シエラレオネを旅する⑤ 世界最貧国の道路インフラとお金の話 〜第2の都市『ボー』へ〜

2023年5月30日、天気晴れ。

シエラレオネを旅する

シエラレオネ東部の街コイドゥ。
この街に到着して最初に困ったのが宿探しでした。
ホテル予約サイトで調べても一件もヒットしなかったので現地に着いてから地図情報を頼りに何軒か回ったのですがどこも満室。
これは長期戦になるかもしれないなぁと思っていると、声をかけてくれたお兄さん。

「宿なら良い所あるよ!」

といって案内してくれたのが今回お世話になったAverage Guest Houseという宿です。
ファンがついているだけの必要最低限の部屋でしたが、それでも私にとっては十分!
暑くて寝れないということもなく、居心地の良さまで感じる小さな部屋が一泊約1000円というのはありがたすぎます。

さらに併設されているレストランの料理のクオリティーが素晴らしくて感動なんです!
フライドライスとチキンという西アフリカではよくある定番の料理になります。
コレがメッチャうまくて旅先ではイロイロ試したい派の私が2日連続同じものを注文してしまうレベル。
特にチキンが柔らかくてもう最高でした。
このボリュームでお値段70レオン(約400円)だから驚きです。

ただ注意点としてレストラン内外には振動を感じるレベルの爆音の音楽が常に流れています。
リラックスは正直できないかなぁと。
そしてもう一つ。
黙って注文するとこれまた西アフリカあるあるの激辛ソースが添えられてくるんですが、コレが本当に危険レベルの辛さ!
辛いのが苦手な私はちょっと舌に触れただけで痛みを感じます。
いらない場合は事前に断っておくのも手です。

さぁ、シエラレオネの旅も残すところ今日を入れてあと2日です。
そろそろ次の国へ向かうために、コロナ以降の流れでは国際空港があるスタート地点の首都へ戻るところですが、今回は違います。
2023年に入りコロナによる出国の制限がほとんどの国でなくなったということで、久しぶりの陸路国境越えに挑戦します!
よって本日向かうのは首都ではなく、名前が面白いという理由で選んだ

『ボー』

という街です。

最後にコイドゥの街の散歩を終えて時刻は10時。
そろそろボーに向かう車を探そうと思い車乗り場にやって来ると

「ボー行きの車はもう今日はないよ」

えーー!!
たしかにそこにあったのはもしかしたら人が集まるかも程度に停車している空のワゴン車。
客引きのお兄さんの姿も一人も見かけず、これはさぁどうしたものかと思っているとそこに現れたのが

バイクに乗ったお兄さん。
なんと彼がボーまで連れて行ってくれるというんです。
でも、コイドゥからボーまでは約180km。
バイクでの長距離移動は一瞬たりとも気が抜けないので相当ハードです。
が、これしかないとなるとお願いするしかないかぁ〜。

ということで意を決してバイクでボーへ行くことに!
550レオン(約3200円)で交渉成立です。
あとはもうドライバーであるスパラジさんを信じて乗るのみ。
いざボーに向けて出発です!!

シエラレオネの道路インフラ

まぁでも実はそこまで大きく心配はしていませんでした。
バイク移動といって思い出すのはカメルーンからコンゴ共和国への陸路での国境越え。
とんでもないオフロードの山道をガタガタ揺れながら進んだあの大移動は今でも忘れない大変な思い出の一つです。
ただ、ここはシエラレオネ。
今回の旅でこの国の道路インフラが非常に整っていることはよーくわかりました。
なので180kmのバイク移動もそんなに苦ではないはず。
風で帽子が飛ばないように気をつけながらあとはしっかり座っていれば問題ありま

せんと言いたいところでしたが、出発して20分たったところで道を曲がりオフロードを進んでいくバイク。
おそらくショートカットだろうなぁと最初は思っていたんです。
しかし!

一向に終わる気配がなくどんどん山の中へ入っていくんです!!
・・・ここでようやく気付きました。
地図で説明します。

【注意】コイドゥ⇄ケネマ間移動

②コイドゥから③ボーへ行く場合は左回りと右回りの2パターン。
左回りの道は首都フリータウンからコイドゥに来る際に通過した完璧に舗装された道路です。
しかし、今回スパラジさんが進むのは右回り。
先ほどの交渉の際に彼が

「まず★ケネマに行ってからボーに行く」

と言っていたんです。
出発前にはバイクに小さな荷物を括(くく)り付けていたスパラジさん。
そう、彼は私をボーに連れて行くだけではなく、荷物運びの仕事もしていたんです。
その荷物の届け先が『ケネマ』!
彼がわざわざ右回りコースを選んだのはケネマに行くためでした。

そしてこのコイドゥ⇄ケネマ間だけがオフロードなんです。
確かに非常に起伏の激しいエリアで、この区間に道路を敷くのは難しいなということは走っていればイヤというほどわかります。
シエラレオネにもこんな道路があるということを知れたのはよい学びですが、完全な予想外。
まさかさっき思い出したばかりのカメルーン→コンゴ共和国の国境越えが再来するとは。
これだから旅は面白いものです。

とにかくオフロードを進み続けるしかなく、揺れるバイクにしがみついているとだんだんおしりが痛くなり。

「あと一体どれくらいこの時間が続くのだろう?」

現在地を地図アプリで調べるとケネマまでまだ半分ほどあることがわかり絶句。
そこからは写真を撮るのをやめて、まわりの景色を見ながら無我の境地に達するのでした。

では、移動の途中ですがここでシエラレオネのコトを一つ。ここまで触れてきませんでしたが、大事な大事なこの国のお金の問題についてご紹介したいと思います。


シエラレオネの通貨事情

シエラレオネの通貨は

『レオン』

国名由来の獅子(しし)の名がついたカッコイイ通貨です。
さっそく入国直後に空港のATMで引き出そうと思い、まずはレートを調べると1ドルが約20000レオンと出てきました。
しっかり把握したところで、ATMで引き出す金額を入力しようとすると・・・

『最大800レオンまでしか引き出せません』

はぁぁぁぁぁあ!?
800レオンってそりゃ冗談でしょ!!?
一回に0.25ドル(5円)しか引き出せないってそんなわけあるかーーい!!
とツッコミを入れないことにはどうしようもありません。

「どゆことーーーー!?」

はい、説明します。
2022年7月。
シエラレオネ政府はインフレ(物価上昇)によってレオンの価値&信頼が下がっている事態をなんとかしようということで新紙幣を発表しました。
それがコチラ。
前の写真と見比べていただきたいのですが、デザインは全く同じになります。
(サイズは違います)
違うのは0が3つ取れたことです。

旧2000レオンと新2レオン。
0が3つ取り除かれましたが、その価値は同じ!
そして新紙幣が流通してから間も無く1年が経ちますが、未だにどちらの紙幣も使用されています。
おわかりいただけたでしょうか。
つまりネットに出てきた『1ドル=20000レオン』は旧紙幣のレートであり、ATMの800レオンというのは新紙幣のことを指していたんです。
この事実を入国直後に教えてくれたいっしょにフェリーに乗ったおじさんには本当に感謝でした。

2019年に訪れたモーリタニアでも行われていた通貨の単位切り下げ。
地元の人はお金のやり取りをする際に旧紙幣感覚で『サウザンド』や『ミリオン』という表現を使うので、そこから常に0を3つ消して勘定しないといけず。
旅人にとってはこれほど厄介なことはありません。
まぁ慣れてくるとなんとかなるもんですがね。

現在は

『1ドル=220〜240レオン』

という感じで、新紙幣を刷っても未だ貨幣価値は少しずつ下がっているレオン。
こうなってくるといざという時のために強い外貨(ドル)を確保しておきたいというのが地元のみなさんの思いです。
首都フリータウンを歩いていると

「チェンジ(両替する)?」

と声をかけられることが多々あります。
新紙幣で初めて登場した20レオン(旧紙幣だと20000レオンに該当)も既に1ドル以下の価値になっているシエラレオネの貨幣事情。
新紙幣発行のニュースが報じられる日も近いかもしれません。

ちなみに銀行で下ろした大量の10レオン。
これ全部で3万円ぐらいなのですが、見てほしいのはその裏のデザインです。

先日倒れてしまったシエラレオネの自由の象徴『コットンツリー』が描かれています。
折れる前の立派な姿です!


日焼け止めを塗っておけばよかったと後悔した時にはもう遅く。
オフロードがついに終わり舗装路に戻ってきた頃には太ももが真っ赤に。
2時間ちょいで着くでしょうなんて高を括っていたバチが当たりましたね。
バイクに乗る際は長袖長ズボンの日焼け対策が必須です。

ケネマに到着すると頼まれていた荷物を届けるために停車したのはとある倉庫でした。
ここまでほぼノンストップできたのでやっと束の間の休憩です。
で、やっぱり気になるぞということでちょっと倉庫の中におじゃましてみると

何かを袋詰めしているみなさん。
北アフリカ(中東)で食べられているデーツ(ナツメヤシ)のように見えたのですが、よーく見たら・・・

カカオだ!
赤道付近の熱帯エリアで育つチョコレートの原料であるカカオ。
ガーナやコートジボワールが主な産地として有名ですが、同じ西アフリカに位置するここシエラレオネでも産出されているんです。

食べなくても不思議と元気になるのがカカオ効果というやつなのかもしれません。
お兄さんたちに笑顔をいただいたところで、再びバイクに乗車。
目指すボーまではあと70kmほどです。

そこからはずっとこれまたキレイに整った道路が続きました。
オフロードが終わった安心感で気が緩(ゆる)み一気に疲れが押し寄せますが、最後まで油断はできません。
ラストスパートを気力で乗り切ります。
(バイクでの長距離移動は決してオススメできません)

そしてついにボーに到着!

③ボー

ボーは西アフリカ・シエラレオネの都市。
2012年の推計人口は233,684人。
首都フリータウンに続いてシエラレオネ第2の規模を誇る都市で、南部州の州都及びボー地区の中心地である。

Wikipediaより

首都フリータウンに比べるとだいぶ規模は小さいですが、人が行き交う賑やかな通りの様子に活気を感じます。
(先ほど通過したケネマは第3の都市です)
本当であれば今日はボーを少し歩いて回ろうと思っていたのですが、昼休憩も無しでここまで動いてきたのでもう満身創痍。
サッと調べて出てきた良さげな宿へそのまま直行してもらいまして

ゴ〜ル!!
これにてバイク180kmの大移動終了です。

「やった〜!!」

と喜ぶと同時にここまでずっと時間を見ていなかったことに気付きスマホで確認します。するとまさかのコイドゥ出発から4時間半も経っていたことが判明!
・・・体感的には3時間ぐらいに感じていた自分。
これまでのアフリカ旅が私を強くしたのか、単に感覚がブッとんでるだけなのか、我ながら面白いなぁと思うのでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です