スーダンを旅する⑧ 読むだけでざっくりわかるスーダンの歴史Part3 〜旅行者必見!外国人登録と外貨換金の方法〜

2022年5月6日、天気晴れ。(※2023年4月更新)

いよいよスーダンの旅も残すところ2日。
正直に言うと到着から3日目くらいまでは来る時期を間違えたと後悔していました。
厳しい暑さとラマダンによる飲食が制限された中での旅はかなりハードで、体調は絶不調。
熱中症の一歩手前と言いたいところですが、おそらくど真ん中だったなと。
心も折れかかっていたので、早めにスーダンの旅を終えようかと考えたこともありました。
が、そんな私の気持ちを支えてくれたのは
「スーダンの温かい人たちのやさしさ」
でした。

この国ではこれでもかというくらいに声をかけられます。
私にアラビア語で何かを伝えようとしてくれるみなさん。
こんな時言葉がわからないもどかしさを感じるわけですが、笑顔で語りかけてくれるその様子がすごく嬉しくて。
「スーダンは良いところでしょ」
「歓迎するよ」
といったことをみなさん伝えてくれている気がしました。
そんな地元のみなさんのやさしさで暑さで疲れ切ったはずの心がどんどん元気になっていくのがわかるんです。
カラダは暑くて、ココロは温まる国スーダン。
今はもうちょっといたいなとさえ思うようになりました。
もっと訪れてみたいスーダンのいろいろな町。
心配だったお金の問題はATMの発見でクリアできたので、また冬が始まる10月頃にいつか戻ってきたいと思います。

出国前準備① PCR検査

ということで出国に向けて動いていきます。
まずはもはや定番となったPCR検査を受けるためにやって来たのは大学キャンパスを併設(へいせつ)する大きな病院!
なんだか少し緊張するなぁと思いながら入口の警備の方に検査を受けたい旨を伝えると
「PCR検査はあっちの建物だよ!」

と言われてやってきたのがこちら。
期待外れでちょっと残念でしたが、建物の入り口にはPCRの文字が書かれていて安心しました。

こういう病院のような場所でも英語は通じないスーダン。
受付の方から検査担当の方まで全員アラビア語しか通じません。
アラビア語しか書かれていない問診票を受け取った時はさすがに多少不安になりましたが、ちゃんと助けてくれるからなんとかなりました。
かなり鼻の奥まで綿棒を突き刺して検体を採取してくれたので検査自体も信頼できそうです。
(イタかった~)
そして24時間後に結果を受け取る一番安い検査の料金がなんと7000スーダンポンド(約2000円)。
あまりに安いのでまたちょっと不安になりますが、おそらく大丈夫でしょう!

そしてスーダンを出国するにあたりやらなくてはいけないことがもう一つ。
それが
『外国人登録』
というもので、スーダンに入国した外国人は
「必ずやらなくてはいけない」
というものなんです。
・・・もっと早くにやっておけばよかったんですが、暑さのせいでつい後回しにしていました。
さらに登録に関する日本語の詳しい情報があまりなく
「払わないといけない」
ということだけが記載されているよくわからないこの制度。
空港で支払いを受け付けているというので、とりあえず向かうことにしました。


ではここで2011年の南スーダン独立後のスーダンについて簡単に説明したいと思います。
スーダンの歴史シリーズの最終回です。

スーダンの歴史 Part3

南スーダンが独立したことによって
「石油を産出する南部の油田」
を失ったスーダンの経済はものすごい勢いで一気に低迷します。
外国との貿易による収入が縮少したのはもちろん、これ以上の経済成長が期待できないために外国からの投資も減ったスーダン。
そして起こったのは
『深刻なインフレーションと外貨不足』
でした。

深刻なインフレ

お金というのは国の
「チカラ」
そのものです。
南北の和平協定により一度は破綻していた経済が一気に立て直り、非常に強い信頼を得た通貨スーダンポンド。
この国には期待ができると判断されればその国の通貨の価値は上がります。
1スーダンポンドに0.5USドルの価値があった南スーダン独立後の2007年。
しかし、経済が落ち込んでいくとどんどんその価値が下がっていきます。
ちなみに2022年5月現在の1スーダンポンドはなんと0.0022USドル。

外国との貿易をするには外貨が必要なわけですが、信頼のないスーダンポンドでの取り引きだとその分かかるお金が多くなるわけです。
そして当然出費が大きくなった分、物の値段を上げざるを得なくなります。
これが物価上昇
「インフレ」
です。
日本も現在深刻なインフレが起きていますが、スーダンも長期にわたってこのインフレに悩まされている国の一つです。

当然苦しい状況に追い込まれた人々の生活。
スーダンにとってなくてはならない主食であるパンの値上がりは特に大きな打撃を与えたようです。
さまざまな問題をチカラでなんとかしてきたバシル大統領にもこのインフレを止める術はなく。
2019年。
またもやクーデターという形でバシル大統領の30年に亘(わた)る独裁政権は幕を閉じました。

この経済を立て直して安定させるためには、やはり今のままではマズイ!
ということでここから
『国民の意見を国の政治に取り入れる社会』
の実現に向けて動き出すスーダン。
国民側の代表と軍部がいっしょのチームとなり政権運営を行い
「3年後の民政化」
を目指したんです。
2019年の3年後。
つまり2022年!
目標は今年だったんです。

再び起こったクーデター

2021年10月25日。
またもや軍事クーデターが起きました。
不運なことに、スーダンが民政化に動き出した直後に世界中で
「コロナパンデミック」
が発生します。
当然この国にもその影響はあり、一向に回復の兆(きざ)しを見せない経済状況と、苦しくなる人々の生活。
これを打開するために!
という名目が一つ。
もう一つは長期にわたりこの国を治めてきた軍部側の
「自分たちのチカラが無くなることへの不満」
もあったんだと推測されます。
やはり抜け出せない負のスパイラル。
こうしてスーダンはまたもやバシル大統領時代の軍事独裁政権に逆戻りしてしまい、現在へと至ります。
果たしてこのあとスーダンはどうなっていくのか。
3回に分けてお送りしてきたスーダンの歴史のお話はこれにて終了です。
この続きは是非今後のスーダンのニュースに注目してリアルタイムで追っていってみてください。


外務省海外安全情報より

さぁ、ここで話はまた
『外国人登録』
に戻ります。これまでアフリカを旅してきた中でこんな制度を見たのは初めて。
外務省のスーダン入国に関する情報にも
「必ず払うこと!」
「払わないと出国できない!」
なんていう文言が書いてあるんです。
いったいなぜこんな制度を取り入れているのか?
スーダンの現状を知った今ならなんとなく推測ができます。

スーダンポンド安がどんどん進む現在のこの国は、外貨を持つ人間にとってビックチャンスの場になっています。
実は現在のスーダンは人口のおよそ30%が外国人!
外国からこの国に来て、強い外貨でビジネスを展開しているんです。
これを黙ってどうぞどうぞしているだけではスーダン側にとってはメリットがありません。
そこで、このたくさんいる外国人から外国人登録料を徴収することで少しでも国の税収を上げるという政策を行っているということが考えられます。

スーダンの外貨換金事情

ちなみに、外貨不足が深刻なスーダンでは強い外貨を確保したい人々による個人的な換金業務が行われています。
こちらは首都ハルツームにある最大のショッピングモール「アフラモール」。

地下1階を歩いているといろんなのお店のスタッフさんから
「換金する?」
と声がかけられます。
違法な感じが漂うわけですが、これが現在のスーダンではスタンダードな換金方法なんです。
先ほどもお伝えした通り、たくさんの外国人が仕事で滞在するスーダン。
稼いだ外貨は通称
『ブラックマーケット』
と呼ばれる個人との取り引きで換金します。
外貨を手に入れたい地元の人たちは銀行よりも良いレートを提示してくれるので、ウィンウィンのようです。

旅行者としても急にお金が必要な時はこのブラックマーケットでの外貨換金はとっても便利。
しかし、ここで大事な情報を一つ。
換金してもらえる紙幣はUSドルの場合50ドル札以上からになります!
ベストは100ドル札。
旅だと使い勝手のあまり良くない額面の大きい紙幣ですが、スーダンに来る時だけは特別に用意をしておくことをオススメします。

出国前準備② 外国人登録

いろいろ書きたいことがありすぎて脱線に脱線をしてきましたが、最後です。
スーダンの外国人登録に関する情報を書いておしまいにしたいと思います。
簡潔に私が把握した情報を箇条書きでまとめると

  • 入国の際に何か言ってくれればいいものの、外国人登録に関しては何も指示されません。
    しかし、支払わないと出国できません。
  • 支払いは到着した空港のターミナルではなく、出国ターミナル側の近くにある窓口で行います。
    なので、入国して到着の喜びを味わったらすぐにそのまま窓口へ。
  • 料金はおそらく4000~6500スーダンポンド。
    ※賄賂(わいろ)発生します。外務省のページの情報が古いので現在の正確な料金は不明です。
  • 支払いが終わるとパスポートにシールが貼られます。
    出国審査でコレのチェックがあるため、この登録が出国には絶対必要!
  • 10日以内に支払いを済ませないと罰金で値上がりするそうです。

調査に調査を重ねてようやくたどり着いたスーダンの外国人登録に関する情報。
これを導き出すまでに一苦労も二苦労もあったのですが、それは思い出として胸の内に閉まっておきます。
※ちなみに私は外国人登録を出国の直前ギリギリに行い、とっても大変なことになりました。

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