ナミビアを旅する㉕ 世界一重い隕石&狩猟採集民族サン〜グルートフォンテインから秘境「ツンクエ」へ〜

2021年6月15日、天気晴れ。(※2023年10月更新)

ナミビアを旅する

昨日やって来たグルートフォンテイン。
アフリカーンス語で

「大きな泉」

を意味するこの町は農業が盛んで、他の地域では見られない街路樹の豊かな緑が印象的です。

ナミビア最北部エリアへの玄関口にもないっていて、アパルトヘイト時代の歴史的にも重要な町の一つです。

この街でお世話になる宿はThe Courtryard Guest House
協力隊時代に地元の方に教えてもらったBooking.comでは出てこない隠れ家的な宿です。
この地域では安めの1泊300ナミビアドルで泊まれて、さらにWi-Fiがバッチリなのがありがたいところ!
レストランの食事も非常に美味しいので、グルートフォンテインに来たら迷わずこの宿一択です。

今日はこのグルートフォンテインにある非常に面白い観光スポットと、ここから行けるまたまたナミビアの秘境と呼ぶにふさわしい場所を紹介したいと思います。

まず紹介するのは町の中心からから20kmほど西に行った所にあるこの町といえばの観光名所です。
ココに行くには車が必要なので、タクシーの運転手と値段交渉をしてから向かいます。
未舗装路を進むことおよそ30分。
そこに現れたのはMETEORITEと書かれたモニュメント。
日本語に訳すと

「隕石」

です。

世界一重い隕石「ホバ隕石

ホバ隕石はナミビア・オチュソンデュパ州で発見された隕石。
確認されているものの中で世界で最も重い。
ホバ隕石は2.7m×2.7mの長方形で0.9mの厚さである。
1920年には66トンの重さがあったが、侵食や調査のためのサンプリング切り出し、破壊行為などによって、現在の重量は60トンを若干超えるほどと見積もられている。
-中略-
8万年以上前に落下したと考えられており、地球大気によって減速されて、損傷が少ない状態になったと考えられている。
隕石の形状が他に例のない平たい面をもつ形状であったため大気圏の上部で水切りのようにはねて落下したと考えられている。

Wikipediaより

ナミビアには世界一が全部で3つ!
1つ目はスワコプムントにある世界一大きいクリスタルでした。
そして2つ目がここグルートフォンテインの世界で一番重い隕石です!

「そんなものがこのナミビアにあるのか?」

と実際にこの目で見るまでは信じられない気分ですが、しっかりとした観光施設があり、入園料20ナミビアドルを払って園内に入ると

目の前に大きな石がドンと置かれたかのように存在していました。
たしかに漂うタダ者じゃない感!

太陽の光を反射させた表面を見るとこれがただの石ではないことがよくわかります。

人が乗るとそのサイズ感も伝わるかと思います。

「・・・というか乗っていいの!?」

となりますが禁止はされていないようでした。
人が乗ったぐらいではびくともしない隕石なので問題無いとの判断なのかなと。
そしてこの隕石を畑を耕そうとしていた農夫さんが発見したというのがなんとも面白いストーリーです。
さらにこの施設ではキャンプをすることもできます。
隕石を見ながらキャンプができるのは世界でもここだけではないでしょうか!

ということでまずはグルートフォンテインの観光スポット「ホバ隕石」でした。
さぁ、時は現在に戻り今日はこの町からさらに南下していきます。
タクシー乗り場のみなさんも明るい人が多いグルートフォンテイン。
今日は1時間半ほど待って車は出発しました。
この町を離れるといよいよナミビア北部との完全なお別れです。

そんな別れのさみしさを感じながら続いてご紹介するのはナミビアの秘境!
今回の旅では南の秘境オラニエムント北西の秘境エプパフォールズの2つを訪れました。
ここでいう秘境という言葉は

『行くのが難しい場所』

という意味で用いています。
そしてこれから紹介するのはこの2つを凌駕(りょうが)する秘境中の秘境!
東の

「ツンクエ」

です。

ツンクエ

ホバ隕石とは違い⑭グルートフォンテーンからなんと350kmほども離れた位置(★)にあるツンクエ。
このツンクエに行く車はグルートフォンテインの一番東にあるガソリンスタンドから出ます。
しかし、この区間はほとんど人が住んでいないので頻繁(ひんぱん)に車が行き来していません。
とにかくツンクエに向かう車を待ちます。

この日は前日のお昼から待つも車が見つからず。
さらに翌日も4時間待ち!
結局およそ24時間かけてようやく車をゲットしました。
そしてその車というのが

こちら!!
これまでアフリカでたくさんの移動手段を経験してきましたが、大型トラックの荷台に乗ったのはこれが最初で最後です。

そしてこのトラックで走るのは未舗装路!
豪快(ごうかい)に揺れる荷台に乗りながら、全身に砂埃を浴びて果てしないグラベルロードを進んでいきます。

ひたすら到着を待ち続けて耐えること4時間半。
ついにたどり着いた秘境ツンクエ。
もうこの時の達成感はハンパじゃありませんでした。
ものすごく刺激的な大移動。
ちなみにここまでの運賃はなんと無料!
この秘境の地に住む人たちの送迎はこの区間を走る車の運転手のみなさんの無償活動によって支えられているんです。
これにはビックリでした。

ということで遠路はるばるやって来たツンクエという小さな町。
このツンクエには現在のナミビアに暮らしはじめた最初の住民として有名な

「サン」

別名「ブッシュマン」

と呼ばれる人々が生活をしています。

サン

サン人は、南部アフリカのカラハリ砂漠に住む狩猟採集民族である。
砂漠に住む狩猟採集民族は大変少なく現在ではこのサン人ぐらいしかいない。
かつて3000〜2000年前くらいまでは、南部アフリカから東アフリカにかけて広く分布していた。
しかし、バントゥー系の人々や白人の進出により激減し、現在はカラハリ砂漠に残っているだけである。
近年の遺伝子解析では人類の祖先と目されている。
サバンナで生活するサン人は「地球最古の人類」とも呼ばれ、移動する狩猟採集民族として20世紀には数多くの生態人類学者の観察対象となった。

Wikipediaより

彼らの生活の基本は自給自足。
男性は狩猟を、女性は採集で必要な食料を調達して生活をしています。
現在はその生活形態も文明の発展によりかなり変わったようですが、基本は未だに狩猟採集だそうです。
政府が彼らサンの本来の生活の保護に取り組むなど、ナミビアにとって貴重な生きた歴史を語る彼ら。

ナミビアの他の民族とは明らかに違う顔つきと、独特のクリックサウンドで会話をする彼らを前にするとはじめはなかなかに緊張します。
が、

「お前にサンの名前をやる!」

と言ってくれた長(おさ)の計らいで少し気が楽になりました。
まぁおそらく来た人みんなに行っている形式的なものだと思いますが、それでも嬉しいものです。
彼らの1日に密着させていただけるツアーに参加できるのがこのツンクエ。
ちなみに私がもらった名前は「ガオ(英語でOwnerの意味)」でした。

車に乗り込んでウォーターポイントや彼らの活動ポイントに移動します。
その昔は車なんか無かったわけなので歩いて移動していたサンの人々。
彼らは水辺を求めて転々と移動を繰り返した生活をしていましたが、時代の変化により移住の必要性が無くなったことで現在は一ヶ所に定住するようになったそうです。

車を降りて歩いていると

「これはワイルドビーストの足跡だ!」
「これは小さなゾウの足跡だ!」

というように動物のいた形跡を察知する彼ら。
動物の生態系の理解や行動予測などにおいて彼らは非常に豊富な知識を持ちます。
その知識と狩りの技術を組み合わせることで狩猟生活を営むサンの人々。

また彼らにとって大事なのが水です。
乾燥地帯で生活をしているサンの人々にとって水を確保するための手段は必要不可欠。
その内の1つを見せるために地面を掘り始めた長。

「何が始まったんだ!?」

とその様子をじっと見ていると

掘り続けることおよそ30分。
根っこというにはあまりに大きな芋のようなものが地面から出てきました。

掘(ほ)り出したのは「ウォータールーツ」という植物の根。
一口食べさせてもらうと、粘り気の無い山芋のような感じで、口中に水分が広がりました。
狩りに出た男性たちはノドが渇くとこのウォータールーツを掘って水分補給をして次の狩りに備えていたそうです。

まるまる1日サンの人々といっしょに過ごすこのツアー。
ゴロゴロしたりタバコを吸ったりするありのままの彼らの日常を見ることができるのも面白いところです。

男性たちが狩りに使う道具の手入れをする姿や、女性たちがダチョウの卵の殻を使った装飾品を作る様子もちゃんと見せてもらえます。

最後は狩りの練習をさせてくれることに!
彼らが実際に使っている弓矢を使って的を射させてもらいました。
まずは若頭のお手本。
正確に的を射るその技術はさすがです。

構えを教えてもらい私も挑戦。
20回くらいやって5回くらいは的に当たったのでまぁ個人的には見習いレベルかな〜なんて!
そして当たる度に子どもたちが拍手してくれるんです。
これが嬉しかった!!

正直ツアーに参加するので

「みなさん客慣れしているのかなぁ」

と思っていたのですが、彼らのスタイルは

『我、客に関せず』

特別何をするわけでもなく、自分たちのやること・したいことをするといった感じでした。
逆にそれがリアルですごくよかったです。
1日いっしょにいると帰る頃になってようやく少し馴染むことができたかなと感じることができました。

ナミビア最初の住民サンの暮らしを感じることができるツンクエ。
ここまでの道のりは非常に大変ですが

「来てよかった!」

と心から思える東の秘境です。

ちなみにこのツンクエのツアーを主催しているのはこの町で唯一の宿泊地Tsumkwe Country Lodge
秘境の宿なので宿泊費はお高めで1泊765.50ナミビアドル(約6000円)ですが、キャンプサイトはなんと一泊180ナミビアドルで泊まれます。ツアー代は参加人数によって一人当たりのお値段が変わるシステム。4人以上だと一人935ナミビア、1人だと2780ナミビアドルという感じです(2016年時点)。

ということでグルートフォンテインから行けるナミビアの知る人ぞ知る観光地を紹介し終えたところで、車は2時間ほど走り終えて本日の移動の中継地点であるオチワロンゴに到着しました。

先日オプヲに行く前にも寄ったナミビア中央部に位置する移動の拠点となる街オチワロンゴ。
このまま車に乗り続ければ首都ウィントフックまで行けるのですが、この街でどうしてもやりたいことがあったのでここで降りることに。

「いったい何をするのか!?」

DAY217.5へ続く

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