シエラレオネを旅する① 首都「フリータウン」Part1 〜世界最貧国と呼ばれる国を歩いて -自由の象徴コットンツリー- 〜

2023年5月26日、天気くもり。

シエラレオネを旅する

日本からの52時間の移動はさーすがにキツかったようです。
入国直後のハイなテンションでなんとか宿まで来ることができましたが、着いたらそのあとは気付いたら部屋のベッドで泥のように眠っていまして。

そして目が覚めて本日。
窓の外を見て自分がアフリカにいることを実感します。
おはようアフリカ〜!!
朝食をいただいて準備完了。
アフリカ54ヶ国制覇の旅-第9章-はシエラレオネの首都

「フリータウン」

から始まります。

①フリータウン

フリータウンは、シエラレオネ共和国の首都。
同国最大の都市である。
人口は2010年時点で約120万人。
同国南西部のフリータウン半島に位置し、シエラレオネ川の西に大西洋を臨む港湾都市。
埠頭であるクイーン・エリザベス2世・キーはフリータウン最大の公共交通機関の要所である。
イギリスの解放奴隷が建設した欧米型の都市で、かつて西アフリカの経済や文化の中心地だった。

Wikipediaより

まずはその位置を確認させてください。
昨日、空港到着後にフェリーに乗って海を渡りましたが、その理由は国際空港とフリータウンの間に海が広がるからなんです。
それぞれ異なる半島の先に位置する首都と空港。

「だったら空港も同じ場所に作ればよかったのでは?」

という疑問を私も持っていたのですが

フェリー乗り場からフリータウンを遠めに見てもすぐにわかりました。
空港は作りたくても作れなかったんです。
なぜならこのフリータウンは『山の街』だから!

国名は、ポルトガル語で「ライオンの山」を意味する「Serra Leão」をスペイン語に翻訳した「Sierra León」から来ている。
「ライオンの山」と名付けられた理由については、現在のフリータウン付近にいたポルトガル人が、山の方からライオンのように轟く雷鳴が聞こえたため名付けたという説や、山から海へ吹き降ろす風がライオンの咆哮に似ているので名付けた、など諸説ある。

Wikipediaより

平面の地図を見ているだけでは気付けないことがあるものです。
ちなみにフェリーに乗らずに車で迂回(うかい)してフリータウンに行くこともできなくはありませんが、ものすごい距離なのでみなさんまずしません。

そんな山にできた首都フリータウン。
やはり自分の足で歩いてみないとわからないことがある!
ということで、散策を開始したいところですが、ちょっとここで注意したいことがあります。

ここシエラレオネは『世界最貧国』と呼ばれる国の一つです。
平均寿命の低さも有名で、5歳未満で亡くなる子どもの率は世界で一番高いといわれています。
これだけ聞くとどんな貧しい国なのかと思うところですが、それだけではないのも事実なはず。
『世界最貧国』という表現は私たちの思考を停止させます。

「シエラレオネは一体どんな国なのか?」

私は自分の目で見ることを大切にしたいです。
もちろん旅人が見れる側面というのはその国のほんのわずか一部にすぎません。
深いところまで知ることはできませんが、それでも自分が感じたことを大切にしていきたいなと。

まずは首都フリータウンから。
念のために今日は靴を履いていきます。
水もしっかり持っていざ街歩きスタートです!

ファミリーマートとそっくりの国旗

最近では祝日になっても国旗を掲揚(けいよう)する家はかなり少なくなった日本。
オリンピックやラグビーワールドカップのシーズンになると白地に赤の日の丸国旗のカラーがここぞとばかりにフューチャーされますね。
そんな国旗ですが、アフリカでは人々の日常の中にあるとても身近なもの。
小さな国旗を車内に飾る人の姿はよく目にします。
街中にも国旗カラーを模したものが見られる国もあり、まさに国旗とは国家の象徴であり、国民の皆さんの国への愛や誇りの表れなんです。
そんな大切な国旗ですがシエラレオネのソレは我々日本人にはとっても親しみのあるデザインになっていまして。
それが

こちらです。
一瞬コンビニに来たのかな?と思われるかもしれませんが、ココは国際空港の到着ゲートになります。
シエラレオネの国旗はファミリーマートと瓜二つなんです!

緑白青の3色が街中を彩るフリータウン。
歩いているだけで親近感が湧く不思議な街です。

世界最貧国の首都の治安

そんなフリータウンの街を歩きながらふと横に目をやると見えるトタン屋根の家々。
いわゆるスラムと呼ばれる地区が視界に入ってきます。
やはりここは世界最貧国なんだなと感じるわけですが、ただこれが他の国と少し様子が違うんです。

貧困層の方が住むスラムというのは富裕層の住む住宅街とは少し離れたところに位置し、それぞれ別々の社会を形成するのが一般的によく見る光景になります。
例えば私が2年間青年海外協力隊として派遣されたアフリカ南部のナミビア。
首都ウィントフックはいくつかの地区に分かれますが、その中でもトタン屋根でできた家が建ち並ぶのは北部のエリアと決まっています。
治安は少し悪いので、訪れる際にはいつも少なからず緊張する場所でした。

しかし、ここフリータウンの街を歩いているとビックリするのは突然スラムが現れることなんです。
商店や飲食店が並ぶメインストリートですが、一本道に入るとそこにスラムが広がり。

立派な建物が立つ山の麓(ふもと)にはトタン屋根。
そう、フリータウンには区分けされたスラム街があるわけではなく、街中に点在しているんです。
同じ世界最貧国と呼ばれる東アフリカに位置するブルンジを旅した際はスラムを目にすることはありませんでした。
無闇に近寄っていい場所ではなく、街の中心からは遠いところにあるのが基本ですからね。
しかし、フリータウンは違います。
歩いていればそこにスラム街があるんです。

となってくるとさぞかし危険な街なのかと思われるかもしれませんが、それが意外にも歩きやすくて。
スラム近くを歩いても物乞いされることはあまりありません。
注意が必要なのはオシャレな飲食店が並ぶ通りや市場などがあり人が集まるジャンクション付近です。
ココではそれなりにしつこく声をかけられます。
が、それ以外の場所では気を張りすぎることもあまりなく。
正直今日はとても気楽にフリータウン散策を楽しむことができました。
もちろん常に最低限の警戒は怠(おこた)りませんがね。

山の中にある街

さぁ、そんなことをイロイロ考えながら歩いていたわけですが・・・

「暑い!」

久しぶりに味わう熱帯エリアならではの暑さ。
少し歩けば汗が噴き出る懐かしいこの感じが楽しめたのは束の間。

この街が山の中にあることは昨日の時点でわかっていましたが、それは頭で理解しただけでした。
実際歩いてみるとこの街の『山レベル』がとんでもないということを体で知ることができます。

「いやー、マジでキツイ!」

ゆるやかな上りが続いていたと思えば急にスゴイ坂が現れるんです!
ちょっと歩いてみようと思っただけなのに・・・。
気付いたらスキー場のゲレンデを逆走していたという感じで。
暑さも相まって汗が止まらず。

振り返ると海岸沿いが遥か下の方に見えるからまぁ驚きです。
もちろん上りがあれば下りもあるので最終的には疲労はプラマイゼロの気分になりますが、それにしても一回の上りの傾斜がエグいエグい。
改めて、フリータウンは山の中にある街だということを覚えておいてください。

ようやくテッペンに到着した時には完全に息が上がっていまして。
達成感はかなりありますが、旅の初日に歩くようなもんじゃなかった。
まだカラダは暑さに適応できていません。
自分でわかる熱中症の5歩手前のこの感じ。
これはすぐにでも水が飲みたいぞ〜という時に西アフリカにはコレがあるんです。

キンキンに冷えた命の袋水〜!
これを持ってる売り子さんを見つけた気分はロールプレイングゲームで残りHPがわずかな時に無事に宿屋に辿り着いた時に似ています。
旅は現実世界のRPGです。
水をゲットして気持ちが完全復活!
1つ3円(0.5レオン)で買えるので、ちょっとノドが渇いたなと思ったらすぐに給水するのが熱帯エリアを安全に旅するための方法です。

アフリカ定番のゆで卵も食べて軽く腹ごしらえをしたところで、いよいよここからは下り坂。
なぜわざわざキツイ坂を上ってきたのか?

上からの景色を見下ろすためです!
この瞬間があるから頑張れちゃうんですよね。
タクシー(シエラレオネではバイクやトゥクトゥクが主流)に乗ればあっという間に移動できるわけですが、地道に歩くからこそその先に待ち受ける景色の感動は一入(ひとしお)。

下り坂になっても暑いことには変わりませんが、気分はスッキリ!
自分の足で見つけたフリータウンの街並みが一望できるスポットです。
上から見てもトタン屋根の錆(さ)びた色が目立つのはフリータウンならではの景色だなと。

そして宿から歩き続けること3時間半。
一応この散策にも一つのゴールがありました。
やって来たのはフリータウン北部のタワーヒルという銀行などが集まるオフィス街。
その中心にあるのがこの街だけでなくシエラレオネのシンボルにもなっている木です!

コットンツリー

コットンツリーは、シエラレオネの首都フリータウンの歴史的なシンボルです。
1792年にかつて奴隷だったアフリカ系アメリカ人のグループがこの地に到着した際にこの木の下で自由の民として新たな生活を始めることを祈ったとされており、国を象徴する木となりました。

何かないかと思い今朝ネットで調べて出てきたのが『コットンツリー』でした。

「木が観光スポット!?」

と思っていたのですが、あとになって調べれば調べるほどこの木が非常に重要なものであるということがわかったんです。
が、それはこのブログを書いている今の感覚。
とりあえず見に行こ〜うぐらいの気持ちでいた私は、宿を出発する前にスタップさんに伝えたんです。
今日はこれからコットンツリーを見に行こうと思ってるんだと。

「コットンツリーは2日前に倒れたんだよ」

・・・え?
聞き間違いかなぁと思いすぐにTwitterで『Cotton Tree』と入れて検索してみると

マジだ。
大統領のツイートですからね。
なんならシエラレオネのトレンド1位にもなってまして。
仕事の早い英文のWikipediaは既に過去形の表現(The Cotton Tree was〜)に更新したあとに

Googleストリートビューより

On 24 May 2023, a heavy rain storm felled the cotton tree with only the base of its enormous trunk still standing.

Wikipediaより

と続いていました。
・・・いや待ってよ。
自分が日本を出国したのが5月23日で、入国したのが25日。
・・・その間に倒れただと〜!?
今朝まではその存在すら知らなかったコットンツリーですが、何か運命めいたものを感じざるを得ません。

現在は倒れた倒木の処理をしている最中のようで、コットンツリーのまわりにはその様子を見ようと地元の方が数多く集まっていました。
実際にこの目で見ることができなかったのは残念ですが、倒木がある内に来れたのはこれもきっと何かの縁です。
ここに巨大なコットンツリーがあったこと。
その姿をしっかり想像して胸に焼き付けました。

ということでそのあともアチコチ街を見て回ったのですが、これまた面白い発見の連続で。
山だけではなく海もあるフリータウン。
まだまだ書き足りないこの街の様子はまた明日お届けしたいと思います。

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