マダガスカルを旅する⑦ 秘境の世界遺産「ツィンギ・デ・べマラ厳正自然保護区」へ行こう!〜帰り道編〜

2022年8月10日、天気晴れ。

マダガスカルを旅する

ツィンギートレッキングを終えて宿に戻ってきた昨日の夕方。ちょっと休憩をと思いベッドに横になると、目が覚めた時にはすっかり夜に!断崖絶壁のロッククライミング。そりゃ疲れも溜まって当然でした。今朝になるとトゲトゲの岩の上を歩いたことによる痛みも足の裏に感じまして。文字通りツィンギを全身で味わった3日間のツアー。最終日となる本日はモロンダバの町まで帰ります。

お世話になったホテルOrchidée du Bemaraha。まさに秘境という表現がふさわしい辺鄙(へんぴ)なところにある小さな田舎町ベコパカですが、知る人ぞ知る人気の世界遺産ツィンギの玄関口ということでオシャレなレストラン&プール付きの宿が!壮絶(そうぜつ)な悪路を進んだ先にこんな立派なホテルがあること。さらにそこにたくさんの宿泊者の方がいることにビックリでした。

ベコパカ出発

そしてここにいるみなさん全員がマダガスカル西部の起点となる町モロンダバへと戻ります。朝7時になるとホテルの入り口に並ぶたくさんの4WDのゴツい車と出発準備を万全にして待機するドライバーのみなさん。その中にはもちろん私たちの運転手であるジョセフさんの姿も。ということで車に乗り込みいざ出発です!

といっても私たちは乗っているだけなので一見気楽な感じがするわけですが、それがとんでもない誤りで。マダガスカルの旅もいよいよ終わりへと向かいますが、実はここからが大一番。来た道を戻るという非常にシンプルなことが、この国ではものすごく大変なことになります。今いる③のベコパカからまずは今日一日かけて②モロンダバへ戻り、そして明日はそこから12時間越えの移動で①の首都アンタナナリボへ。サラッと書きましたが要は2日間ほぼずっと移動です。それを思うと体力以上に精神的にキツイものが…。あまり先のことを考えないことがマダガスカル国内移動の攻略法かもしれません!車内から今見える景色を楽しむ、これに尽きます。

ベコパカの町のすぐ目の前を流れる川渡りから始まる本日の移動。本当に来た道をそのまんま戻るので特に新鮮な発見はないわけですが、何度乗ってもワクワクするのがこの手作り感溢(あふ)れるいかだフェリーです。

朝からフェリーの発着業務を支える地元のお兄さんたち。ここに橋がかかればそれはもちろん便利なわけですが、橋が無いからこそ生まれる仕事があり、守られる自然があるのだなと。

お兄さんたちのおかげで数分で対岸に到着したところで、そこから始まるのはおなじみのオフロードドライブ!ここ2日間ずっと揺(ゆ)れる車内にいるのでカラダもすっかり慣れ、この状況に違和感がなくなっているのが面白いものです。

そういえばいつの間にか姿が見えなくなっていたバオバブの木が再び視界に入るようになったのは中継地点の町「ベロ」に近づいてきた頃でした。この時点でもう帰ってきた感があるわけですか、まだ本日の道のりの半分を進んだだけ。また半分…はい、先のことは考えない!お昼休憩です。

やって来たのは先日泊まったベロのホテルHôtel Menabe。ここのレストランでいただいた夕飯が驚きの美味しさだったので、再度ランチタイムに訪問できてラッキー!今度は何を食べようかなぁとじっくり迷って決めた

魚のココナッツクリーム煮がこれまた文句無しの美味しさで。なんでこんな小さな町のホテルに併設されているレストランでこれほどまでオシャレで美味しい料理が!?となるわけですが、世界遺産ツィンギへの中継地点ということで、たくさん訪れる外国人旅行者を満足させるためにシェフが腕によりをかけているんだろうなと。

一方、妻はトマトスパゲッティを注文しました。アフリカを旅しているとたまに無性に食べたくなるのが麺類。ただ日本のように種類がいろいろあるわけではないので、基本的に麺といえばスパゲッティ一択です。しかし、コレが曲者(くせもの)で。『アフリカのスパゲッティには気をつけろ』というのが私のこれまでの旅の経験から導き出した持論です。思い描いた理想の皿が出てくることはまずありません。特に多いのが見た目は美味しそうなのに味が無いパターン。今回もトマトの赤が色鮮やかな美しいスパゲッティが運ばれてきました。そう、見た目は良いんです。でも味は…ウマイ!ウマすぎる~!!マジで衝撃の一皿との出会いで。期待通りの、いや、期待を超える見た目も味も完璧なスパゲッティに大興奮でした。

美味しいランチでお腹とココロを満たしたところで、移動再開!まずは本日二度目の川渡りです。正午過ぎのフェリー乗り場はこれからツィンギに向かう車と帰る車で混み合います。川の水位も低くなる時間帯ということでフェリーの運行がスムーズにいかずここで少し待ち時間が発生。まぁ今日はもうモロンダバの町に辿り着ければそれでいいので焦(あせ)る必要はありません。フェリーの上で食後の軽いお昼寝です。

このツィリビナ川周辺ではピーナッツ栽培が盛んに行われて、中国を中心に海外に輸出しています。収穫したピーナッツが詰められた大きな袋を運んで船に積み込む男性のみなさん。重さは40kgほどあるとのことです。

ということで少しのんびりリラックスしたところで、車は無事に川を渡りまして。あとはもうモロンダバまでひたすらオフロードの道を行くだけです。が、その道の途中でフレデリックスさんが観光スポットをいくつか案内してくれました。

聖なるバオバブ

形が特徴的で大きなバオバブの木。その中でも特に巨大な木は神木として崇(あが)められることがよくあります。

マダガスカル西部で一番大きなこちらのバオバブの木。樹齢は1000年ほどで幹の太さはなんと8m!iPhoneの広角モードのカメラで撮影しても写真に収まりきらない大きなこちらの木は『聖なるバオバブ』として信仰されています。敷地内に入る際は靴(くつ)を脱ぐのがルール。人々は作物を育てるための雨や、子宝を願うそうです。

愛し合うバオバブ

続いてはこちら。Akiba Lodge Marofandillaという宿の中にあるねじれたバオバブの木です。根本から二股に分かれるタイプのザーバオバブ。それが成長の過程でなんでかこのように絡(から)み合いまして、その姿から『愛し合うバオバブ』と呼ばれるように。真っ直ぐの力強いバオバブに見慣れてから眺めると、スプーンマジックを見ているような不思議な気分になりました。

ちなみにこのモロンダバに向かう道の途中には動物などを見ることができる観光スポットとして有名な「キリンディ森林保護区」が広がります。昨日ツィンギでその姿を見てからすっかりハマってしまったマダガスカルのキツネザルの世界!もし可能ならもっと見たいなぁ~とフレデリックスさんに伝えると、任せろ!!の一言。ということで、愛し合うバオバブのある宿の敷地内の森の中を進み、彼が最後に私たちに見せてくれたのは、とっても小さなキツネザルでした。

ハイイロネズミキツネザル

ハイイロネズミキツネザルは、マダガスカル島の西部から南西部にかけて、沿岸の乾燥林などに生息します。ハイイロネズミキツネザルは、見た目はネズミに似ていますが動きがネズミとは違います。このサルは、ネズミと違って枝の上をピョンピョン、木から木へピョンピョン、ジャンプして移動するのです。

また、大きな耳と目や、キツネザルのなかまが持つくし歯もネズミとは異なるところでしょう。

猿.comより】

間も無く日が沈むという時間に見つけてくれた小さくてかわいいキツネザル。フェリーの待ち時間がなければもう少し早くこの場所に到着してもっと多くのキツネザルを見ることができたそうですが、もうこのハイイロネズミキツネザルを見れただけで感動です!体重わずか60gほどの夜行性のキツネザル。木の中からちょこんと顔を出す姿に思わずうっとりしてしまいました。

どこまでも続く見舗装路を行く帰り道でしたが、終わりが近づいてくると寂(さみ)しくなるもので。夕方6時。夕日が沈んだ後の刻一刻と色が移り変わる空とバオバブの美しいシルエット。揺れる車内からマダガスカル西部の絶景を目に焼きつけます。バオバブの木の見納めです。

モロンダバ到着(ツアー終了)

そして辺りがすっかり暗くなった夜19時。車はモロンダバの町に戻ってきました。48時間ぶりの舗装された道のドライブに逆に覚えた違和感。今考えるとよくあんな奥地まで行ってきたなぁという感じで、本当にすごい秘境だったなと改めて実感するツィンギです。3日間にわたる悪路ドライブをしてくれた運転手のジョセフさん。そして何から何までやってくれて何の心配もなくツアーを楽しませてくれたフレデリックスさん。2人には感謝の気持ちでいっぱいです。ミソーチャ!!最高に刺激的なツィンギツアーでした。

ただ、ここが真の終わりではありません。この国内移動のスタート地点である首都アンタナナリボはまだ遥か遠く。明日も早朝から移動となります。マダガスカルの旅は体力勝負!今日の移動の疲れは今夜の内に取るべく、海沿いのコテージで早めに就寝です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です