんが、町を一人で歩くアジア人に少しくらい興味を持ってくれてもいいのになぁ~なんて贅沢(ぜいたく)なことを思ってしまう始末。
ほんっとうにビックリするほど声がかかりません。
一歩外に出れば子どもから物乞いをされたブルンジとのギャップがあまりにありすぎて。
どちらも一長一短。
まぁだからといって冷たいわけではなく、声をかければ笑顔を見せてくれるやさしくコモロのみなさんです。
案の定北方面のバス乗り場にやって来ても面白いくらいに誰からも声はかけられず。
アフリカ定番のガツガツした客引きはこの国には一切無し。
これも島ならではなのかもしれないなと。
こちらから乗り場のおじさんに声をかけると親切丁寧に案内をしてくれまして、無事にバスに乗車。
コモロは今日も平和です!
わずか30分で到着したミタミオウリ。
予想してたよりもさらに小さな町で、海沿いでのんびりできるようなカフェやレストランはありませんでした。
それでもこの青く輝く海!
グランドコモロ島の数少ない海水浴が楽しめるビーチが広がります。
かつては観光にチカラを入れていたようで、ホテルもあるこの町。
しかし、どこも廃墟(はいきょ)と化してしまっていて、おそらく旅行者は訪れていないだろうなぁという閑散(かんさん)とした雰囲気が漂います。
旅行者を楽しませる観光資源のポテンシャルはきっとあるコモロ。
しかしもしかしたら地元の人たちはそこまで観光地化を望んでいないのかも。
道路脇のベンチがあればそれで十分のんびりできるのがこの国の良さです。
他のアフリカ東部の島国とは一線を画すコモロ。
旅行者への特別な対応は特になく、生活の中にちょっとおじゃまさせていただくような島に溶け込む旅が楽しめるのがこの国の魅力なのかもしれません。
帰りの車も自分から声をかけてなんとか確保!
島の一番北まで行って帰ってきても1500コモロフラン(約430円)と非常にありがたいグランドコモロ島の乗合バスです。
海も見れてこれでもうコモロに思い残すことは無し!
・・・とは言い切れませんね。
時間があったら3つの島からなるコモロの最後の1つ「アンジュアン島」にも行きたかったし、火山にも登りたかったですが、出国まで24時間を切ったということで気持ちを前へと進めます。
アフリカ54ヶ国制覇の旅-第6章-は次の国をラストにして旅の幕を閉じます。
そのアフリカ36ヶ国目として選んだ国は「南スーダン」です。
南スーダンのビザ取得
灼熱の国スーダンへの渡航途中に乗り継ぎのために着陸した飛行機。
その窓から見えた南スーダンの景色にあっと驚かされたのが約1ヶ月前の出来事です。
なんとか行くことはできないかと思いスーダンでビザ取得を試みるも、渡航中止勧告が出ている国に対して日本大使館から渡航承認書をもらうことはできず。
まぁそりゃそうだよなと諦(あきら)めたその数日後、偶然発見したのが南スーダンのE-VisaについてのSNSの投稿でした。
「えっ、あるの!?」
と当然疑ったわけですが
調べてみると本当にオンラインでのビザ申請を行なっている南スーダン。
完全に詰んだと思っていた状況から一転!
実はこの1ヶ月間ずっと水面下でこの南スーダンのE-Visa取得に向けて動いていたんです。
そして先日、飛行機が飛べずモヘリ島に取り残されたあの日に奇跡は起こりました。
ビザの申請が承認されて南スーダンへ行けることに!!
「・・・何が奇跡なの?ただビザが取れただけでしょ??」
と思われますよね。
実はこのビザを手にするまでには大変なドラマがあったんです!
アフリカ最難関ビザへの挑戦の歴史を時系列でご説明します。
ビザ申請に必要なもの
南スーダンのE-Visaの存在を知った私は当然すぐに申請!
この国はスーダンと違い公用語が英語なのが非常に助かるポイント。
専用サイトでアカウントを作成したのちにフォームの入力をしていきます。
記入内容も一般的なものなので全く問題無し。そして最後に
- 2×2インチサイズの顔写真データ
- パスポートの個人情報ページのデータ
- PCR検査の陰性証明書のデータ
- 黄熱病予防接種証明書のデータ
- ホテルの予約確認データ
の5つのデータを添付。
これも全部難なく用意できるやつ!!
「・・・こんなに簡単に南スーダンのビザって取得できるの!?」
と思いながら申請ボタンを押して、ビザ代120USドルを払えば手続き完了です。
お値段は高いですが、これで南スーダンに行けるなら喜んで払います!
よっしゃー、行くぞ南スーダ~ン !!
※PCR検査の陰性証明書は申請時の一番直近の検査結果を添付でOKでした。
しかし申請から3日が経っても特にメールなどは届かず。
一応念のためにサイトを見ておこうと思いログインをするとそこに
『必要書類が1つ足りません』
という赤い注意書きが。
・・・え?全部データは添付したぞ!?
と思いながら再度入力フォームを確認するとそこにあった空白のファイル添付ボタン。
はい、実はさっきの5つの他にもう一つ必要なものがあったんです。
それが
- インビテーションレターのデータ
固い日本語だと「招へい理由書」と呼ばれる現地の団体や企業からの受け入れ承認書のようなものが必要だというのです。
「いやいやいや、ちゃんと書いておいてよ~!」
ちゃんと『インビテーションレター』と書かれた欄があったら最初から準備して提出しますが、空白のスペースじゃ当然わかりません。
そしてもうすでにビザ代は払ってますからね。
・・・さぁどうする!?
インビテーションレターの取得方法
となった時に思いついたのが、予約している宿にインビテーションレターを書いてもらう作戦です。
Booking.comで予約した1泊15000円するホテル。
南スーダンではこれがスタンダードプライスなので仕方なく選んだのですが、これだけ高級なホテルなのでもしかしたら書いてくれるかもしれない!
ということで、お願いのメッセージを送ってみました。
※さらっと書きましたが危険レベル4の国にもこんな立派なホテルがあるんです。
夜にメッセージを送ると翌朝には返信をくれるさすが高級ホテル。
非常に丁寧な文面でスタートしたのでこれはもしやと思いましたが
「当ホテルではインビテーションレターを発行する業務は致しかねません」
と丁重にお断りされてしまいました。
外国人を自国に招へいするという行為はそんなに気軽にできることではないということです。
頼みの綱であったホテルでも無理。
となるともう諦めるしか・・・とはなりません!
「できることは全て試す!!」
これまでの旅の経験値を今こそ使う時です。
ホテルがダメなら頼れるのはもうアレしかありません。
今回の旅で大変活用させていただいている民泊マッチングサービスAirbnb。
安い宿を探せるだけでなく、スーダンのケラさんにブルンジのCamel Africa Hotelのスタッフさんなど、ステキなホストのみなさんとの出会いも演出してくれるのがAirbnbの素晴らしいところです。
ただ、今回の渡航先は南スーダンということで正直民泊には不安があります。
が、もうこれがインビテーションレターを手にするために残された唯一のチャンス!
さっそく手頃なお値段の宿を見つけて予約し、ホストの方にメッセージを送信。
当たって砕(くだ)けろです。
後日届いたホストのパメラさんからメッセージ。
「インビテーションレターについては明日返答します」
という前向きなお返事をいただきまして。
遅くなってごめんなさんという丁寧な返信にも好感が持てるパメラさん。
そこからイロイロとやり取りが続きまして、その2日後でした。
「私は書けないけれど」
という前置きのあとに届いたこのメッセージ。
パメラさんがわざわざ友人に連絡をとってインビテーションレターを書いてくれる旅行会社があることを調べてくれたんです!
ありがたすぎます!!
ちなみにこの時はタンザニア旅最終日。
ダルエスサラームに向かうバスの車内でパメラさんに必要書類のデータを送ったのでした。
※ここまでのやり取りでパメラさんが信頼できる人であると判断し、Airbnbが本人確認も済ませていることを確認した上で個人情報を送りました。(パスポート等のデータを送る際は慎重に!)
そのあとは返事が来ないまま1週間以上が経過。
急(せ)かすのも失礼だと思いずっと待っていましたが、そろそろ次の渡航先のことも考たいぞということでこちらからメッセージを送りました。
するとパメラさんから返信が。
「旅行会社がインビテーションレターの作成を拒否した」
私の渡航目的がわからないということが理由とのこと。
確かに説明していなかったので拒否されても仕方ないなと。
なので渡航目的についてパメラさん伝えようと思っていると、さらに返信が続きました。
なんとインビテーションレターをご自身で書いてくれるというパメラさん。
私がアフリカ54ヶ国制覇の旅をしていること。
36ヶ国目の国として南スーダンに訪れたいこと。
「南スーダン」という国を自分の目で見て、心で感じたいことを伝えます。
まさかの既に作成してくれていたパメラさん。
まだ会ったことがない身元不明の旅人にこんなに親身に対応してくれるなんて。
感謝してもしきれません。
全く未知の国、南スーダン。
私の中で『危険な国』とイコールで結ばれていたこの国の名前に温度が加わった瞬間でした。
ありがとうございます、パメラさん!
パメラさんが作ってくれた招待状。
旅行会社の友人に書式を確認して作ってくれたというからこれまたもう頭が上がりません。
すぐにE-Visaサイトにログインをしてアップ完了!
これで南スーダンに行けます!!
そして翌日。
まださすがに早いかな~と思いながらもワクワクが抑えきれずサイトにログイン。
するとそこにまたもや赤い色で書かれた注意書きがありまして・・・
「ウソだろ・・・インビテーションレターが非公式だと!!?」
すぐにパメラさんにも事情を伝えます。
まず第一声で謝りのメッセージをくれるパメラさん。
本当に良い人すぎて。
そんなステキな方がわざわざ時間と労力を割いて作成してくれたインビテーションレターに下された非公式という判定。
納得できませんよ!!
しかもどこに問題があるのかを指摘してくれるわけでもないので、パメラさんもどうすることもできず。
もうさすがに諦めるしかありません。
本当に残念すぎて、ここまで私のために動いてくれたパメラさんに申し訳なさすぎるわけですが、全ての望みが断たれました。
初めての行きたい国に行けないという結末。
これが南スーダン!
パメラさんに感謝と、いつの日か必ず南スーダンに訪れることを約束して、Airbnbの予約をキャンセルしたのでした。
これがちょうどモヘリ島の飛行機に乗れず、用意してもらった宿に到着した直後!
昼寝をする前の出来事になります。
このあと奇跡の大逆転劇は起きたわけです!!
今思い返しても大興奮の南スーダンのE-Visa承認。
「何が起こったのか?」
実はそのあと完全にダメ元でもう一度申請ボタンを押してみたんです。
申請するだけならタダですからね。
インビテーションレターはパメラさんからいただいたものを再度そのまま添付。
内容は一切変えていません。
が、なんとそれが通ったんです!!
本当に全く期待していなかったので嬉しさよりも信じられない気持ちの方が大きくて。
手元に届いたE-Visaを見てもまだ不思議な気分です。
私以上に喜んでくれたのはパメラさん。
本当に彼女無しでは決して取得できなかったビザです。
そのあとすぐにAirbnbで一度キャンセルした宿をもう一度予約。
これでパメラさんに実際に会って直接感謝を伝えることができる!
と思うとようやく南スーダンに行けるという実感が湧いてきたところです。
ということで念願の南スーダンに向けてビザゲット!
昨日受けたPCR検査の結果も無事陰性でカラダの健康もバッチリ!!
あとはココロです。
ワクワクと同時に感じる緊張感。
ソマリランドぶりのレベル4の国の旅です。
果たしてどんなアフリカが待っているのか!?
ホテルの部屋で昂(たかぶ)る気持ちを抑えながらコモロ最後の夜を過ごすのでした。
DAY302へ続く
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