2021年6月30日、天気雨のちくもり。
いよいよコートジボワールの旅はクロージングへと動き出します。早朝4時半にアラームをかけて起きた本日。昨日は停電と断水の影響で海帰りですがシャワーを浴びれなかったため朝からカラダはベッタベタ。ですが気にさえしなければ意外となんとかいけてしまうもの。環境に慣れるというのも旅では必要なスキルの一つです!
今日は今いるサッサンドラからアビジャンへと移動をする1日。その距離約270kmです。まぁそこまで長いわけではないのですが、頭によぎるのは一昨日経験した穴ぼこだらけの道路。果たして一体どんな道が待っているのかドキドキしながらまだ真っ暗な中準備をして、いざ宿を出ようとするとなんと食堂には既に朝食が用意されていたんです。フランスパンとドリップコーヒー。わざわざ朝早くに起きてコーヒーを淹れてくれたイブさんのやさしさが朝から胸に沁みます。このサッサンドラの滞在中何から何まで助けてくれたイブさん。スマホの翻訳機能を使ったやり取りも楽しいものでした。そんなイブさんから最後のメッセージ。
本当にメルシーボークー(フランス語で「Thank you very much」)!!イブさんにさよならを告げて宿をあとにしました。
サッサンドラのバス乗り場に行くと、イブさんの言った通りアビジャン行きのバスが待っていた朝5時半。早朝にもかかわらず乗客もどんどん集まってきます。そして少しあたりが明るくなってきた6時にバスは出発。サッサンドラの町とのお別れです。
もうここからはアビジャン到着を目指すのみです!膝(ひざ)の上にはバックパック、となりのお客さんは自分よりも1.5倍ほど身体のサイズが大きい方ということで圧迫感のある狭い(せまい)車内。
そしてやはり待ち受けていたのは予想通りのデコボコ道でした。車の揺れ(ゆれ)とまわりからの圧に耐(た)えるなかなかにハードな移動。もうこうなったら最終奥義を発動するしかありません。移動中のどんな苦しい状況も無へと化す究極の技『寝る』!!
「コートジボワール」という国
さぁ、アビジャンへと向かう道の途中ですが、ここで私が見て感じてきたコートジボワールという国についてまとめてお伝えしていきたいと思います。
カカオ産出世界一の国
日本人が「チョコレート」と聞いて思い浮かべるアフリカの国はやはりガーナかと思います。そのまま国の名前が商品名になっていますからね。そしてそのチョコレートの原料であるカカオは当然ガーナでたくさん産出されています。しかし、なんとそのカカオを世界で一番生産している国はここコートジボワールなんです!!
赤道近くの熱帯地域で多く産出されるカカオ。コートジボワールとガーナはお隣さん同士の国になります。熱帯地域の中でもこのエリアが特にカカオの栽培に適しているようです。ちなみにカカオの生産量はコートジボワールの方がガーナよりも倍ほど多いですが、日本に輸入されているカカオの70%はガーナ産になります。こういうのを調べるのもなかなか面白いもの!
そして先日訪れたバッサムの町を歩いていたらなんとチョコレート工場を発見!!
コートジボワール産のカカオを使ったチョコレートやバターなどを作っていました。規模は小さいですが、みなさんのチョコレート作りに対する情熱が感じられるステキな工場!
コートジボワールのチョコレートが世界に出回る日がその内やってくるかもしれません。しっかりとカカオの風味を感じる美味しいチョコレートでした!
美的センスが高い国
自国の国旗を全面に押し出す国というのはこれまでにもありました。個人的にはギニアとジブチが印象的です。そしてここコートジボワールでも国旗カラーのオレンジとグリーンの色をよく目にします。が、その取り入れ方が絶妙なんです!
最大都市アビジャンのタクシーはオレンジ一色。グリーンはというと…!!あえて車体にグリーンを入れず、街中の植物の緑と組み合わさることで国旗カラーにしてしまうこのセンスはさすがの一言です。
対してバスは白地にグリーン。ここには国旗カラーはないよなぁと思っていると…電光掲示板がオレンジ~!!そうきたかと。
さりげなく自国のカラーを入れてくるコートジボワール。主張しすぎていないのに、しっかり心に残るこのオシャレな感じが好印象です。
電波塔のデザインにも驚かされました。この写真の中にハッキリと写っているのですが見つけられますか?アフリカの中でもトップクラスのセンスの良さが光るコートジボワールです。
「ありがとう」を伝える国
なんじゃそれは?ですよね。ですが今回私がこの国を旅していて一番印象に残ったのはこれでした。コートジボワールのみなさんは何かあると「ありがとう」を言うんです。
バスに乗っていました。雨が降ったあとだったのでムシムシする車内。そんな暑さに耐えかねた乗客のお姉さんが「窓を開けて!」と近くのお兄さんにお願いをしました。当然窓を開けるお兄さん。するとお姉さんが
「メルシーボークー」
肉を焼くいいにおいがするお店を発見。地元の人たちも何人か並んでいたのでこれは美味しいお店に間違いありません。さぁ何を注文しようかなぁと考えていると、私の前にいた支払いを済ませてお肉を受け取ったおじさんが店員さんに対して
「メルシーボークー」
ちなみにこういう時は「あのおじさんが買ったものと同じのを買いたい!」と伝えるのが美味しいものに出会える方法です。ジューシーなヤギ肉、最高でした!
そして最後。ノドがかわいたので移動中のバスの車内から西アフリカ定番の袋水を持った売り子さんに手を振って合図をします。1つくださいと言って50CFAフラン(約10円)を渡すと売り子さんが
「シエシエ(中国語で「ありがとう)」
私は「メルシーボークー(Thank you very much)」と返します。
それって当たり前じゃないの?と思われるかもしれませんが、これはアフリカでは非常に珍しい(めずらしい)ことです。『人を助けることは当たり前』という考えがあるアフリカでは、何かをしてもらってもそれは当然のことであると受け取る方が多く、感謝の言葉を伝える習慣はあまりありません。日本人とは大きく異なるこの価値観は青年海外協力隊の2年間で私が悩まされたことの一つでした。
それがこのコートジボワールでは町のいろんな所で「ありがとう」が聞こえてくるんです。これには本当にビックリしました。この魔法の言葉は人と人の心をつなぎます。コートジボワールの人たちの温かい雰囲気にはこの「ありがとう」の精神が影響しているのかもしれません。
サッカー愛が溢れる国
サッカー好きの方にとってこのコートジボワールが非常に有名な国だということを実は私は最近知りました。サッカーの知識には疎い(うとい)ので勉強中です。ワールドカップの常連国であり、アフリカを代表するサッカー強豪国の一つであるコートジボワール。まぁでもアフリカではどの国に行ってもサッカーをする人たちの姿はよく目にします。なのでこの国も同じ感じだろうと思っていました。
しかし!全然違いました!!このコートジボワールのサッカー熱は他の国の比ではありません。朝7時からサッカーをする人の姿があると思えば
お昼過ぎの学校終わりにはサッカー道具を持って練習に向かう子どもたちの姿もあります。
ここでもサッカー。あそこでもサッカー。もうとにかくいたるところでサッカーをするコートジボワールの人々。
さらに極め付けはこちら!なんとサッカーゴールのバス停まであるんです!!
サッカー愛が溢(あふ)れて止まらないコートジボワールです。
途中に一度軽い休憩をとったのみでそれ以外はほぼノンストップで走り続けた乗合バス。お昼近くになるとついに車が行き交う大都市の景色が見えてきました。
そしてイブさんが教えてくれた通り午後1時。8時間のドライブを経てようやくアビジャンに戻ってきました!ずっと狭い座席にぎゅうぎゅう詰めだったのでもうカラダはガッチガチ。が、実はここからがすごく大変でした。アビジャン付近は案の定の大大大渋滞。乗合バスで行ける場所にも限界がありそうだということで適当な所で降りたのですがこれがとんでもない場所で…!!
昨日も大雨が降ったと思われるアビジャン。ローカルの市場エリアはもう道がグッチャグチャのドッロドロ!もちろんこんな所は歩きたくないのですが、気がついたら四方をグチャドロに囲まれてしまい…。仕方なくサンダルで歩き出したらもうそこからは止まれません。どんなに足が汚れようが前進あるのみ。滑(すべ)らないようにだけ注意します。
「長靴を買わないか?」
たしかにまわりの人を見ると長靴をはいている人もチラホラ見かけました。が、時すでに遅し!足はもう泥だらけです。
なんとかグチャドロを抜け出してたどり着いたのはアビジャン北部アジャメ地区のマーケット大通り!もうその人の数に圧倒されました。昨日までの海沿いの小さな町の静けさから180度変わって大都市の喧騒(けんそう)の中へと放り込まれた感じです。そうそう、これがアビジャンでしたね。
ということでそのあとバスに乗ってなんとか宿にたどり着き、シャワーを浴びて泥だらけの足も無事ピカピカに。スッキリしたところで今日はもうそのまま眠りについてしまいました。さすがに今日の移動はかなり疲れたようです。そしていよいよアフリカ29ヶ国目渡航へ向けてのコロナ禍の準備が始まります。が、もちろんコートジボワールの旅を最後まで楽しみます!
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