2023年12月8日、天気晴れ。
ケニアを旅する

夜行列車の中で迎えた深夜0時。
夜の時間帯を移動に使えるのは旅を効率的に進める上ではありがたいことです。
が、ちょっと想像と違ったケニア鉄道。
エコノミークラスは全席向かい合わせの修学旅行スタイルになっていまして。
足はそりゃ当然伸ばせず。
リクライニング機能もないので背中は常に90度で、座面も固くてお尻がイタイ・・・
あまりに立派な駅ターミナルの感動とは裏腹に乗り心地はかなり厳しくなっています。
まぁお値段は1000シリングと高速バスよりも安い設定になっているので妥当(だとう)なのかもしれません。
夜は外の景色も当然楽しめないので次の機会にもし利用することがあれば日中にしたいと思います。

それでもほんの少しは寝れたようで、気付くと乗客のみなさんが下車準備を始めていました。
午前3時半に列車はナイロビに到着。
・・・はい、早すぎます。
これもこの夜行列車の難点です。
が、今回はこの早朝着を逆手に取ることに!
まずは到着したターミナルで時間を潰します。
私以外にも同じようにココで迎えの車を待つ様子の人たちがチラホラいるので一安心。
横になれるベンチのおかげで直角シートでカチコチに固まった背中の筋肉が少しほぐれました。
ただ、とにかく寒いナイロビ。
ダウンジャケットと寝袋のダブル使いで耐え凌(しの)ぎます。

しかし、次の列車の乗客が入ってくる関係で6時にはターミナルの外へ出るように駅の警備員の方に指示をされまして。
さぁ、ここからが今日の最初にして最大の勝負になります。
私はなぜタクシーに乗ってホテルへ向かわないのか?
その理由はとある車を待っているからなんです。
いよいよケニア滞在は残すところあと2日。
旅の最後に選んだ行き先は動物の楽園サファリです!!

サファリに行きたいとは思っていたものの予約のために動いたのはなんと2日前。
基本行き当たりばったりでうまくいってしまうのがアフリカ旅なのでケニアでもまぁ何とかなるだろうと思っていたのですが、これが大間違いでした。
ネットで調べればツアーはそれなりにあるのですが、出てくるのは土曜or日曜出発というものがほとんどで、個人で平日いつでも行けるツアーはなかなか見つからず。
列車やバスも満席で乗れないことがあるように、ケニアを旅する際には事前予約が必須であることを今回の旅で学びましたが・・・
「もしやこれはサファリに行けないパターンか!?」
楽しみにしていた分非常に落胆(らくたん)しながら、それでも諦(あきら)めずに探し続けまして・・・
そんな中見つけた一筋の光明がViatorというツアー予約サイトです。
有名な旅行会社Trip Advisor が運営するこのサイト。
とりあえず今からでも参加できるツアーが唯一コレしかなかったので、すぐにクレジットカードで支払いを済ませて申し込みを完了しました。
予約が確定したというメールも届いたのでこれでもう大丈夫!

と思っていたんですが、それ以降全く音沙汰(おとさた)が無く迎えた本日。
ツアー出発の当日です。
「いよいよ明日ですね!」
的なワクワクさせるメッセージも一切入らなかったんです。
・・・これはもしかして騙(だま)されている可能性もあるなと。
ビザやホテル、ツアーなど旅行に関する偽サイトは様々ありますからね。
ただもう信じるしかありません。
予約の際に指定したピックアップ場所はナイロビ鉄道SGRの駐車場。
そう、ココです!
モンバサから帰ってきたところを拾ってもらうという我ながら完璧なプランを思いつきまして。
迎えの時間は午前7時。
なので先ほどから朝が来るのをずっと待っているというわけです。
が・・・正直来ないかもなぁ〜。
どうやって会うのかなども決めていませんからね。
まぁ、覚悟はもうできています。

寒いのと不安なのとで落ち着いていられず。
とりあえず気を紛らわせために寒空の下リアルタイムでここまでのブログ記事を書いていたんです。
そして、少し明るくなってきたなぁと思いたまたま駐車場の入り口の方を見たその時でした。

「キターーーーーーーー!!」
ランドクルーザーの登場に心配が一気に消え去ります。
だって列車に乗りにわざわざサファリ仕様の車で来る人なんてまずいませんから!!
約束の朝7時の5分前に現れたランクル。
手を振って「私を迎えにきたんだよね!?」アピールをしてみると目の前で停車してくれまして。
「ミスター、コジマ??」

「イエーーーーース!!」
この瞬間から1泊2日のサファリツアーがスタートしました。
サファリといってもケニアにはいくつか有名な場所があるのですが、その中から私が選んだのはアンボセリ国立公園です。
さぁ、車に乗り込むとすぐに出発!
「行くぜ、サファリ〜!!」
※ツアー予約サイトViatorは仲介業者になります。
これよりツアーを催行してくれるのはGracepatt Ecotours Kenyaです。

本当に行けるか半々ぐらいに考えていたので、サファリに行けることが決まりものすごく安堵(あんど)してしまい。
加えてドッと押し寄せてきた夜行列車移動の疲れ。
旅の移動中は景色も楽しみたいのでいつもは起きているのですが、今日だけはちょっと目を瞑(つぶ)ることにしました。
それでもチョクチョク起きては写真をパシャリ。
この瞬間は二度とやって来ないので。

眠っている間にもナイロビを出発した車はどんどん東のモンバサ方面へと進んでいきます。

午前9時、中継地点の「エマリ」に到着です。
ココで朝ごはんをいただき、コーヒーを飲んで気合い注入。
もう眠いなんて言いません!

エマリで主要道路を離れるとさらに南下していきます。
ちなみに、ここら辺からたくさん見かけるのは牛の群れを引き連れる人々の姿。
彼らは主にケニア南部に暮らす牧畜で生計を立てるマサイ族のみなさんです。

12月は雨季の終わりということでどこも草や木々が生い茂るケニア。
色濃い緑がどこまでも続くわけですが、その分雲が多い季節でもありまして。
「今の季節はちょっとでも見れたらラッキーだよ」
今回ガイド兼ドライバーを務めてくれるタイトスさん。
今週既にアンボセリ国立公園に来ていて、その時はほとんど見えなかったという『あるもの』。

乾季にはこの道路を走っている時点でその姿がもう見えるそう。
雲に隠れてしまっていますが正面に立ちはだかるものがあるのがわかりますか?

ただ今日の私はとんでもない強運を持ち合わせていたんです。
朝の勝負に勝ったところから既にラッキーは始まっていたのかもしれません。
それから間も無くするとどんどん上の方の雲がなくなっていき・・・

「見えた〜!!」
タイトスさんといっしょに大興奮。
雪に覆われて白くなった頂上がハッキリと見えます。
もうわからないとは言わせませんよ!
目の前にそびえるのはアフリカ大陸最高峰の山。
「キリマンジャロ」
です!!
キリマンジャロ

キリマンジャロはタンザニア北東部にある山で、標高5895 m。
アフリカ大陸の最高峰。
山域がキリマンジャロ国立公園に指定されている。
山脈に属さない独立峰としては世界で最も高いとされる。

富士山の『静岡県or山梨県どっちのもの問題』とは異なり、キリマンジャロはタンザニアが有する山というのは紛れもない事実になります。
ただ実はこのキリマンジャロが位置するのはタンザニアの北の端。
すぐそこはケニアとの国境という場所にあるんです。

2022年5月に訪れたタンザニアのモシは山を挟んで向かい側になります。
アフリカも48ヶ国も巡ってくると旅の物語同士がつながってくることに感動です。
あの時は一瞬だけチラッと見えただけですが今日はよーく見えます。
もうこの時点で来て良かった感がハンパなくて!
「スゲーーーー!!」
と思っていたんです。
が、先に書きます。
この程度で満足してはいけなかった。
もう一度言います。
今日の私はツキにツキまくっているんです。
このあともっとスゴイ景色が待ち受けているのでお楽しみに。
そして本日は

「スゲーーーー!!」
がこのあと止まらなくなります。
しかもどんどん更新されていくことになるので
「スゲーーーー!!」
という文字を打つのはコレを最後とします。

ホテルに向かう途中、まだ国立公園の敷地内に入っていない段階でのキリンの登場にテンションが上がったところで、時刻はジャスト正午。
チェックインを終えたら今すぐサファリへGO!
といきたいところですが、ここで小休憩です。
日中の暑すぎる時間帯は動物はあまり行動しないので夕方になるのを待ちます。

いつもだったら何も考えずに時間になるまでのんびりするのですが、今回は不安が一つ。
「キリマンジャロが隠れてしまうかもしれない」
ホテル内からは外が見えないので今どんな状況なのかがわからず。
早く行った方がいいんじゃないの〜!?
とソワソワしながら待ちまして・・・

午後3時半。
満を持して出発です。
屋根を開けたサファリモードのランドクルーザー!
そして肝心のキリマンジャロの方はというと

ジャン!
さっきよりさらに雲がなっています!!
アフリカを愛し、アフリカに愛された男に天は味方しました。
といっても雲ほど自由気ままなものはありません。
いつまた隠れるかわからないので早く早くと逸(はや)る気持ちを抑えながら車で進むこと数分。

ついに国立公園の入り口ゲートに到着。
ということで、これよりアンボセリ国立公園のサファリが開幕です!
アンボセリ国立公園

アンボセリ国立公園は、アフリカはケニアのリフトバレー州カジアド県にあり、キリマンジャロの裾野にひろがる国立公園。
総面積約392km²。
1991年に生物圏保護区に指定された。

『アフリカ=サファリ』のイメージは強いかと思いますが、ライオンキングの世界感の動物が生息する国立公園があるのは主に南部アフリカです。
その中でも特に有名なサファリがあるのがケニアとお隣のタンザニア。
サファリ未経験で「とにかく動物が見たい!」という方にはまずこの2つの国から行き先を選ぶことをオススメします。

国や地域によって様々な特徴があるのも面白いアフリカのサファリ。
しかし、数あるサファリの中でも『キリマンジャロと動物のコラボレーション』を見ることができるのはココ、アンボセリ国立公園だけなんです!

記念すべき一組目を飾ってくれたのは園外でもその姿を見せてくれたキリンのみなさん。
コレコレコレコレ〜!
いつか必ず見たいと願っていた光景が目の前に広がってもう興奮を隠せません!!

先ほどのWikipedia情報を読んで
「キリマンジャロ国立公園でも動物が見れるのでは?」
と思った方もいると思うので説明します。
キリマンジャロ国立公園は正に山そのもので、動物はサルや鳥などしか生息していません。
また近すぎるのでキリマンジャロの全景を拝むことは不可能です。

一方、その山の麓(ふもと)に広がるのがアンボセリ国立公園になります。
少し離れているのでキリマンジャロ全体がご覧の通り!
敷地内に入ると電線などの人工物も一切視界に入ることはなく、大自然の景観を楽しむことができるのもアンボセリならではの魅力です。

そしてこのアンボセリ国立公園の主役はゾウ!
この地には1000を超える数のゾウが生息しています。
サファリスタート時に遠くの方に小さく見えるゾウを見てオォ〜となっていた私ですが、ガイドのタイトスさんは

「もっと近くで見れるぞ!!」
と全く見向きもせずに車を先へと進め。
その言葉の通り、目と鼻の先に次から次へとゾウが現れるからもう感情が追いつきません。

夕方になると自分たちの寝床があるキリマンジャロ山の方へと戻るゾウたち。
車が走る道を一列になって横切っていきます。
このタイミングに合わせるためにサファリは午後3時半スタートだったわけです。

一集団の横断が終わるとまた近くで違うグループの横断が始まり。
ゾウのボーナスタイムは1時間ほど続きます。
その間飽(あ)きることは全くありません。

子ゾウが歩く姿を見て心を奪われない人はまずいないでしょう。
可愛すぎて骨抜きです。

アフリカゾウ好きにはたまらないアンボセリ国立公園。
今日1日で間違いなく100頭以上には出会いました。
さらにその背景にはキリマンジャロ。
この感情はもはや言葉にできません。

それにしても本日のキリマンジャロの見え具合はあまりに良すぎました。
最後の方には雲がほんのちょっとかかっているくらいになり、ガイドのサントスさんもこれにはビックリ。

「君は本当にラッキーだよ!」
と何度も言ってくれるので、これが奇跡的な状況だということがわかりました。
このアンボセリの弱点は雲でキリマンジャロが隠れてしまうとサファリの感動がガッと下がってしまうこと。
本当にこればかりは運次第になります。

アンボセリ国立公園の様子が少しでも伝わればと思い写真を多めにしてみましたがいかがでしたでしょうか?
最後まで感激は止まらず大満足の中で幕を閉じたサファリツアー。
ちなみにこれが【第一部】です。
【第二部】は明日の朝スタートします。
「どんだけ感動させてくれれば気が済むんだアンボセリ!?」
明日に備えて今夜はしっかり寝たいと思います。
DAY395へ続く
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