マダガスカルを旅する⑥ 秘境の世界遺産「ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区」へ行こう!〜登山編〜

2022年8月9日、天気晴れ。

マダガスカルを旅する

朝4時半に目覚ましが鳴って起床した本日。辺りは真っ暗で物音一つしない静かなベロの町から長い一日がスタートします。約束の5時ピッタリに部屋に迎えにきてくれたガイドのフレデリックスさん。運転手のジョセフさんもいつでも行けるよ!という感じで準備はバッチリ。眠気まなこなのは私たちだけです。なんとも心強い2人なので安心して身を任せることができるのが有難い。ということで車に乗り込み出発です。

ベロ出発

相変わらず道路はガタガタなのでひたすら揺(ゆ)れまして。さらに早朝ということもあり寒い車内。おかげでいつの間にか眠気はどこかへ消えていました。暗くて外の景色は見えませんが、少しずつ目的地に近づいていることにワクワクする夜明け前。

東の空が明るくなってきたのは車が走り出してから1時間ほど経った頃でした。地平線がオレンジ色に染まる朝焼けはこれまたアフリカの息を呑む絶景の一つです。昨日の夕方、フェリーの上で太陽が川に沈むその瞬間を目にしたわけですが、

その太陽が地球を半周して再び目の前に姿を現すというこの現象。もちろん当たり前なわけですが、これが特別なことのように感じられるから面白いものです。おはよう、アフリカ!

どこまでも続くオフロードの道。すでにベロの町からもだいぶ離れたわけですが、こんな辺鄙(へんぴ)な場所にも人々の暮らしがあります。窓の外に広がるのは村の朝の風景です。ここでなんとも不思議な鳥を発見!これもまたマダガスカルの固有種かもしれません。

フェリーで川渡り@マナンボロ川

辺りはすっかり明るくなり、その後も進み続けた車はフレデリックスさんの言った通りジャスト3時間後。またまた行くてを阻(はば)む川に再びぶつかりました。昨日と比べると川幅はだいぶ狭いこちらのマナンボロ川。もちろんここにも橋はかかっていないので

フェリーに乗船です!朝からフェリーを運行させるために力仕事をしてくれる地元のみなさんに感謝。ちなみにこのフェリーの乗船料もツアー代に含まれています。

ベコパカ到着

わずか2分の川渡りを終えて辿り着いた対岸の町。モロンダバからの悪路を走ること合計6時間。ついに目的の世界遺産の玄関口「ベコパカ」に到着~!!わかってはいましたがやはり大変な道のりでした。そしてここでマダガスカル国内移動あるあるが一つ。目的地に着いた瞬間に帰り道のことが頭をよぎり憂鬱(ゆううつ)になります。また同じ6時間が待っているわけです。なんなら!首都アンタナナリボまでの帰り道も含めると…いや、今それを考えてはいけません。先のことを悩んで不安になるのはもったいない!今を思いっきり楽しむのみです。…強がってます。

さぁ、時刻は朝の9時。早朝から行動したおかげで、ようやく本来のモロンダバから2泊3日で行くツィンギツアーのスケジュールに追いつきました。つまりここからが本番!ちょっと一息つきたい気もしますが、今夜宿泊するホテルの確保だけ済まして、このまま移動を続けます。※初日にこのベコパカの町までやって来て一泊して2日目に世界遺産を訪れるというのが一般的なツアーの流れです。

世界遺産の入り口の町ベコパカ。とっても小さな町ですが、しっかりとした国立公園の管理事務所があり、ここで入園料の支払いやガイドの手配などの受付を行います。この手続きも全てフレデリックスさんがやってくれるので私たちは車内で待ってるだけ。本当にありがたすぎます。

国立公園ガイドのディポさんも車に乗り込み、秘境の世界遺産ツィンギに向けてのラスト50kmの道のりを進む車。言わずもがなでここもオフロードの悪路移動となります。雨季には一面に水が溜まり水没する関係で通行不可となるこの道。雨が降らない乾季(5月~10月)にしか行けないというのも、これから向かう場所が秘境と呼ばれる所以(ゆえん)です。

一体この先にどんな景色が広がるのかが最後の最後まで想像できない道を行くこと1時間。ついにトレッキングのスタート地点に到着しました!やった~~!!もうここがゴールですと言われたら軽く納得してしまいたい自分もいます。が、お目当ての景色の気配はこの時点で周囲には一切ありません。目指す絶景まではまだ遠いようです。いやー、でもやっと着いたスタート地点に歓喜!!

ということでいよいよここからがこの3日間のツアー最大の山場!世界遺産「ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区」、長いので略してツィンギに足を踏み入れます。その前に大事な準備を!まずは山に登れる靴に履(は)き替えて、日除け対策の帽子をかぶりまして。そしてなんとここでディポさんが用意してくれた登山用のハーネスを装着!どんなコースが待っているんだ!?とビビりつつも、一気にテンションが上がります。ここまでできたら最後は

朝ご飯!腹が減っては山は登れず!!美味しそうなご飯を食べるディポさんに自分達も食べたいですアピールをすると用意してくれました~!ご飯に添(そ)えられているのはチキンではなくダックのお肉だそうで。そこに煮汁をたっぷりかけていただくこちらのぶっかけ飯がまぁ~ウマイ!あっという間に完食して腹ごしらえ完了。いざ、トレッキングスタートです!!

トレッキング開始

暑い。朝方は上に一枚羽織らないと寒いくらいでしたが、午前10時半になるとすっかり気温も上がり太陽の日差しがジリジリと照りつけます。天気は雲一つない快晴です。

木々が増え森ゾーンに入っていくとちょうど良い感じの涼しさに。美しい緑に囲まれた気持ちの良い登山に足取りは軽くなります。念のために虫除けスプレーをしておけばもう怖いものなし!

そして歩き始めて10分ほど経った時でした。ずっと上の方を気にしながら進んでいたディポさんが急に立ち止まり、コッチに来い!と声を出さずに手で指示を出します。あそこを見るんだ!と指で指し示したその先にいたのが

デッケンシファカ

デッケンシファカは、マダガスカルに固有のシファカです。長さは92~107cmで、うち42~48cmが尾です。デッケンシファカはマダガスカル西部に住んでいます。乾燥した落葉性森林に生息しています。

Wikipedia英文和訳より】

マダガスカルといえばキツネザル!映画マダガスカルにもキツネザルのキャラクターが登場しますが、そのキツネザルはアフリカの中でも、いや世界中でもここマダガスカルにしか生息しない霊長類になります。この旅中にどこかでその姿を見れたら嬉しいなぁ~なんて思っていたわけですが、いきなりの登場に大大大興奮!!「シファカ」はキツネザルの種類の一つです。

約60種のキツネザルが生息するマダガスカル。デッケンシファカはこのツィンギ周辺でのみ見ることのできる貴重なキツネザルです。クリーム色の毛がなんともやさしい感じで、高貴なオーラを発するデッケンシファカ。思わずその姿に見惚(と)れてしまいます。

すると今度は私たちより先を歩いていたフレデリックスさんが興奮気味に私たちを呼びます。小さいのがいるぞ!と教えてくれるフレデリックスさん。が、なかなか見つけられず。ほら、そこそこ!と彼が指差す方向をよ~く見てみると…いたーー!!

アカオイタチキツネザル

アカオイタチキツネザルは、他の全てのキツネザルと同様にマダガスカル原産です。果物も食べますが、主に葉を食べる夜行性の種です。

Wikipedia英文和訳より】

英語だとRed-tailed sportive lemur。シファカと並ぶキツネザルの種類「レムール(Lemur)」がすぐそこにいました!丸い目を大きく開いてじっと動かないなんとも不気味なこちらのキツネザル。実は寝ています。彼らは夜行性で、日中は全く目が見えていないそうで。木の隙間(すきま)にスポッとハマったその姿がかわいいアカオイタチキツネザル。天敵であるヘビなどから身を守るために日中はこうして木の上で寝ているとのことです。

他にもマングースや顔の青い鳥などにも出会うことができまして。マダガスカルの動物を見るだけでも十分に楽しいツィンギトレッキング!ですが、今日のゴールはこの森の先です。

気がつくと迷い込んでいたのは不思議な岩の世界。動物の興奮が冷めやらない中、岩場の探検へのドキドキスイッチがONになります。

「ここからクライミングの始まりだ!」

森を抜けた先に待っていた岩のゲート。この先にワクワクが待っていること間違いなしの冒険の入り口です。頭をぶつけないように気をつけて、いざ中へと入っていきます!!

ここからが本当にすごかった。まるでRPGのダンジョンのような感じで。真っ暗な洞窟(どうくつ)をスマホのライトを頼りにして歩き、幅30cmほどの岩の隙間を通り抜け。カラダを思いっきり低くしたり、手を使ってよじ登ったりしながら岩山の内部を進んでいきます。

そして現れたハシゴ!平面をチョコチョコ移動していた冒険が3Dになる瞬間です。つまりこの上に行くということですか!?と思いながら見上げると

ウソだろーー!?怖さを紛(まぎ)らわすための笑いが自然と込み上げてくる断崖絶壁が上の方まで続いていまして。ここでいよいよハーネスの出番です。使い方を軽く教えていただいたらもう間髪入れずにGO!

一気に頂上まで登ります。下を見て叫び、上を見て叫ぶ。もちろん怖いわけですが、怖さよりも楽しさの方が大きいロッククライミング。足場もなんだかんだでちゃんとあるので、とんでもないことをしない限り落ちることはありません。

トレッキング開始から約2時間。最後の急な岩壁を登り切ったところで、ついに頂上、トップオブツィンギに到着です!

ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区

ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区は、マダガスカルの西部にある自然保護、景観保護を目的とした保護区。ツィンギィとは、マダガスカル語で「先端」「山頂」「先の尖った」という意味。剃刀のような尖った岩が多数並ぶ、特異な景観が広がっている。この岩山は、石灰岩のカルスト台地が数万年かけて侵食され、形成したものと考えられている。

Wikipediaより】

目の前に広がるのはなんとも不思議な絶景です。まるで針の山のような景色が広がりますが、こう見えて標高は200mほどしかありません。

地上ではありえないような積み重なった岩が点々としているのはかつてここが海の底だったから。大地が隆起して地上にその姿を現し、何万年にも及ぶ風雨による侵食が創り出した奇妙な岩の絶景。

こんな岩山見たことないという世界中を探しても唯一無二の景色。出てくる言葉は終始「なんじゃこりゃ」です。ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区は1990年に世界遺産に登録されました。

頂上エリアには吊り橋もかかっていまして。さらに忘れてはいけない帰りの崖下り。見るだけでなく、全身を使って岩山を感じることができるツィンギ。ただし首都からのアクセスが悪く、来るのには相当な時間と体力を使います。なので滅多に人は訪れないかと思いきや、否。

ここでしか見ることのできない岩の絶景と貴重なスリリング体験が強者(つわもの)には地味に人気のようで、今日も数組のチャレンジャーの姿を見かけました。知る人ぞ知る秘境の世界遺産。ツィンギ、予想以上の刺激と興奮に大満足でした!

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