コンゴ民主共和国を旅する④ 絶景のマグマ「ニーラゴンゴ火山」Part3 〜下山編〜

2020年3月19日、天気晴れ。

ニーラゴンゴ登山

昨日の約5時間の登山はそれはそれはハードだったので疲れもあってグッスリ熟睡(じゅくすい)できるかと思いきや…寒い!とにかく寒かった。しっかりとした小屋が与えられたので風はしのげましたが、それでも寒くて。気がついたら眠っていましたが、多少の寝不足感と共に迎えた朝6時。マイケルさんに声をかけられて起床(きしょう)しました。まだかなり眠かったのですが、カラダが自然と向かった先は

まだほんの少し赤い光が見える火口でした。ここで一夜を過ごしたのかと思うと感慨深いものがあり、一瞬(いっしゅん)で眠気も吹っ飛びました。いよいよ下山。ニーラゴンゴのマグマも見納めかぁ〜と思いながらのんびりと朝の時間を堪能(たんのう)

する間も無く!!なんと6時半に起きて6時40分には下山開始という超タイトスケジュール!!急いで準備してなんとか間に合いましたがもうちょっとマグマの余韻(よいん)に浸り(ひたり)たかった…。まぁマグマの絶景は昨夜十分満喫(まんきつ)したので、悔いはありません。ということで火口に別れを告(つ)げていざ下山スタートです!!

山頂出発 (6:40)

『ずっと上り坂の山』というのがニーラゴンゴ山の特徴です。途中に平らな道や下り坂はなく、常に上り続けるのがニーラゴンゴ山。つまり、下山はずっと下り坂が続きます。下り続けるんです。そしてわかっていましたが一番最初が一番急な斜面(しゃめん)。朝一から非常に刺激(しげき)的なスタートです。

第⑤チェックポイント (7:00)

上りは45分かかった急斜面を20分で下りてしまうからなんとも嬉しいようなさみしいような。今日は視界も晴れているので気持ちのいい下山です。そしてあとでわかったことはこの最初の急斜面が一番足場がしっかりとしていて下りやすかったということ。

ここからの火山岩のジャリジャリコースがまぁとにかく滑る(すべる)んです。慎重(しんちょう)に足場を考えながら下りますが、それでも滑るからもう気が抜けません。

杖(つえ)をつきながら気をつけて下るマイケルさん。これだけ気をつけても何度もズルッと滑ってしまいます。昨日の登山疲れが足に溜(た)まっているのも原因の一つかもしれません。

第④チェックポイント (7:30)

なんとこの④〜⑤の区間は上りも下りも30分!山は下りの方が大変だという言葉がよくありますが、まさにソレ!ニーラゴンゴ山は下山も想像以上にキツイです。昨夜の内に食料や水をかなり消費したので、バックパックが軽くなっているのがせめてもの救いでした。

足場の不安定さはずっと続きますが、もうとにかく下るしかないので先へ進みます。一番後ろからみんなについていくのもいいですが

先頭をいくのもこれまたいいもの!レンジャーさんはこれっぽっちも滑ることなくスタスタ進んでいくからさすがです。

第③チェックポイント (8:00)

そして第③チェックポイントに到着してうしろを見た瞬間でした。昨日は霧(きり)で全く見えなかった山の姿が今日はハッキリと!

ズームするとこの地点からも山頂の小屋が見えるんです。あそこにいたのかと思うとまたまた感慨深い気持ちになります。が、逆にもし昨日の上りの時に「あそこがゴールだ!」と言われていたら…行きが視界不良で良かったなと少し思うのでした。

今日は下山ですが晴れていたのでかなり汗(あせ)をかきました。上りが同じ天気だったらこれまたキツかっただろうなぁと。

傾斜は少しずつ緩(ゆる)やかになってきますが、それでも終始気の抜けない下山。第②チェックポイントは素通りしてもうドンドン下り続けます!

第①チェックポイント (9:00)

もうここまで来たらあと少し!のはずなんですが、レンジャーさん曰くここからあと1時間とのこと。このニーラゴンゴ山のレンジャーさんの言うことに疑う余地(よち)はありません。

最後の1時間は泥(どろ)のぬかるみコース。上りの際に足をとられて大変だったのがもう遠い昔のようです。これでいよいよニーラゴンゴ登山が終わる。…それは同時にアフリカ54ヶ国制覇の旅-第4章-が終わるということでもあります。終わるのかぁ…。全ての物事にはいずれ終わりがやってくる。当たり前のことですがそれを強く感じるラスト1時間。

登山終了 (10:00)

下り始めてから3時間20分。ついに登山口に戻ってきました!昨日も10時に上り始めたのでちょうど24時間ニーラゴンゴ山にいたことになります。本当に濃い1日でした。忘れられないマグマの絶景!ものすご〜く疲れましたが、登って良かったなと心から思えるニーラゴンゴ山でした!!

そして同じく初ニーラゴンゴ登山を終えたマイケルさん。次はいつ登るの?とたずねると

「もうイナフ(十分)かな。ボクはまたガイドを派遣(はけん)する方の裏方の仕事に徹することにするよ。」

とのことでした。一生に一度の絶景の感動をいっしょに分かち合うことができたことに感謝でした。ありがとう!マイケルさん!!

彼は私の送迎ドライバーでもあるので「もう足がパンパンだよ〜」と笑いながらもちゃんと最後の仕事として私をホテルへと送ってくれました。国境の事務所にも行って下山の手続きを済ませ、これにてニーラゴンゴ登山ツアーが全て終了です。

さぁ、改めまして本日の日付は2020年3月19日です。ホテルに着いてシャワーを浴びて完全復活!!昼からビールを飲んで一人でニーラゴンゴ山登頂の祝杯(しゅくはい)をあげるわけですが、余韻に浸るのも束(つか)の間。ここから一気に帰国に向けて動き出します。

3月中旬からアフリカ全土でも急速に広まった各国のコロナウイルス水際対策。本当は今回の旅ではあと1ヶ国、島国「マダガスカル」への渡航を予定していて、飛行機のチケットも予約をしていました。が、なんとそのマダガスカルは明日3月20日から全ての国際便の運航を停止することが決定。つい3日前にぼんやりとこの情報を知ったのですが、下山してからネットで調べるとこれが確定したこととしてはっきりと書かれていました。あまりにドンピシャなタイミングです。不思議な縁を感じると共に、これは”帰国しなさい”というメッセージなんだろうなと運命を感じました。ということで、下山後のカラダを休めるでもなく急いで日本行きの飛行機のチケットを予約!なんとか帰国便を確保することができて一安心しました。と強がりたいのですが、実際は心配なことばかり。

『家に帰るまでが遠足です』

日本に無事に帰国するぞ!と強く決意したコンゴ民主共和国で過ごす最後の夜でした。


あとになって考えても、このタイミングで帰国に向けて動き出したことが本当に吉と出たなと思います。この10日後の3月29日。アフリカは54ヶ国全ての国で入国制限もしくは入国後の行動制限措置が取られるようになりました。コロナウイルスによって短い期間で激変した世界情勢。1日も早いコロナウイルス感染拡大の終息を願うばかりです。(2020.4.13)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です