ナミビアを旅する⑦ 秘境の温泉へ行こう!Part2 〜温泉リゾート施設『アイアイス』〜

2021年5月28日、天気晴れ。

ナミビアを旅する

今日は勝負の一日になるぞとわかっていたので、いつも以上に早めに寝て気持ちの良い目覚めで朝を迎えた本日。昨日は夜遅くに到着したのでハッキリと見えなかった宿の全貌(ぜんぼう)がようやく明らかになると、気品の高さが至るところから感じられるオシャレな雰囲気が敷地いっぱいに広がっていました。

ホテルNoretshama River Resort」

アウセンケで唯一の宿であるNoretshama River Resort。目の前にオレンジリバーが流れ、すぐそこの対岸は南アフリカ共和国という場所に位置します。朝のオレンジリバーがまぁ美しいこと。

その景色を見ながらいただく朝食。ステキな空間に流れる癒しの時間。思わずのんびりしたくなりますが、そこはバックパッカー!今日の移動は体力勝負とわかっているのでしっかり食べてコーヒーも2杯飲んでガッツリ気合いを注入です。

荷物を準備していざ、今日はこのナミビア国内南部旅の最終目的地を目指します。

町の中心からはだいぶ離れた場所にあるこちらのリゾートホテル。さすがに歩くことはできないのでタクシーを呼んでもらおうとチェックアウトをする際にお願いすると、宿の従業員の方が車を捕まえられそうな場所まで送ってくれることに。ありがとうございます!!

さぁその道中。昨日は真っ暗でわからなかったアウセンケの町の景色が窓の外に広がりました。そびえる壁に見えていたものは実はネット。

ナミビア南部のブドウ

なんとこのアウセンケの町には一面にブドウ畑が広がっているんです。しかも私の想像を遥かに超える広さ!

この緑の部分のほとんどがブドウ畑!これはワイン用ではなく食用のブドウだそうです。収穫したブドウはお隣の南アフリカへ陸路で運ばれ、そこから空輸でヨーロッパへと輸出されているとのこと。

とにかくどこまでも続くブドウ畑。ナミビアでブドウを育てているなんて今日の今日まで知りませんでした。ではなぜここでブドウが栽培できるのだろうか?ついつい小学校社会科の学習が頭の中で始まってしまいます。

私の疑問に答えてくれたのは車を運転してくれているオーティスさん。ブドウの栽培にはナミビアの乾燥した気候と暑さが欠かせないそうです。そしてこれだけだったら正直ナミビア全土で育てられます。ここでもう一つ欠かせない大事なもの。それがオレンジリバー!乾燥した暑い大地にこの川の恵みがあることで、甘くて美味しいブドウが栽培できるということでした。思わずオォ~!と納得。ナミビアの最南の地域にとってこのオレンジリバーがどれほど大事な川なのかということを改めて感じる美しいブドウ畑の風景です。

ちなみにこのアウセンケの町にはもう一つ非常に特徴的な景色が広がるのですが、これはまた後日ご紹介したいと思います。

ということでオーティスさんが連れてきてくれたのはアウセンケのショッピングセンター。こんな所に!?というすごい場所にあるのですが、これがこの町の中心地。アウセンケは本当に小さい町です。

そしてここでオーティスさんが動いてくれました。私の今日の目的地は地元の人たちはまず行かない場所で、さらに旅行者も少ないらしく移動する車を捕まえるのは困難だろうと心配してイロイロと策を考えてくれまして。スーパーの店員さんにも聞いて回りましたが、やはりココで待っていても難しいかもしれないということが判明。ということで確実に目的の場所に向かう車が通る分岐点まで連れていってもらうことになりました。ちなみにこのスーパーの店員さんはなんと昨日一緒にアウセンケの町にやって来た乗客のダニエルさんの兄弟!「日本人といっしょに来た」という話を聞いていたらしく、彼の方から声をかけてくれました。これもまた嬉しい一期一会です。

ということでオーティスさんに分岐点に連れて来てもらいました。ものすごく気を遣(つか)ってくれたオーティスさん。彼からの別れの言葉は「Good luck!」。

やさしさに胸がいっぱいになりながら、オーティスさんの車を一人分岐点で見送りました。

ヒッチハイクスタート

さぁ、あとは待つのみ!時刻はお昼前の11時。先ほどのスーパーで水は買いました。ガッツリ炎天下でケータイの電波も入らないこの場所で、目的の方面へと向かう車をヒッチハイク!ここにはガソリンスタンドのお兄さんのように頼れる人は誰もいません。自分で車を捕まえます!!

といってもまず車がそんなに通りません。しずかーな分岐点には鳥の声がチラホラ。そして目の前にはそびえる山と美しいブドウ畑。この景色を見ながら一人のんびりと過ごす時間はもしかしたらものすごく贅沢(ぜいたく)なのかもしれません。

たださすがに暑いので日陰に避難。ここで待っててくださいと言わんばかりの大きな岩の影に、そこら辺にゴロゴロある石の中から良さそうなものを持ってきてイスがわりにして座ります。うん、居心地よし!

時間経過

お昼過ぎの1時。太陽も高くなり日陰エリアも小さくなっていきます。まぁ暑い!照りつける太陽で肌がジリジリと焼けるのがわかるくらいに暑いです。が、ここで面白いのは暑くても汗はかかないのがこのナミビア南部。ナミビアの中でも特に乾燥した南部はカラッとした暑さで、赤道直下の熱帯エリアのように汗が吹き出てとまらないということはありません。おいしいブドウの秘密でもあるこの暑さを実際に体感しながら、まだまだ車を待ちます。

汗はかきませんがどんどん日差しが痛いと感じるようになる午後2時。こんな時、オレンジリバーの川の水がブドウたちの枯(か)れた心を癒(いや)すのでしょう。私もしっかり水分補給をします。汗をかかない時もこまめに水分を取ることは熱中症対策で最も大事なことです。

…えー、ここまで何事もないかのようにブログを書いてますが、今日はずっと一人です。会話する相手はどこにもいません。一人分岐点で車を待ちながら黙々(もくもく)とブログを書いています。その間、車は通りましたが1時間に1台ほど。そしてみなさん完全に旅行者の方たち。家族連れの方が多く、手を挙げても停まってくれる気配はありません。

時間経過

暑さのせいか、ついに爪(つめ)でも切ろうと思い立ってしまう午後3時。目の前に広がるブドウ畑への感動は未だ衰えることはありませんが、さすがに待ってるなぁ~という感覚になってくる時間帯です。こんな時はスマホで一人自撮り大会。誰もいない世界を独り占めしたような楽しい気分になります。

さすがに今日は厳しいかもしれないと思い始めたのは夕方4時を回った頃でした。そろそろ日も傾き出す頃で旅行者のこの時間帯からの移動は減ることが予想されたからです。これまでのナミビア国内移動は待っていれば最後はなんとかなりましたが、今日の目的地はそう上手くはいかないようです。そしてやはりここにいるのが自分一人というのが大きい。これまでの移動がどれほど多くの人に支えられてできていたのかを強く強く感じました。

…5時になったらアウセンケの町に歩いて戻ろう。そう決心して最後の1時間に全てをかけることにしました。そしてまた車が一台分岐点を曲がり自分の方へと進んできます。これがラストチャンス。指で方向を示して手を挙げます。

するとゆっくりと減速して目の前で停まってくれた車。急いで走って運転手さんの元へ。

「アイアイスに行きますか?」

ココを通る車はそこにしか行かないとわかっているわけですが念のために確認をします。もちろん答えはイエス。そしていよいよ次の質問です。

「いっしょに乗せていってくれませんか?」

「Welcome!」

アウセンケ出発

こんなことがあるんだ。ドラマみたいな展開に驚かされながらも、これはドラマじゃなくて自分の旅なんだ!と胸の高鳴りを感じながら荷物を持って車に乗車。そのあとは何度も何度もありがとうを伝えました。その度に「気にしないで!」と言っていただき、さらには「暑かったらエアコンを入れて!」と気を遣っていただきまして。後部座席に座りながら目の前にいる2人にただただ感謝の思いを抱くばかりでした。

これでついに行ける!!5時間半の待ち時間も全てはこの瞬間のためにあったわけです。グラベルロード(未舗装路)を進む車から見える乾いた大地と山の景色。あと少し早く諦(あきら)めていたら今日は出会うことのなかった景色。本当に今回ばかりは無理だと思っていたので嬉しすぎて。運転手のウドさん。そして奥さんのサオミさん。本当にありがとうございます。

2人と話をしながら車は進みおよそ50分。到着したのはこのナミビア国内移動南部編の2ヶ所目の目的の地である「アイアイス(Ai Ais)」です。

⑥アイアイス

アイアイ温泉は、ナミビア共和国にある硫黄泉質の温泉。アイアイとは現地で使用されているコイコイ語で「燃える水」を意味する。アイアイ/リフタスフェルト・トランスフロンティアパークの一部を成し、ナミビア南部・カラス州のフィッシュ川渓谷の南縁、グレートカラスベルグ山脈に位置する。

【Wikipediaより】

ここはNamibia Wildlife Resorts、通称NWRというナミビアの旅行会社が運営する施設の一つになります。まわりに人が住む村などがあるわけではなく、山の中にこの施設があるだけという完全旅行者向けの観光地。つまりここにやって来る地元の人を乗せた車はなく、その関係でヒッチハイクで来るのはかなり困難な場所になるわけです。自分で来てみてその難しさがよくわかりました。

広いキャンプサイトがありここでテント泊をすることができます。もちろん部屋で寝泊まりすることもできますが、ここに来る旅行者はキャンプを楽しみに来る人がほとんどです。

久しぶりのテント泊!1泊315ナミビアドルで泊まれるのはありがたいです。山に囲まれたまわりの雰囲気もいい感じ!先ほどまでの分岐点にいたことが一気に過去になります。

そして寝床を確保したらいよいよです!このアイアイスに来たのはこの瞬間のため!!なぜこんな山奥に立派な宿泊施設があるのか??

秘境の温泉リゾート施設

それはこちら!なんとこの場所には温泉が沸(わ)いているんです。その温泉に入ることができるのがこのアイアイス!!

この場所については青年海外協力隊としてこの国に来るよりもずっと前から知っていて、いつか必ず来たいと思っていた場所でした。協力隊時代もチャレンジはしましたがヒッチハイク失敗で結局来れず。なので本当に念願のアイアイス!さぁもう待ちきれないぞ!!

とその前にルール確認を忘れずに。水着を着て入ることや入る前はシャワーを浴びるなどの注意書きがあります。しっかりチェックして、さぁいざ入浴です!!

久しぶりの温かいお湯に入る感覚はやっぱりいいもの。しかもこの時は完全に一人貸切状態。まぁ温泉だと思っていましたが感覚的には温水プールより少し温かいくらいの感じです。それでも硫黄(いおう)の匂いはしっかりと。旅で疲れたカラダに最高に気持ちいいアイアイスの室内温泉!屋外にも24時間入れるという温泉があるそうなんですが、それは明日の朝に入りにいきたいと思います。

硫黄効果でカラダが温まった風呂上がりの一杯はもちろんナミビアの生ビールといえばのハンサドラフト!この瞬間のしあわせは言葉にできません。本当に来れてよかった!!オーティスさんに車で送ってもらい、お昼前から車を待ち続け、そこにウドさん&サオミさんが現れて、そして今がある。この一杯は格別です。

今夜はレストランのお姉さんのオススメを信じてオリックスをステーキでいただくことに。正直これまでオリックスにはそこまで良い印象がなかったのですがこのステーキがまぁ絶品でした!

ミディアムレアでこの赤く血が滴る(したたる)感じなんですが、この肉のあまりの柔らかさにビックリ!これまでの私のオリックス感を超える一皿でした。

温泉に入って、ビールを飲んで、美味しいものを食べて、そして何よりずっと来たかったアイアイスにいる。もう本当にこれ以上ないハッピーな夜をさらに演出してくれるのは夜空に広がる満天の星!!

アイアイス、本当に来れてよかったーー!!

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