ガーナを旅する⑦ アフリカで活躍する日本人プロサッカーリーガー 〜森下仁道物語〜

2021年7月18日、天気晴れ。

ガーナの歩き方

晴れた!!ガーナに来てからは何かとくもりが多かったわけですが、ほどよく空が明るい本日はなんとアフリカで初めてサッカーの試合を観戦します!!天気も味方をしてくれているのかな!?と気持ちが高まってきているところです。それにしてもなぜサッカー観戦??話は1週間以上前にさかのぼります。

今は当然のようにガーナを旅している私ですが思い返せば13日前。在ブルキナファソガーナ大使館で告げられた「在住者にしかビザは発行できない」という現実に目の前が真っ暗になりました。この時の絶望感たるや。行きたい国に行けないという初めて経験する事態に混乱し、もうそこからは別の国に行く予定を考えはするものの心ココに在らずという感じでした。「仕方がない、仕方がない」と自分に言い聞かせてなんとか現状を納得させようとしますがそう簡単にはいきません。そしてこういう時こそアウトプットだ!ということでTwitterで現状報告をと思い『ガーナに行けません』という旨をツイートしました。するとそこに一件の返信が。

「ちょっとまだフライトキャンセルは待ってください!DMします。」

森下仁道さん

完全に諦めていたガーナビザ。それがアライバルで取得できる可能性があると手を差し伸べてくれた方がいました。それが本日の主役である森下仁道(もりした じんどう)さんです。彼のおかげで「なんとかなる!」といういつもの私のスタンスに戻ることができ、そこから多少の不安を抱えつつもガーナに飛び、本当になんとかなった結果、今こうしてケープコーストの地にいるわけです。人生は人との出会いで道が切り開かれるのだということを改めて実感しています。本当に縁に感謝でした!!

以前、日本でもオンラインでお話をさせていただいたことがありましたが、実際に会うのは今回が初めて。ケープコーストに到着した初日についに仁道さんと対面することができました。ご自身の活動をYouTubeでも発信されているので初めて会った気がしなかったのがなんとも面白い感覚で。が、私の想像よりもさらにさらに明るいエネルギーに満ち溢れていた仁道さん!ではその彼はいったいなぜケープコーストに??

エブスアドワーフスFC

森下仁道さんはアフリカの地を舞台に活躍されているプロサッカー選手になります。2019年にアフリカ南部の国ザンビアでプロデビューを果たし、今年2021年に新天地ガーナへ。ガーナプレミアリーグ(日本でいうJ1)で戦う『エブスア・ドワーフス(Ebusua Dwarfs FC)』に所属しています。そしてこのチームのホームタウンがケープコーストなんです。

ケープコーストの中心にあるカニのモニュメント。エブスア・ドワーフスのマークもこのカニ!この街のシンボルのようです。

ここ数日ケープコーストを旅してきたことでこの地がガーナにとって非常に重要な街であることを学んできました。その歴史ある街のフットボールクラブに所属している仁道さん。彼はガーナ史上初の日本人リーガーとしてケープコーストを拠点に挑戦をしています。

そんなアフリカの地でプレーをする仁道さんの姿をいつか見てみたいなぁ~と思っていました。そして今回”縁”と”タイミング”がバッチリと絡み合ったんです!なんと本日が2020年11月から始まった今シーズンの最終試合!!

さらには現在リーグ16位で残留争いの真っ只中のエブスア・ドワーフス!結果次第で残留か降格が決まるというメチャメチャ大事な試合を観戦することになったのでした。

ということで朝から朝食をバッチリ食べて、気持ちを整えて…自分が試合に出るわけでもないのにソワソワしながら午前中を過ごしまして。お昼過ぎにガーナのトゥクトゥク『プラギャ』に乗っていざスタジアムへ。大事な試合に向かっているんだ!と思うと観戦するだけなのに緊張してきました。

そして到着したスタジアムの大きさを見てさらにビビりました。ものすごく立派なケープコーストスタジアム!最終試合だからか周辺にはたくさんの警備員の方も立っています。こんなすごい舞台で仁道さんは戦っているのか!!

スタジアムの中に入ってもドキドキは止まりません。先日お会いしたあの仁道さん。もちろん彼がこのガーナの地で活躍しているサッカー選手であるということは頭ではわかっていました。が、彼がいるのは『プロ』の世界なんだなということをようやく理解し始めた試合開始1時間前。徐々に増えていく地元のサポーターのみなさん。彼らは選手を見に遊びに来ているわけではなく、”勝利”のための応援をしに来ているわけです。しかも今日は残留か降格かが決まる最終試合。スタジアムに高まる熱気のおかげで自分もお客さん気分から応援モードへと切り替わりました!

そしてついに選手のみなさんが練習のためにピッチに出てきました。その中には森下仁道選手の姿が!!

まだ練習ですがアフリカの地で初めて見るサッカー。そこに日本人がいるんです。サッカーという手段で世界の扉を開く仁道さん。その姿にただただ感心させられて、心の中でスゲー!を連発していました。

試合開始

午後3時、ついに試合開始!対戦相手はベチェム・ユナイテッド。仁道選手はベンチスタートです。

序盤からガンガン押しているエブスア・ドワーフス。やはり最終試合ということで選手たちの本気が伝わってきます。そしてなんと前半20分にフリーキックからゴール!さらに29分には前線の選手が一人で押し切ってゴール!!いきなり2点先取でもう流れは完全にコッチに来ています。となるとそろそろ見たいぞ森下仁道~!!

そのまま2対0で迎えた後半。前半の勢いが消えて押され気味な展開が続きます。

頼むよ!このまま逃げ切ってよ!!とヒヤヒヤしながら応援を続けます。そして後半も20分ほど厳しい時間をしのいだところで、ピッチの外にウォーミングアップをする選手たちの姿を発見…!!

後半35分、背番号35、森下仁道選手がついにピッチに~!!

アフリカの地で外国人選手として地元の人たちの中で対等にサッカーをする仁道選手。ボールが彼の元にくるとワクワクするのはきっと私だけではなかったはずです。

その後1点を返されるものの最後まで攻め続けるエブスア・ドワーフス。

それでもアディショナルタイムの3分を終えて試合終了。結果は2対1、エブスア・ドワーフスの勝利です!!やったーーーー!!これまで日本でも数回サッカー観戦をしたことがありましたが、自分が応援するとなぜか負けることが多かったので実はホッと一安心。いやー、勝ったぞ~!!

しかし、試合には勝ったもののこの日チームのみなさんの笑顔を見ることはできませんでした。他のチームの試合結果によりエブスア・ドワーフスの来季の降格が決定したのです。…プロの世界では結果が全てなんだなと。仁道選手も非常に悔しそうな表情をしていました。まわりからは見えない厳しいアフリカサッカー界の現実もあるようです。が、それでも前を向いている仁道さん。悔しさを語りながらも、決して否定的ではなくその目は既に”次”を見すえているようでした。

さらに仁道さんのサッカー以外のスゴさを感じたのはスタジアムを出たあとでした。彼のまわりには自然と人が寄ってきます。地元のファンの人たちや応援に来てくれていたサッカークラブの生徒のみなさんと交流する仁道さん。本当にたくさんの人に声をかけられるんです。まだチームに加わってから半年ほどしか経っていないのに、すでに地元の方から信頼されているその姿に驚かされました。サッカーを通して仁道さんの人間的な魅力がちゃんとケープコーストのみなさんにも伝わっているんだなぁと。

挑戦は続く

森下仁道選手がプレーする姿を実際にアフリカの地で見ることができたこと。これは私にとって大きなチャンスになった気がしています。仁道選手がアフリカで活躍する姿がもっと見たい!!終わりではなく、始まりを感じた本日の試合でした。

『2025年のクラブワールドカップにアフリカ代表として出場する』

仁道さんが掲げるこの目標がとんでもなく大きなものであるということはサッカー知識が疎い(うとい)私でもよくわかります。アフリカ54ヶ国の数多(あまた)あるクラブチームの中でNo.1になるという一瞬不可能にも思えるこの夢。しかしこの言葉が仁道さんを前にすると決して無理なことではない気がするから不思議なんです。”その日”を目指して進み続ける彼の『森下仁道物語』を私は今後も応援し続けたいと思います!

仁道さんのTwitter

@SoccerJindo

YouTube『 JinDo』

https://youtube.com/c/JinDochannel

森下仁道を応援する会「Story of JinDo」

https://community.camp-fire.jp/projects/view/457671

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