ベナンを旅する③ 水上都市「ガンビエ」〜絶景に心奪われるボートツアー -コトヌーからの行き方- 〜

2023年11月23日、天気くもりのち晴れ。

ベナンを旅する

連日晴れの日が続いていましたが、今日は朝イチ外に出るとあいにくのくもり空が広がっていました。
昨日やってきたベナンの最大都市コトヌーは海沿いの街。
海に面したエリアというのは朝方くもることが多いです。
涼しくて歩きやすいというのは良い点ですが、いまいちパッとしない雲行きに気持ちも上がらず。
まぁ待っていればその内太陽が顔を出してくれるはずと信じて、今日の午前中はカフェでのんびりすることに。

久しぶりのオシャレカフェの登場に曇っていた心が一気に晴れます!
ベナンの最大都市コトヌー。
同じ海沿いに位置しているトーゴの首都ロメとは明らかに雰囲気が違い、賑(にぎ)やかなムードが街中に漂っているんです。
隣の国同士なのにこうも違うかとビックリ!
コトヌーの街やこのカフェについてはまた明日ご紹介したいと思います。

願いが通じたのかお昼近くになると少しずつ空が青くなってきまして。
よし、それでは行動開始です。
今日の目的地はコトヌーからさほど遠くない場所に位置するガンビエという街です。
名前がアフリカ大陸で最も小さい国ガンビアと似ているのでこんがらがりますが、ベナンの中でも非常に有名なこの街。

地図で見ると実はコトヌーの北には湖が広がっていることがわかります。
街中を移動している分にはこの湖を見ることはほぼないのですが、運河から流れ込んだ海水でできた湖があるんです。
ガンビエはその湖を挟んでコトヌーのほぼ対岸に位置しています。
なにやら道路も走ってないような所にあるこの街に一体どうやって行くのか?

バイクに乗って向かうのはガンビエ行きのボート乗り場です。
ガンビエにはボートで湖を移動して向かうのが唯一の方法になります。
ここで登場するのがトーゴでも利用した配車タクシーGozem
お隣の国ベナンでもサービスが利用できるんです。
しかし、Gozemドライバーとして登録している人が少ないベナンでは2023年11月時点ではほとんど使い物になりません。
今日はたまたまドライバーさんが捕まったのでラッキー。
高い値段を要求されることなくストレスフリーで乗れるので非常に有り難い配車サービスですが、ベナンではまだまだカラーシャツを着た地元密着型のバイク連盟の方が圧倒的に主導権を握っています。

思った以上に遠くまで移動しまして。
コトヌーからバイクで20分ほど走ってようやく到着したボート乗り場
(Gozem料金で800セーファーフラン)
予想以上に整った感じで、観光客の受け入れ態勢がバッチリな受付カウンターまであるのでこれは期待ができます。

あとは心配なのはお値段!
こういうアクティビティーに参加する場合、一人だとかなり高くなるのはよくあることです。
まぁここまで来たからにはいくらでも払うつもりなので、どんなものかとドキドキしながら聞いてみると

「このあと別のお客が来るので待ってて下さい」

とのこと。
一緒に参加させてもらえるという提案にもちろん喜んでOKを出します。

あとはその方が来るのを待つだけ。
スタッフさんが椅子を出してくれたので座ってブログを書いて時間を潰(つぶ)します。
少し先にある船着場の様子を早く見たい気持ちもありますが、そこはグッとこらえて我慢。
楽しみはあとにとっておきたいタイプです。

そこから待つこと2時間。
・・・待ちすぎ!?
いいえ、アフリカではこの程度なら許容範囲です。
やって来た2人に私を加えた3人でいざボートに乗り込みます。
では改めて値段を聞こうとすると

「あとでガイドに支払って下さい」

・・・これはとんでもない値段をあとで要求されるのか!?
とこの時は思っていたのですが、ボートツアー終了後に待っていたのは逆の意味で驚きの展開でした。
料金設定についてはあとで詳しく書きます。

「いや、事前に値段を確認しないとダメでしょ!?」

はい、いつもだったら確認するところです。
ただ、今回は私以外にもいっしょに参加する方がいるので法外な値段を要求されることはまずありません。
そしてもう一つ。

そんなお金の心配が一瞬で吹き飛んでしまうような景色が目の前に広がっていたんです。

④ガンビエ

ガンビエは、ベナン南部のアトランティック県の都市。
人口は約4.5万人。
大西洋岸に近い潟湖であるノコウエ湖の上に広がる水上都市である。
アフリカ最大の水上都市であり、アフリカのヴェネツィアとも呼ばれ、経済首都コトヌーに近いこともあって多くの観光客が訪れる。

Wikipediaより

ベナンに水上都市なるものがあるというのは以前から知っていました。
ですが、その様子をイメージすることは難しく。
水の上にできた街とはいかなるものなのか?
ワクワクが高まる中、船が動き出します。
ボートを運転してくれるのは14才の少年です。

360度に広がる一面の湖。
そこに点々と浮かぶボートを漕(こ)ぐ人々の姿に心を奪われます。
手作り感満載の帆(ほ)が良い味を出していて。
水上で暮らす人々にとってはカラダの一部ともいえるボート。
まるでボートそのものに命があるような力強さを感じます。

ちなみに私は勘違いしていましたが、まだココはガンビエではありません。
ボート乗り場からガンビエは6kmほど離れています。
この区間は自由に魚を捕まえるための仕掛けを設置していいポイントになっているそうです。

アチコチにある雑草のように見えるものの正体は「アカジャ」という魚を養殖するための囲い。
よーく見るとグルッと環状になっていることがわかります。
ここに魚を誘(おび)き寄せて、逃げれないようにして中で大きく育てたものを捕るというのがガンビエの人々の伝統的な漁法です。

この竹が水中で分解されてイイ感じになるとプランクトンが発生し、竹自体も魚のエサになるそうで。
つまりアカジャは完全放置で魚をゲットできるものすごい仕掛けなんです。
が、そのイイ状態になるまで2年かかります。
・・・アフリカではこの程度なら許容範囲です!

10月から12月は水位が高く、水深は5〜6mほどだそう。
低いシーズンになると2mぐらいになるそうで、また見える景色が違うんだろうなぁと思いながら進んでいくと

ついに見えた湖の上に建つ家々。
ここまででも十分感動する景色の連続でしたが、ここからが本番でした。

「なんじゃこりゃ〜!」

自分のこれまでの常識を覆(くつがえ)す世界が突如現れて思考が追いつきません。
だって湖の上に家があるんです。
しかも一つや二つじゃなくてあっちにもこっちにも。

そしてそこに人が暮らしてるんです。
ボートで進んでいくと家の中から手を振ってくる子どもたち。
もしやここはテーマパークで、みなさんそこで働くキャストさんかな〜と本当に思ってしまうくらいに馴染(なじ)んでいて・・・違う、そうじゃないんですよ!!
絵本の世界に迷い込んだかのような気分になっていますが、ここは実際に人々が生活をする街。

・・・と頭ではわかっているんですが本当に不思議すぎて。
全体の広さは5㎢ほどのガンビエ。
水上に造られた建物によってできた迷路のような水路をゆっくり進んでいきます。

ガンビエは16世紀から17世紀にかけて、トフィヌ人によって建設された。
水上に都市を建設した理由は、当時は奴隷貿易の時代であり、この地方も内陸部にあるダホメ王国のフォン人の戦士によって常に奴隷狩りの危険に脅かされていたため、安全なラグーンの中に移住したためである。

家は浅い湖の中に立てられ、家々の間の行き来は船によっておこなわれる。
生業はもともとは近隣での農業であったが、現在では漁業及び養殖が主産業となっている。

Wikipediaより

暮らしに必要な施設もしっかりあるガンビエ。
教会やモスクは多くの人を収容できるように大き目に造られています。

髪を切るバーバーや髪の編み込みをする美容院はアフリカの人々にとってはなくてはならないもの。
もちろんあるのでご安心下さい。

さすがにボートの上に大量の紙幣を積んで運ぶような危ないマネはできないので銀行はありません。
ですが、電子マネーの時代が到来した現代。
モバイルマネーはアフリカ各国でもどんどん普及していて、その勢いは止まることを知らず。
ガンビエにもモバイルマネーを扱うお店があるのは驚きです。

電気も街中全てではありませんが通っていて、水も陸地からパイプで引かれていて、本当に街としての機能が備わっているガンビエ。
こちらは病院です。
手前に停まっているのは救急車ならぬ救急ボート!
さぞかし立派なモーターエンジンが付いているのかと思ったら少し大きめの手漕ぎボートでして。

「一般的なボートと何が違うんですか?」

とガイドのセオフィルさんにたずねると、笑って誤魔化されました。

陸地で仕入れたものを売る商店があったり、移動販売をするボートがあったりと生活に必要なものも全てこのガンビエで手に入るようになっていて。
こりゃココで暮らすこともできるわと納得させられたところで、最後に個人的に気になっていたのは学校。
果たしてあるのか!?

愚問(ぐもん)です。
大きな校舎の学校がちゃんとあります。
そりゃそうですよね〜となりますが、一番大事なことを忘れていました。

「どうやって学校に来るんだ!?」

5歳になると泳ぎ方とボートの漕ぎ方を覚えるガンビエの子どもたち。
学校にはボートで登校します。
もちろん全校児童生徒が全員ボートで来ると船着場がとんでもないことになるので、いわゆる集団登校。
こんな世界の通学路もあることに感激です。

あまりにガンビエがステキすぎるので長くなってしまいましたが、あと2つだけ紹介させて下さい。
一つ目は湖面に浮かぶ色鮮やかな緑色のホテイアオイです。
もしかしたらガンビエが美しく見えるのはこのホテイアオイのおかげかもしれません。
今が全盛期なのか紫色の花もキレイに咲いていてどこもかしこも見事な絵になります。

そんなホテイアオイで女性に雇用を生み出そうとするガンビエのプロジェクトが。
使うのは伸びた茎です。
刈り取って3ヶ月干したものを編んでバスケットを作ります。
これが今までに見たことのない独特な温かみのある作品に仕上がっていて・・・思わず購入!

アフリカではどの国でもよく見かけるバスケットですが、メイドフロムホテイアオイが買えるのはおそらくガンビエだけです。

そして二つ目はこちら。
観光客向けにレストランがあることはまぁ予想できましたがなんとそこに

ホテルまであるとは思わなかった〜!
しかも中の部屋まで見せていただいたのですが

広々とした部屋にトイレ&シャワーも付いていまして。
何より窓の外を見ればそこはガンビエというシチュエーションが最高!
1泊16000セーファーフラン(約4000円)で水上生活気分が味わえます。

ということで、大変満足したガンビエツアー。
こんなに強烈に心を掴(つか)まれたのは久しぶりです。
心配だった天気も晴れてくれたおかげで観光日和になりました。

行って帰って合計2時間のボートツアーを楽しんだところで、ラストに支払いです。
気になる料金は・・・
5050セーファーフラン(約1300円)!
安すぎてウソでしょとなりましたが、本当にこのお値段なんです。
さらにビックリなのは1人参加でも2000円もしないという事実。
まぁこれはガイドさん的にヤル気が出ないビジネスだと思うので、極力複数人で参加するのが良いかと思います。
(料金は随時更新されるそうなので受付で紙を見せてもらって下さい)

最後に今回お世話になったガイドのセオフィルさんのツアー会社Visit Ganvié Tourismのリンクを貼っておきます。
事前に連絡をすれば先ほどのホテルの宿泊予約もしてくれるとのことです。
ステキなガイドで思いっきりガンビエの世界を堪能させていただきました。

「アワヌン!」
(フォン語で「ありがとう」)

DAY380へ続く

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