2023年1月6日、天気くもり。
エジプトを旅する
朝起きて、部屋を出るとそこにピラミッド。
こんなに神秘的な朝が他にあるでしょうか。
世界遺産の絶景を眺めながら、エジプト定番の朝ご飯をいただく信じられないシチュエーション。
「・・・来週の今頃は仕事してるんだよなぁ」
学校の冬休みを利用してアフリカに行くことはできるのか!?
ということを実証したい思いもあった今回のアフリカ54ヶ国制覇の旅-第8章-。
結論、できます!
あっ、ちなみに仕事が再開することに対して憂鬱(ゆううつ)になっているなんてことは1ミリもありません。
むしろすごく楽しみで。
今、ピラミッドを目の前にしている自分が、1週間後には子どもたちの前に立って授業をしている。
そう思うととっても不思議な気持ちになります。
仕事をしながら休みを使って来るアフリカというのも面白いものです。
ということで、いよいよ出国前日の本日は、エジプトで最後に行きたかった場所へ。
ピラミッドを見納めていざ出発です。
バックパックを背負って一歩外に出ればタクシーの客引きの声がかかるエジプト。
大きな荷物を持っているのだから、そりゃ当然で。
みなさん朝から本当に粘り強く声をかけてきます。
こういうやり取りのストレスを感じたくない場合は配車アプリUberを使うのがベストです。
が、流れに身を任せてみるのもこれまた一興(いっきょう)。
最初は高めの金額を提案してくるみなさんですが、Uberで事前に相場を調べておけばイイ感じに交渉することもできます。
最後は言い値の半分ぐらいで
「わかったよ!」
と折れてくれる方がほとんど。
(交渉成立した値段をスマホで入力してスクリーンショットしておくと安心◎)
Uberでは出会えないような哀愁漂うボロボロの車に乗ってまずはカイロの移動の中心地であるラムセス駅へ向かいます。
首都カイロのバス乗り場
『エジプト』と言えばピラミッドをはじめとした古代遺跡の印象が強いかと思います。
辺りには砂漠が広がり、聞こえてくるBGMはアラビアンな音楽。
そう、それがエジプト!
なわけですが、それはメディアによる過度な印象操作の結果でして。
実際はコレです。
私たちのエジプトのイメージをくつがえす首都カイロ近郊の景観。
ついさっきまで4500年前に造られた遺跡の世界に浸っていたわけですが、気付いたら今度は大都会のド真ん中に。
このギャップが半端ないのがエジプトです。
まるでタイムトラベルでもしているかのような気分を味わえます。
ということで朝からテンションが上がるドライブを終えて、カイロに到着。
ここから目的地に向かう乗合バスを探します。
人も車も多く行き交うラムセス駅周辺。
ソレっぽい車が所々に停車していますが、どれも行き先は書いていないので地道に聞き込みをしていくしかありません。
多少の緊張感もあるバス探し。
ですが、みなさん親切な方ばかりで。
「あっちだ!」
と指で差して教えてくれるので、なんとなくの方面しかわからないのですが、数珠つなぎで聞いていけば最後はお目当てのバスが見つかるから感謝です。
この旅初めてとなる地元の人たちしか乗っていない乗合バス。
有名な観光スポットを巡ってきた昨日までとは異なり、今日はエジプトの中でもマイナーな場所へ向かいます。
その名は
「イスマイリア」
聞いても全くピンときませんよね。
とりあえずバスには乗れたのであとは到着するのを待つだけです。
ただ、この先が全く読めない。
大都会の景色に感動したあとですが、ここが砂漠の国であることには変わりありません。
ナイルの賜物エジプト。
ナイル川に沿って都市が造られたため、川の近くの道路や鉄道などのインフラは非常に整っていたわけです。
そしてこれから進むのはエジプト東部。
川を離れて130kmほど進んでいきます。
カイロから電車も走っていないので、交通手段はバスのみ。
いったい到着までに何時間かかるだろうか?
どんな景色が待っているのだろうか??
ドキドキしながら満席になった乗合バスはカイロを出発~!
エジプトの交通インフラ事情
「・・・ウソでしょ?」
そこから途切れることなく続いたキレイに舗装された道路。
エジプトを侮(あなど)っていたことを反省しました。
スゴすぎるよこれは。
マクドナルドのドライブスルーまでありますからね。
エジプトがピラミッドだけだなんて思っていたら大間違い。
見事な高速道路に移動中ずっと釘付けになってしまいました。
この快適すぎるバス移動の運賃がわずか37ポンド(約160円)というのも驚きで。
まぁ乗合バスは旅行者ではなく地元の皆さんのための交通手段なのでこのお値段なのだなと。
外国人料金を請求されることもありませんでした。
(乗客のみなさんと会話して仲良くなっておくと支払いの時に助けてくれます)
道路に感動していたらあっという間にバスは終点に着きまして。
なんとカイロからわずか1時間半。
やって来たのは
「イスマイリア」
です!
⑥イスマイリア
イスマイリアは、エジプトの都市。
人口約75万人。
イスマイリア県の県都。
スエズ運河西岸、ティムサーハ湖の北西岸に位置する。イスマイリアは1863年、スエズ運河が着工された際にフェルディナン・ド・レセップスによって建設された。
イスマイリアはスエズ運河のほぼ中間地点に位置し、またイスマイリア運河を通じてカイロとも連絡があり、さらに鉄道がカイロ、アレクサンドリア、ポートサイドに通じている交通の要衝である。
Wikipediaより
スエズ運河の管理を担当するスエズ運河庁も、この町に置かれている。
はい、もうこの説明を読めば、私がなぜこの街にやって来たかは一目瞭然(いちもくりょうぜん)ですね。
バスを降りたらすぐに今度はUberで車を配車。
知らない街にやって来たときは流しのタクシーではなく安心できる移動手段を利用するというのも安全に旅をするためのテクニックです。
カイロやギザとは異なる落ち着きを感じる街中を少し走ること数分。
やって来たのはイスマイリアの街の一番東に位置するAldunfah Beach Club。
入場料80ポンドを支払って中に入ります。
ゲートをくぐるとテーマパークの入口のような通りが真っ直ぐ伸びていまして。
「エジプトに来たら必ず見たかったアレがこの先にある!」
思わず小走りになってしまいます。
そして一直線に前に向かって進んでいると、左の方から私の視界に突然飛び込んできたのが
「うわ~~~~~~!!」
音を立てず突然登場した巨大な船に心の整理がつきません。
さらにそこにあの川があるという事実に感激!!
到着してわずか2分でこの衝撃です。
やって来ました!
「スエズ運河~~~~~~!!」
スエズ運河
スエズ運河は、地中海と紅海をスエズ地峡で結び、アフリカとアジアを分断するエジプトの人工海面水路である。1859年から1869年にかけてスエズ運河会社によって建設され、1869年11月17日に正式に開通した。スエズ運河は、地中海と紅海を経由して北大西洋と北インド洋を結ぶ水路で、アフリカ大陸を回らずにヨーロッパとアジアを海運で連結することができる。例えばアラビア海からロンドンまでの航行距離を約8,900km短縮する。2012年には、17,225隻(1日平均47隻)の船舶が運河を通過した。運河は北端のポートサイドと南端のスエズ市タウフィーク港を結び、中間点より北に3キロメートルの運河西岸にはイスマイリアがある。
Wikipediaより
アフリカの歴史、世界の歴史を語る上で絶対に外すことができないこの運河。
ヨーロッパとアジアを最短で結ぶ航路の開通により物流の仕組みは大きく変わり、今の世界があるのもスエズ運河のおかげといっても過言ではないわけです。
絶対にこの目で見たかったスエズ運河。
感動が止まりません。
目の前を流れる人工で造ったとは思えない見事な川。
古代建築の神殿やピラミッドとはまた違ったスケールの大きさを感じます。
『エジプトの川』
と言えばナイル川というのが一般的な回答ですが、もう一つあるというのを是非覚えておいてください。
カイロ近郊の発展した街並みや、どんどん進む鉄道や道路のインフラ開発にも見られるように、エジプトの経済は現在急速に成長しています。
その勢いはコロナ禍でも止まることを知りません!
観光大国にとっては旅行者が激減したここ数年は致命的だったわけですが、エジプトにはもう一つ大きな収入源があるから問題なし。
それがこの
『スエズ運河』
ヨーロッパやアジア各国の貨物船はココを通るために通行料を支払わなければならず、年に2万隻近い船がこの運河を利用する結果、なんとエジプトは一年に50億ドル以上の収入をこの運河から得ているんです!
恐るべし、スエズ運河!!
ただ、こんなに有名な運河なのに訪れる旅行者は非常に少なく。
やはり人気は古代遺跡やダイビングスポットに集中するエジプトです。
が、しかし!
スエズ運河に面して風光明媚なことと、カイロより湿潤で気候が穏やかなことから、カイロの上流階級の中には避暑地と認識している人も多い。
Wikipediaより
マンゴーの栽培で有名であり、マンゴーの季節になると郊外に繋がる各方面幹線道路沿いにマンゴーの露天販売店が軒を連ねる。
カイロ市内ではシナイ半島産と比べイスマイリア産の方が高級品とされており、価格も高い。
イスマイリアは地元の人が集う穴場の観光スポットなんです。
休日の本日はビーチクラブにはたくさんの人の姿がありました。
周辺にはお値段高めのホテルもあり、オシャレなリゾートの雰囲気が漂います。
が、見所はなんと言ってもこのすぐ目の前を通過していくド迫力の貨物線!
船が港に停まっているシーンを見ることはありますが、進んでいく様子を真横から眺めるというのはなかなかレアな体験かと思います。
貨物船をこんな間近に見ることができる最高のアトラクションが楽しめるイスマイリア。
ちなみにその名前にもなっている
「スエズ」
という街でも運河を見ることはできます。
が、スエズは運河管理のための国の重要な地点のため写真撮影などは厳しく制限されており、運河周辺は軍事基地のような感じになってるそう。
なので、スエズ運河を見るならイスマイリアです。
ビーチクラブというだけあって、夏場には海水浴も楽しめるこの施設。
手頃な値段のフードサービスがあるので飲食もできます。
運河を見ながら椅子に座ってのんびりすれば、極上のリラックスタイムです。
アフリカ旅中は常にオートで作動している周囲への警戒スイッチも今だけは完全オフ。
運河のそばにまさかこんなステキな場所があるとは。
貨物船の通行時間帯
さぁ、あとは貨物船を思う存分見るだけ!
だったわけですが、ここでまさかの事態が。
先ほどまで10分ちょいおきに通過していた船の姿が突然見えなくなったんです。
「なぜだーーーー!?」
と思いながら2時間ほど待ってみましたが一切姿を見せず。
その後、ビーチクラブの方に聞くとすぐに教えてくれました。
『貨物船が通る時間は午前7時から午後2時まで』
だそうです。
「待っていればいつか!」
なんて願っていたのですが、残念。
そして日が沈んだあとは夜便が運行するそうで。
こちらは時間が決まってないようであやふやな回答しか得られなかったのですが、かなり気になる夜のスエズ運河を進む貨物船。
是非見てみたいと思ったのですが、明日出国ということもあり、今回はこれにて退散することにしました。
ということでスエズ運河を見にイスマイリアへ来る際は、朝早くが◎
周辺で一泊するのもありですね。
何はともあれ念願のスエズ運河が見られて大満足の本日。
実際にこの地を訪れて目にしたことで、また一つ自分の中の
『アフリカ』
が大きくなった感じがしました。
帰りもまた地元の人に助けてもらって無事にカイロ行きの乗合バスを発見。
待ち時間1分で出発してしまったので、あっという間のイスマイリアとのお別れとなりました。
帰りも首都までかかった時間は1時間半。
(帰りの運賃は27ポンド)
あのスエズ運河を首都からサクッと日帰りで見に行ってきたというのが少し不思議な気持ちにさえなります。
「そう考えるとアフリカは小さいのかもな~」
なんて思いながら、キラキラ輝く夜の高速の景色を眺めていると
「終点だ!」
降ろされたのは行きと違う全く知らない場所。
日も沈んだので辺りは暗く、しかもなんだか怪しい高架下!
ここからドキドキのエジプト旅最後の夜が始まるのでした!!
DAY332.5へ続く
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