ガーナを旅する⑤ 世界遺産の城塞群巡りPart1 〜サンセバスチャン要塞〜

2021年7月17日、天気くもり時々晴れ。

ガーナの歩き方

海沿いの町ケープコースト。ほどよく賑やかな町を散歩するのが楽しく、まさに『ちょうどいい』という表現がピッタリなこの町。人で溢れたり車が渋滞したりといったガヤガヤはなく、のんびりと穏やかな気持ちで過ごすことができる居心地の良いケープコーストです。海沿いなので少しジメジメするなぁという感じはありますが、気温もそこまで暑くないのも良いところ。

昨日はケープコースト城を訪れてこの町が歩んできた歴史に触れました。やはりどうしても負の歴史と向き合うといろいろと考えさせられることが多く、ココロは疲弊(ひへい)してしまうものです。もちろん非常に良い機会だったことは間違いありません!ただ、少しセンチメンタルになります。

ということで今日はこの町でのんびりしようかなぁ~とも思いました。が、ココロが沈んだ時はカラダを動かすのが一番!それも大胆(だいたん)に!!

ではここでガーナの旅1日目から立てておいたフラグを回収したいと思います。まずは改めてこの国の世界遺産をご紹介します。

ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群

ガーナ(旧英領ゴールド・コースト)の沿岸部には、イギリスやオランダをはじめとする西洋諸国が貿易のための拠点を設置した。ベナン湾一帯は、かつてゴールドコースト(黄金海岸)と呼ばれたことからも明らかなように、もとは金の輸出で栄え、のちには奴隷貿易で栄えた。貿易が盛んになり、拠点となる要塞が次々建てられると、沿岸部は要塞群が点在する独特の景観を呈した。かつて60以上あった要塞群も現存するのは約3分の1であり、博物館や学校等の施設に転用されているものもある。世界遺産登録に当たっては、それら要塞群のうち、ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州に残る15世紀末から18世紀初頭に建造された11件が対象となった。

Wikipedia参考】

ガーナの沿岸部に現存するおよそ20の城塞群。ガーナ旅の初日、首都アクラではその内の2つに訪れました。しかしこれらは残念ながら世界遺産に登録はされていない要塞たち。…そうなんでも簡単に登録させてもらえるほど世界遺産は甘くないということですね。

ケープコースト城

対して選ばれし11件の城塞群たち。その内の一つがケープコースト城!この世界遺産を代表する象徴的な存在です。そして昨日このケープコースト城を訪れた私にはある一つの考えが思い浮かびました。

「11件、全部行きたい!!」

なんでも集めたい!揃えたい!!というコンプリート癖(へき)がある私なのでこう思うのは当然でした。しかし地図で場所を確認するとかなりバラバラに点在する残り10の城塞群。なのでさすがに全部は厳しいなという大人な考えに収まりました。が、行けるところまで行ってみよう!!ということで『世界遺産の城塞群いくつ行けるかチャレンジ』のスタートです!!

さぁ、まず最初の目的地に選んだのは名前的に良い感じの『サンセバスチャン要塞』!ケープコーストから西に60kmほどのところにあるこの要塞を目指します。ただ、地図で調べて位置はわかったものの、あとは情報は一切ありません。

これまでのガーナの移動では大型バスV.I.P.を使ってきましたが、今日の移動は機動力の高い乗合バス。しっかりチケット制が導入されたバス会社とは違い、地元ルールがわからないと思うように利用することができないのが乗合バスの難点です。今日もまずそもそもどこで乗車できるのかがわからず困りました。なので地元の人たちに聞いて回り、ようやく辿り着いた交差点。すると到着して間も無くバスの運転手から声がかかります。サンセバスチャン要塞のある町の名前を伝えると乗りな!と一言。よっしゃ!あとはもう運転手さんを信じて乗るのみです。

バスは海岸沿いの道を西へと走って行きます。あとでわかったことですが、このケープコーストを含めたガーナの海岸沿いを走る主要道路はどこも非常にしっかりと整備されています。

穴ボコ一つない道路が海岸沿いを走る理由は、ガーナの海岸沿いに主要都市や町々が点在するためであり、それはかつてこの海に面したエリアがヨーロッパの貿易拠点となったことに起因しているわけであります。旅をすればするほどガーナという国の歴史への興味が高まります。

途中でバスの乗り継ぎを経て、1時間ちょっとでやって来た「シャマ」という町。世界遺産がここにありますよ!的な看板は一切ありません。まぁそんなもんなのかなぁということであまり期待をせずに、タクシーに乗ってさらに海岸沿いへと向かいます。

到着したのはのどかな海沿いの小さな町。ケープコーストとはまた違う海岸沿いの景色が広がります。そしてそこに一際目立つ白い要塞が!!

サンセバスチャン要塞

ガーナのシャマにあるサンセバスチャン要塞は、ガーナで3番目に古い要塞です。 1520年から1526年にポルトガル人によって交易所として建設され、1642年にオランダ西インド会社によって占領されました。砦の本来の目的は、シャマ貿易に干渉するイギリス人船員の抑止力として機能することでした。最初の黒人のヨーロッパの大学教授、アントンウィルヘルムアモは、砦の墓地に埋葬されています。砦は1872年にイギリスに割譲されました。アフリカ奴隷貿易の時代、誘拐されたアフリカ人は北アメリカへの輸送を待っている間にここに投獄されました。

Wikipedia英文参考】

まず入り口の急な傾斜(けいしゃ)の階段にビックリするこのサンセバスチャン要塞。なんとも独特な建物の形は存在感がものすごいです。どことなく漂うガンダムのモビルスーツ感。

中に入るとその美しい建築に驚かされます。要塞らしからぬなんともオシャレな館内。まさか建てられてから約500年が経ったとは思えない保存状態の良さです。

そして高台からはシャマの町とギニア湾が一望できます。海で行われる貿易を管理し、外敵を警戒するために造られたこの要塞。見晴らしの良さもしっかりと計算されたサンセバスチャン要塞です。

この海からも新大陸アメリカに多くの人々が奴隷として運ばれました。そして時は流れて現在、その海を前に楽しそうに遊ぶ子どもたちの姿があります。過去のものとなった奴隷貿易の歴史。しかし決して忘れてはいけない人類の歩んだ道であり、それを今日も語り継ぐためここにサンセバスチャン要塞は存在しています。

ということでいきなり想像以上の要塞の登場に感動!これは残りの9つへの期待が高まります。が、心配なのは移動手段。いきなり小さな海沿いの町に来てしまったので、ここから次の町へ行くのはなかなか大変だぞ!

と思っていたらすぐにしっかりしたタクシー乗り場を発見し、さっそくタクシーに乗ろうと思ったら

「こっちに来い!バスがもう出発するぞ!!」

えっ?ちょうどタクシーのお兄さんにお願いをしたところで。乗り合いバスの方がそりゃ料金も安いからありがたいけど…。と思っているとタクシーのお兄さんが笑顔で一言。

「ネクストタイム!(今度会ったときはタクシーに乗ってくれよ!)」

とっても温かいやさしさに感激です。さらに乗り合いバスに乗ると今度は乗客のみなさんの温かさに触れます。「どこに行くの?」という質問からやり取りが始まり、私の次の目的地を知ったみなさんが行き方を丁寧に何度も確かめるように教えてくれました。

「ほら!あのミニバスに乗るんだよ!」

今日は乗り合いバスを計7回利用しましたが、どのバスでも運転手や乗客のみなさんが親切な方ばかり!ものすごく親身になって対応してくれるので安心して移動を楽しむことができました。なので1日に7回も利用したわけです。運賃は区間ごとに決まっているらしく2〜10セディ(約40円〜180円)ほどで乗車できるのもありがたいところ。本当に感謝です!メダーセ(チュイ語で「ありがとう」)!!

そうしてやって来たのはガーナ海岸沿いの西の拠点となっているタコラディという街です。大きなショッピングモールがあり、中心地に行くとものすごい大渋滞にハマるというのはガーナの都市部の特徴です。改めてケープコーストがのどかで小さな町であることを実感します。

ちなみにこのタコラディから150kmほどさらに西に進めばもうそこはお隣の国コートジボワールです!ギニア湾沿いに並ぶ西アフリカ諸国の国同士の距離の近さには驚かされます。

さぁ、タコラディの街でまたまたミニバスを乗り継いで次なる要塞へと向かいます。…あれ?バスが逆方面へと進んでますけど…!?

DAY249.5へ続く

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