スーダンを旅する⑥ 読むだけでざっくりわかるスーダンの歴史Part1 〜首都でクレジットカードが使えるATM情報〜

2022年5月4日、天気晴れ。(※2023年4月更新)

スーダンの歴史 Part1

今日からスーダンで過ごすラスト3日間は首都に滞在してのんびりと過ごすことに決めました。
・・・といってもなんだかんだでイロイロ動いてはいますが。
一年の中で今が一番暑いスーダン。
この暑さの中で無理をしてはいけないということをようやく心の底から納得したところであります。

ラマダンも明けてお昼からレストランもオープンしている首都ハルツーム。
先日シェンディの町で食べた羊肉の美味しさが忘れられず、今日はお昼からガッツリお肉をいただきます。
サラダもつけることができるのはさすが首都クオリティーという感じです。
が、肝心のヤギ肉はちょいパサパサだったなぁー。
スーダン滞在中にもう一度美味しい羊肉に出会えることに期待します!

国内紛争が今も続く国

さぁ、そんなこんなで当たり前のようにスーダンを旅しているわけですが、この国の政治や経済は現在破綻状態にあります。
「スーダン」
と聞くと治安の心配をされる方もいるかと思います。
近年でも国を揺るがす大きなニュースが報道されることが多いスーダン。
つい先日、2022年4月24日に起きた同国西部のダルフール地方で武装勢力による襲撃。
168名の方が亡くなったという悲惨な事件が起こりました。
このスーダン西部での紛争は2003年から今なお続いています(ダルフール紛争)。

今回スーダンを訪れたことでこの国についてもっと知りたいと思うようになり、自分なりにいろいろ調べて勉強をしてみました。
するといろんなところでつながる点と点。
やはり国を知るには歴史を知らなければいけないんだということを改めて感じました。

今回から簡単にではありますが、この国の歴史を数回に分けて紹介させていただきます。
写真は歴史の解説とは関係ありません。
歴史を知りながらも、写真でスーダンの
『今』
を感じていただけると幸いです。

公用語「英語」と植民地支配

まず私がずーっと腑(ふ)に落ちていなかった公用語問題。
街行く人も、空港の職員さんも、誰一人としてこれまで英語を話せる方と出会ったことがないのに、この国の公用語の一つに
「英語」
が入っているのはなぜかのか。
アフリカの公用語の背景には植民地の歴史あり。
イギリスの植民地だったスーダン。
流通する通貨
「スーダンポンド」
にもその名残があります(ポンドはイギリスの通貨)。
が、だったら英語がもっと話せていいはずです。
商店での買い物でも数字さえ伝わらないスーダン。
なぜだ?

その答えがイギリスの植民地支配のスタイルにあります。
他国を統治する際に用いられる2つの方法。

  1. 自分たちでその国の実権を握り、自分たちで国を治めていく。(直接統治)
  2. 自分たちの意思に従う現地のリーダーに権限を与え、そのリーダーに国を治めさせる。(間接統治)

植民地の歴史と聞くと、大方の場合が前者を想像すると思います。
異国から人々が侵入してきて自分たちの国を乗っ取るという感じですね。
フランスは主にこの手法を用いました。
旧フランス植民地だった国の首都の街並みが非常に整っていたり、食文化にフランス色が色濃く残るのはそのためです。
一方、イギリスは後者。
これは一見現地の人たちを大事にしたとても良い方法のように思えるんですが、真逆です。
このイギリスによる間接統治は今日アフリカ各地で起きている多くの紛争の元凶です。

イギリスによる間接統治

1500以上の民族集団があるといわれているアフリカ。
その広大な大陸をかつて欧米列強は自分たちの都合の良いように区分けしました。
すると必然的に一つの国に複数の民族が共存する状態が生まれます。
アフリカがどこも多民族国家なのはこの理由です。
そんな中、間接統治をするとどうなるか。
一方の民族のリーダーに権限を与え、他方の民族を支配させることで
「身分の差」
をつくり、権力に溺(おぼ)れた有力者たちを意のままにコントロール。
自分たちの労力は最低限しか削らずに間接的に国を支配する。
これが『人間』というものをよーく理解しているイギリスのやり方でした。

そしてイギリスがすごいのは、国同士でも同じ手法を用いて植民地支配をしたことなんです。
ようやく導き出した公用語の謎に対する答えを披露(ひろう)します。
スーダンを植民地化するその少し前にイギリスが支配の手を伸ばしたのはスーダンの北に位置する
「エジプト」
そしてそのエジプトと『共同統治』という形で支配したのがスーダンだったんです。
つまり実質的な支配はアラビア語を話すエジプト人によって行われたため、英語を導入する必要性がなかったというわけですね。
なので形上残っただけの公用語「英語」。
謎が一つ解けてスッキリしました。

間接統治が生み出した南北の対立

歴史を語るといつも熱が入り止まらなくなります。
が、イギリスの間接統治がスーダンにもたらした影響というのはこんなもんじゃありません。
負のスパイラルはずっと続きます。
間接統治をされたスーダンですが、当時この国はアフリカの中で最も面積が大きい国でした。
そして南と北でハッキリと異なる集団が暮らしていたスーダン。
北には主にイスラム教を信仰するアラブ系の民族。
南には主にキリスト教を信仰する黒人系の民族が生活をしていたんです。
イギリスが権限を与えたのは北側。
すると南側の人々の反乱が起こることは必然です。
1955年に起こった第一次内戦は17年も続くことになります。
第一次です。

度重なるクーデター

さらに間接統治の恐ろしいところは真の実力を持った国を動かせるリーダーが生まれないところにあります。
極論、支配する側にヘコヘコできればそれで自国内で権力を握ることができてしまうわけで。
一向にスーダンという大きな国を一つにまとめることができない主導者たち。
そのためスーダン北部内でも軍による
「クーデター」
(もうあなたに任せてはいられない!私たちが国を動かす!とチカラでトップの座を奪う手法)
がたびたび発生するようになります。
もうこれ以上ないカオスな状況のスーダン。

独裁軍事政権の誕生

Wikipediaより

その後1983年に南北の二度目の内戦がスタート。
北部では数年おきにクーデターが起き続けます。
そんな中、1989年。
一人の指導者がクーデターによって立ち上がります。
「オマル・アル=バシール」
その後のスーダンに大きな影響を残すことになるバシル独裁軍事政権の誕生です。


スーダンを旅する

はい、この続きはまた明日にしたいと思うのですが、ここで旅の話につなげます。
バシル大統領は2001年に起きたアメリカ同時多発テロを首謀したといわれるオサマ・ビン・ラディンを匿(かくま)っていたとされています。
これによりスーダンは1993年からアメリカに
『テロ支援国家』
と指定されていました。
・・・この言葉、それだけ聞くとスーダンの全てが悪い。
怖いという印象をもつかもしれません。
が、実際は権力を握るごく一部の人間の行いによって貼られたレッテルです。
激動の歴史を持つスーダンにおいて国民は常に平和な暮らしを求めています。

そのテロ支援国家の指定によってアメリカからの経済制裁を受けたスーダン。
なんと20年以上もの間続いた措置(そち)により、スーダンではVISAやMasterなどのアメリカの企業が運営するクレジットカードが使えないんです!
旅人からするととても困るわけで、今回の旅中に私がたびたびお金のことをボヤいていたのはそのためでした。
が、2017年には解除されたこの経済制裁。
空港でも先日訪れたコリンシアホテルでもVISAの文字を目にしたので
「もしかしたら?」
ということでお世話になっているAirbnbのケラさんや、実は先日ひっそりとお邪魔していた在スーダン日本大使館の方に話を聞くと
「VISAカードが使えるかもしれないホテルがある!」
という情報をゲット。
その名はBougainvilla Hotel
さっそく中に入ってみると

クレジットカードが使えるATM

めっちゃいい感じのロビー。
そしてそこにVISAの文字が書かれたATMを発見~!!
受付の方もとても気さくな方で、英語が話せるので事情を説明してATMを使わせてもらいます。
さぁ、勝負はここから。
ATMを見つけたからといって喜んではいけないのがアフリカ。
「現金が入っていない」
「カードが使えない」
なんてことはよくあります。
ちなみに、これと同じATMを実は空港でも見つけてたんです。
しかし、その時も
『取り扱いができません』
の表示が出てカードが返ってきました。
今回は果たして・・・!?

はい、返ってきたのはカードだけ~。
マジかーと軽いショックは受けたものの、まだ大丈夫。
こういう時のためにもクレジットカードは3枚ほど持ってきています。
楽天カードは残念ながら弾かれましたが次があります。
本命のエポスカード。
さぁ、どうだ!?

キターーーー!
ATMから札束が~!!
実はこのあとの予定を考えるとお金がかなりピンチだったので一気に気が楽になりまして。
いや~、よかった!!
外国人旅行者向けのホテルだからこそここにATMがあったということになります。
中にはレストランがありますがお値段は予想通りお高めでした。

ということで結論、スーダンではATMでお金を降ろすこともできます。
もしかしたら空港内のATMでもできるかも。
カードはエポスカードならOKということは実証しました。
他は機械の気分次第かもしれません。
が、これで絶対大丈夫というわけではないので、スーダンに来る際は必ずUSドルを持参して下さい。
そしてここで大事な情報を一つ。
USドルは
『100ドル札』
がベストです!
なぜか?
続きはまた明日、スーダンの歴史と共にご説明します。

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