リベリアを旅する① 首都「モンロビア」Part1 〜アメリカの解放奴隷によってつくられた国の驚きの基本情報〜

2023年6月1日、天気雨のち晴れ。

リベリアを旅する

エアコンの無い蒸し暑い部屋で迎える午前5時。
寝心地は決して良いとは言えないクッション性ゼロのベッドでなんとか耐えて過ごしたリベリア最初の夜が間も無く開けようとしています。
まぁこうしてベッドに横に慣れているだけでも幸せなのかもしれません。
話は昨日の夜7時。
リベリア入国を終えたところに戻ります。


スタンプが押されるまでは『もしかしたら』を常に心配してしまう国境越え。
まぁこれまで一度だって入国拒否をされたことはありませんが、それでも万が一を考えてしまうものです。
ということで無事に国境を超えて安心したのも束の間。
車に戻るとドライバーのアイビンさんの姿がないんです。

「どこかに行ったのか?」

と思って少し待っていると、国境警察の方たちといっしょに何か揉(も)めている様子で現れたんです。
一体何が起きたんだ!?

基本情報❶ 公用語はリベリア英語

夜7時に閉まるといっていた国境の電気が消え、辺りはすっかり暗くなったわけですが白熱するやり取り。
リベリアは公用語が英語の国で、基本的に地元の人同士でも英語が使われる珍しい国です。
ただ、この英語が非常に聞き取りづらくて。
とにかく早口で捲(まく)し立てるようにしゃべるみなさん。

「リベリアの英語はアメリカイングリッシュだから難しいぞ」

リベリア出身の運転手アイビンさんが出発前に話してくれたことを思い出しました。
これは何も言い争っている時だけではなく、車の中の何気ない会話も聞き取るのが困難なリベリアイングリッシュ。
ハッキリとした英単語はキャッチできるのでなんとなく言いたいことはわかるのですが・・・。
本当に久しぶりに味わう

『英語がわからない』

という感覚。
アフリカを旅していて英語に困り感を抱くのは初めてです。

「Do you understand me?」
(わかったか?)

としきりに聞いてくるアイビンさん。
いやー、正直会話の半分もわかりません。
あとでリベリアに詳しい方に教えてもらったことですが、リベリア英語はかなりクセ(訛り)が強いようです。
リベバリアのみなさんはアメリカの強い影響を受けた独特の英語を話します。

そんなリベリア英語で行われる激しい言い争い。
ただただ黙って見ているしかなかったわけですが、少し落ち着いたところでアイビンさんが状況を説明してくれました。

「『玉ねぎ』が検疫で引っかかってるんだ」

シエラレオネ出発前に大量に車に積み込んだ玉ねぎ。
それをリベリアに持ち込むための輸出税の支払いを乗客の2人がしていなかったというのです。
だったらすぐにでも払えばいいのではと思うのですが、その2人は払う気が無いそうで。
なんなら運転手が払うべきだと主張しているのでアイビンさんはこれにご立腹!
そこに定時を過ぎて早く帰りたい国境警察の方も加わり、まさに三つ巴の戦いが繰り広げられていたという状況でした。
・・・笑い話ですね。

長い議論の末、車から玉ねぎを下ろし始めたみなさん。
荷下ろしにも当然時間はかかりますが待つのみで。
そして夜8時過ぎ。
玉ねぎと乗客2人を国境に残して、車は再出発したのでした。

一時は国境でのステイも覚悟していたので、とりあえず出発してくれて喜んだのも束の間。
入国したばかりで右も左もわからない国の夜のドライブほど気が抜けないものはありません。
さらにリベリアに入ってから明らかに増えた検問。
パスポートを見せれば私はなんとかなりますが、何かを訴え続けるのはアイビンさん。

「I beg you.」
(お願いだ)

というこれまた他の国ではまず聞かない英語で警察官に対して頼み事をします。
これに関してはまた後日書きますが、おそらく検問を通るたびに賄賂(わいろ)を請求されていたんです。

道路コンディションもシエラレオネに比べるとちょっと落ちたなぁという感覚がある国境から首都へと向かう道。
運転するアイビンさんはパンク修理に玉ねぎトラブルと続いて疲労困憊(こんぱい)だったはずです。
そんな中なんとかリベリアの首都に到着しまして、もう宿をゆっくり探す余裕もなかったので適当に見つけた所にチェックイン。
それが日付を跨(また)いだ本日0時過ぎのことでした。


結果的にトータル13時間かかった今回のシエラレオネ→リベリアの陸路国境越え。
その疲れが取れるような宿に来れたら良かったのですが・・・
FIRST CLASS(ファーストクラス)では回復できなかった私のココロとカラダ。
アイビンさんが7時過ぎに迎えにきてくれたのが救いでした。
車に乗ってリベリアの首都

『モンロビア』

の中心地へ向かいます。

①モンロビア

モンロビアはリベリア共和国の首都である。
人口は1,010,970人(2009年)。
リベリア最大の都市であり、同国の政治、経済、金融の中心である。
リベリア内戦で攻撃を受けており、いくつかのビルが破壊された過去がある。

Wikipediaより

さぁ、さっそくモンロビアをいろいろ見てみたいとところではありますが、ちょっともう『顔が濡れててチカラが出ない』状態でして。
何より今ほしいのは安心感!
とんでもない入国からのドタバタで全く気が休まっていません。
なので新しい国に来たらいの一番に手に入れたい衣食住ならぬ

『ネ金住』
(ネット/現金/宿)

を求めて動きます。

基本情報❷ お金は米ドル&リベリアドル

まずやって来たのは銀行。
何をするにもお金は必要です。
リベリアでは電子マネーも普及していますが、旅する上では現金が便利なのは間違いありません。
VISAカードが使えるというので、さっそくATMで現金を下ろすと出てきたのが

なんとアメリカドル!
ピン札ではありませんが、我らがグラントさん(アメリカ合衆国第18代大統領)が描かれた50ドル札が出てくるんです!!
朝イチからいきなり大興奮。
しかもこれがどのATMでもデフォルトになってるリベリア。
他の国では外貨獲得のために地元の人がノドから手が出るほど手に入れたい米ドルが、この国ではATMから当たり前のように出てくるんです。
なんじゃこりゃーー!!

そしてこの米ドルが社会の中で決して特別なものではなく、一般に流通しているからもう驚きを超えて放心状態。
リンカーン(5ドル:第16代)やハミルトン(10ドル:初代財務長官)、ジャクソン(20ドル:第7代)だって街中にフツーにいるんです。
こんな国、見たことありません。

アメリカナイズドされたリベリア英語に続き米ドルが流通するリベリア。
その理由はこの国の成り立ちが関係しています。
リベリアは

『アメリカの解放奴隷によってつくられた国』

なんです。
これについては次回説明するので、今日のところは

『アメリカにルーツがある国』

とご理解いただければと思います。
ちなみに首都の

「モンロビア」

はアメリカ合衆国第5代大統領のジェームズ・モンローにちなんだ名前です。

アメリカドルが小さな商店でさえ使えるリベリアですが、自国の通貨もあります。
それが

『リベリアドル』

同じドルなのがややこしいですが、地元の方が「ドル」という時は基本的にこのリベリアドルのことです。

そこら中に換金をしてくれるお兄さんたちがいまして、みなさん正規のレートで対応してくれます。
大きい額(20ドルや50ドル)は支払いでは使い勝手が悪いので換金した方がいいですが、それ以下の紙幣であれば換金しなくてもOK。
おつりはリベリアドルで渡してくれます。
※ホテルやお店などでクレジットカードでの支払いはまずできません。

基本情報❸ SIMカードは道端で購入

現金をゲットしたら続いてネット環境の確保です。
これまた道端にいるお兄さんたちの中に換金だけでなくSIMカードの販売も請け負っている方がいるので、お願いすればすぐに手に入れることができます。
必要なものはパスポートと現金8USドルのみ。
これでようやく一安心です。

基本情報❹ 宿代が高い

ラストは一番大事な『住』。
これが実はリベリアを旅する上で最大のネックなんです。
ホテル予約サイトで調べるとたくさん出てくるモンロビアの宿情報。
良い感じの宿がたくさん出てくるので、どれにしようかなぁ〜と悩みたいところなんですが・・・

高い〜!!
お値段の安い順に並び替えても先頭に出てくるのは8000円オーバー。
それでも非常に珍しい方で、モンロビアの宿はほぼ全て1万円以上の設定なんです。
さすがにちょいと抵抗がありまして。

ならば予約サイトに頼らずローカルの宿で考えようかと思っていたのですが、今朝お世話になったFIRST CLASS GUEST HOUSEのクオリティーを経験して・・・キツイなぁ〜。
しかもこれで激安とかだったらまだいいんですが、まさかの15USドル。
これは宿探しに苦戦するぞ〜

と思っていたのですが、今回は一人じゃなかったのが本当に良かった!
地元の人に聞き込みをしながらいっしょに宿を探してくれたアイビンさん。
お値段安めで、ベッドがしっかりしていて、できればWi-Fiもあったらという私の要望を満たしてくれるそんな宿は果たして・・・

あったーーーー!!
中心地からそこまで遠くない所に位置するこちらのMARYLAND GUEST HOUSE
外観はシンプルな感じですが、部屋はというと

とっても清潔感があってキレイ〜!
そこにフカフカのベッドがあり、さらにエアコンもバッチリ入ります。
さらにWi-Fiも使えるぞーー!!
では、肝心のお値段です。

1泊65USドル〜!!
(約9000円)
・・・結局高いわけですが、モンロビアで自分のお眼鏡に叶う宿はこのくらいするんだなということはよーくわかりました。
アフリカ旅中は快適に過ごせる宿に泊まるというのは大切なこと。
ここは出し惜しみをしてはいけないところだなと判断してコチラの宿にお世話になることに決めました。
(宿のすぐ隣はサッカー場になっています)

とりあえずこれにて『ネ金住』が揃ったのでようやくホッと一安心です。
それもこれも全てはアイビンさんがいてくれたおかげ。
シエラレオネからまさかこんなに長いことお世話になるとは思ってもいませんでした。
そしてここまでほぼ何も食べずに動いてきたのでお腹はペコペコ。
最後はアイビンさんの行きつけのローカルレストランでスープ&ライスという西アフリカ定番のご飯をいただきました。

シーフードがこれでもかというくらいに入ったスープ。
これがメッチャ辛い!!
一口食べるたびにヒーヒー言ってしまいます。
料理にだけはアメリカのエッセンスはあまり入っていないのがこれまた面白いもの。
この刺激のおかげでようやくリベリアに入国したんだなぁ〜という実感が湧いてきまして、なんだか嬉しい気持ちになりました。

アイビンさんに助けてもらうのはここでおしまい。
ここからいよいよ本格的にリベリアの旅が始まります!
ありがとう、アイビンさん!!

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