アフリカ47ヶ国目「ナイジェリア」入国!〜絶対にオススメしないベナンからの水路国境越え〜

2023年11月27日、天気晴れ。

アフリカ47ヶ国目「ナイジェリア」へ

ずっと雨が降り続いた昨日から一夜明けて迎えた本日。
国境越えの日の朝というのはソワソワするもので、それをごまかすかのように慌ただしく荷物のパッキングをします。
そして今日はいつも以上に緊張気味です。
これから向かうアフリカ47ヶ国目

「ナイジェリア」

これまでアフリカを旅している中で、たくさんの地元の人たちに出会ってきました。
私がアフリカ54ヶ国制覇を目指して旅していることを伝えるとみなさん驚くのですが、その中で複数の方にいただいたアドバイスがあります。

「ナイジェリアに行く時は気をつけなさい」

日本人がアフリカに対して危険というイメージを持っているのはよくあることですが、まさかのアフリカの方からも治安が良くないと認識されている国がナイジェリアです。
一体どんな国なんだよ〜と既に前回の旅で危ない目に遭っている私はかなりビビっていまして。
それでも逆に知りたい欲が抑えられないナイジェリア!
気合いをいれたところで、宿をチェックアウトして行動を開始します。

時刻は朝8時。
少しずつ空が晴れて明るくなってきました。
なんだか幸先は良さそうです。
・・・はい、本日はタイトルにも書いている通り、このあととんでもない国境越えが待っています。
全くオススメはできませんが

「こんな方法で入国できるんだ〜」

というアフリカ珍道中としてお楽しみいただけると有り難いです。

ベナン(ポルトノボ)からナイジェリアへの国境越え

まずはナイジェリアへと向かうタクシーを探します。
現在いるベナンの首都ポルトノボからナイジェリアの国境まではわずか20kmほどしかないので、タクシーさえ見つけてしまえばもう国境越えは楽勝です。
ビザもちゃんと持っているので、問題無く入国もできるはず!
ということで地図で調べたポルトノボの中心にあるタクシー乗り場にやって来ました。


本日はこれから始まる国境越えだけで十分なボリュームがありますので、超超超大変なナイジェリアビザの申請方法については後日ご説明します。


「どこへ行くんだ?」

乗り場を管轄するおじさんに聞かれたので、ナイジェリアに行きたい旨を伝えます。
すると困ったような顔で何かを説明するおじさん。
フランス語なので詳しくはわかりませんが、一つだけ明らかになったことは

「この乗り場から直通でナイジェリアに行く車はない」

ということ。
わかりづらいので地図で説明します。

方法① 車を乗り継いでいく陸路国境越え

ポルトノボ(★)から海岸沿いへ真っ直ぐ伸びる一本道。
私も先日この道を通ってココに来ました。
その道の分岐点を西に進めばベナンの最大都市コトヌー。
そして東に進むとナイジェリアになります。
ポルトノボからはコトヌー行きの車しか出ていないとのことで、この分岐点まで送ることはできるとのこと。
そこから別の車を捕まえればナイジェリアに行けるというのです。

ナイジェリア行きの車がないならもうこの方法しかありません。
車を乗り継ぐのでお金はかかるかもしれませんが、ちゃんとナイジェリアに入国できるならよし!
早速お願いをしようとしたのです・・・が、おじさんはまだ話を続けるんです。
追加の情報でなんとなく理解したことは以下の2つ。

  • ウォーターサイドに別の乗り場があること
  • そこからならナイジェリアの最大都市ラゴスまで直通で行けること

なんだ〜、ちゃんとあるんじゃないですか!
要はこのタクシー乗り場からはナイジェリア行きの車は出てないよということだったんです。
よかったよかった。
ウォーターサイドという名前なのでおそらく水辺の近くにタクシー乗り場があるのでしょう。
しかも国境止まりではなく今日の目的地であるラゴスまで直行してくれるなんて!
先ほどは一瞬どうなるか不安になりましたが、もう大丈夫だ。
ということで、おじさんに感謝を伝えてバイクタクシーに乗ってそのウォーターサイドの乗り場へ連れてってもらったんです。

異変を感じたのはこの道中でした。
バイクで走っていると両替商のお兄さんたちが道路脇に待ち構えるなんとも胡散(うさん)臭そうな通りに入っていきます。
そしてそこで停車するバイク。

「えっ、どういうこと!?」

と意味のわからない展開にパニックになりながらもあらゆる可能性を考えます。
もしやダマされているのかと思いながらも話を聞いてみると、ココで両替するんだとのこと。
たしかにまわりのみなさんが手に持っているのは大量のナイジェリアの紙幣なんです。
ナイジェリアは旧イギリス植民地だった国なので、自国の通貨「ナイラ」が流通しています。
旧フランス植民地の共通通貨セーファーフランは使えないので、ココで両替をしないといけないというのです。

ココで!?」

もちろん両替はする予定でした。
ですが、両替というのは国境で行うというのが一般的です。
ベナンの街中で替えてそのあとどうするんだと思いながらも、しないといけないと言うのでもう仕方ありません。
両替商のお兄さんたちはみなさんナイジェリアの方なので英語が通じます。
ベナンにいるのにまるでナイジェリアに足を踏み入れたかのような違和感です。
ちなみにものすごく心配だったのはレートですが、正規よりも良いレートで替えてくれました。
・・・どういうこと!?
謎は解けないまま先へ進みます。

両替ストリートの突き当たり(★)でバイクを降りると、客引きのお兄さんというより少年のような子に声をかけられます。
怪しい雰囲気はありますが、彼を頼らざるを得ない感じなのでついて行くことに。
去り際、バイクタクシーのお兄さんが少年に

「この彼をちゃんと乗り場まで連れて行くんだぞ!」

というようなニュアンスのことを言ってくれていたので少しは安心です。
その少年の後ろをついていって辿り着いた場所が

こちら。
タクシーらしき車は見つかりませんが、確かにそこに大きな荷物を持った旅行者の姿はあるんです。
そして目の前にはやはりウォーターサイドの名の通り入江がありました。

「・・・もしや?」

ようやく事態が見えてきました。
もう一度地図に戻ります。

方法② ボートに乗っていく水路国境越え

今いるベナンの首都ポルトノボ。
ポルトガル語で「新しい港」を意味するこの町は確かに水辺に面しています。
こちらは入江になっていて、もう少し引くと

この通り。
先日訪れた水上都市ガンビエのあるノクエ湖から続いていることがわかります。
そしてさらに引くと

水路はナイジェリアへと繋がっていることが判明。
もうおわかりでしょうか?
この水路はそこからずーっと東に伸びて、その先にあるのが・・・

ラゴス!
つまりこの水路を通ってここからラゴスまで行くということだったのです!!
と今ならハッキリとみなさんに伝えられるのですが、正直言います。
この時の私は状況をある程度把握してもまだ半信半疑。
だって、未だかつて水路を渡って国境を超えたことなんて一度もありません!!!
それでも目の前にボート乗り場が見えると本当にこれで行くのだと少しずつ実感が湧いてきました。
ついさっきまでタクシーに乗る気マンマンだったのがなんともおかしい気分です。

YouTubeより

ここで引き返すこともできました。
長々と書いてますが、宿を出てからここまでわずか30分ほどの出来事になります。
今すぐ先ほどのタクシー乗り場へ戻り、橋を渡ってポルトノボから陸路でナイジェリアを目指すというのが賢(かしこ)い選択であることは間違いありません。
が、水路で国境越えができると知ってしまったらもう行くしかない!
となってしまうんですねぇ〜これが。


ベナンからナイジェリアに行く場合は、コトヌーから乗り合いタクシーに乗るのが確実な方法です。


ボートの乗り方
YouTubeより

それでは全く推奨(すいしょう)しないポルトノボ発ナイジェリア行きのボートの乗り方を一応まとめておきます。
乗り場に着いたらまず窓口にてパスポートを渡して受付。
続いてライフジャケット代2000ナイラを支払います。
はい、ココはまだベナンですが既にやり取りはナイラ!
そのために両替が必須だったというわけです。
そしてここまでが客引き少年のお仕事。
最後にチップを求められるので、1000ナイラを渡してありがとうと伝えればなんとかなります。
ちなみに1000ナイラで現在のローカルレートだと100円ちょっとです。

だんだん乗客が集まり、定員がいっぱいになると声がかかるのでいよいよボートに乗船。
とその前に荷物チェックがあります。
中身は一切見られませんが、中に何が入っているかを聞かれ、なんとなく答えると

「じゃあ5000ナイラだ!」

と荷物料を請求されます。
なんじゃそりゃ!?となりますが、なんとみなさん払っているのでココではこれがルールのようです。
なので私も払いました。
2000ナイラですがね。

YouTubeより

一番大事な乗船代はボートに乗ってから請求されます。
料金は7000ナイラ(約860円)。
さぁ、あとはもう出発するだけですが、ここでボートのキャプテンから思わぬ質問をされます。

「出国スタンプは押してもらったか?」

もう次から次へと予測不能の展開です。
何度も確認しますがまだ今いる現在地はベナン。
この先に出国審査をする場所(イミグレーション)があって、スタンプはそこでもらうのでは??
というのが私の考えなのですが、キャプテン曰くスタンプが必要とのことなんです。
じゃあどこで押してもらえるのかを聞くと

「わからない」

なに〜!?
理解不能な状況に思考が追いつきません。
じゃあもしかしてこのままじゃナイジェリアに入国できないってこと??
と思っていると、今度は他の乗客のみなさんが口を揃(そろ)えて言うんです。

「問題無いよ!!」

どういうこと〜!?
訳がわからなさすぎて完全に思考が停止します。
こうなったらもう流れに身を任せるしかありません。
ひたすらスタンプが必要だと主張するキャプテンでしたが最後は

「あとでお金を支払うことになるぞ」

と言って私を乗せたまま出発してくれたのでした。

結論から言うとナイジェリアに入国できました!
本当に陸路入国ならぬ水路入国をしまして、自分でも驚きです。
ただ、ボートが動き出すとそこからはずっと緊張感のある移動でした。

YouTubeより

水面は穏やかで激しい揺れに見舞われることは無いのですが、問題は水路を警備する警察の方々の存在です。
たしかに川を渡ればベナンからナイジェリアへは簡単に行けてしまうわけで、そのため不法入国する船がないかを本気で注視している警察のみなさん。
ガンビエで見たような水上コテージが数キロおきにあり、そこで逐一ボートは停止。
そこにアジア人が乗っていれば当然声がかかります。
しかし、賄賂(わいろ)を要求されることはなかったのでそれは良かったです。

写真撮影は厳禁
Google ストリートビューより

が、そのため絶対にやってはいけないのがボート移動中の写真撮影です。
ボートに乗る前には

「Keep the phone in your pocket!」
(スマホはポケットにしまっておけ!)

と全員が注意を受けます。
さらに途中で二度ほど

「Hands off!」
(両手を挙げろ!)

とキャプテンから号令がかかり、乗客全員で手を挙げる場面も。
まるでスプラッシュマウンテンで落下する時のようですが、前方の船の機関銃の銃口がコチラを真っ直ぐ向いているのでみなさんいたって真剣です。
ということで、とっても開放的なボート移動中の様子を写真に収めたかったのですが、ここでは絶対にダメ!
一生に一度の水路国境越えの景色は自分の目にしっかりと焼き付けておきました。

水路の出入国審査
Google ストリートビューより

そして肝心の出入国審査。
やはりキャプテンが言った通りこの水路にはベナン側のイミグレーションはありませんでした。
・・・サラッと書いてますが大問題ですからね。
ではどうしたかというと、ナイジェリア入国前の検問所にいた厳(いか)つい警察の方が入国審査官の方に電話をして

「このあと出国スタンプの無い日本人が行くけど、通してやってくれ!」

と伝言をしてくれたんです。
いやー、ありがたや。
そして強面なのに遠回しな表現でお金を求めてくる警察のおじさん。
まぁ覚悟はしていたのでお金は出しますが、いくら払えばいいのかなぁ〜と思いながらとりあえず1000ナイラを渡すとそれであっさりOKだったのでビックリ。
何はともあれこれで出国スタンプが無い問題は解決したのでした。

Google Earthより

そのあとなんとボートの上で入国スタンプを押してもらうという初めての経験もしまして。

「Welcome to Nigeria」
(ナイジェリアへようこそ)

まさかの連続でしたが無事にアフリカ47ヶ国目

「ナイジェリア」

に入国です!

Google Mapsより

ちなみに私以外の乗客のみなさんは入国審査を受けずにナイジェリアに入っています。
事前の身分チェックが終わっていればベナン国籍の方は自由にナイジェリアと行き来が可能なのか・・・
やはり謎が多すぎる水路国境越えでした。

Google Earthより

スタンプを押されて喜んだのも束の間、目的地のラゴスはまだ遠い先で。
長いこと続いた緑が広がるエリアを抜けると貨物がたくさん積まれた港の景色が広がり、そこからさらに進んでいくとついに見えた大都会。

TIN MAGAZINEより

ポルトノボを出発してから3時間。
ついにラゴスに到着です!

Google Mapsより

降り立ったのはラゴスのフェリー乗り場
水上の緊張感から解放されてホッと一息・・・つけたら良かったのですが、全く地理感が把握できていないまま突然都会のド真ん中に放り出されたわけで。

ネットも繋(つな)がらないのでそこからがまたかなり大変な道のりでしたが、最終的にはなんとかホテルに着けました。
本当にドタバタすぎた国境越え。
まだ心臓の鼓動は高鳴ったままですが、ナイジェリアに入国できたことを少しずつ実感するのでした。

さぁ、入国からこれでもかというくらいにスリリングだった本日。
明日からどんな展開が待っているのか楽しみです!

「来たぞ、ナイジェリア〜!!」


水路移動中の写真を私は撮れませんでしたが、地元の方々がYouTubeに臨場感たっぷりの動画を投稿していました。
引用させていただいた写真にはそれぞれリンクを貼っているので、もしお時間ありましたらそちらもご覧下さい。
この水路国境越えがいかにぶっ飛んでいるかがおわかりいただけるかと思います。
そして動画が上がっているとなると撮影OKなのかと思われるかもしれませんが、NGですのでお間違えなく!


DAY384へ続く

2 件のコメント

  • ブログの更新待ってました!!
    今年に入ってから南アフリカ→モロッコまでアフリカ縦断を陸路でしていて、コジマ先生のブログには何度もお世話になっていました。
    旅の最中に、もし先生とアフリカのどこかの国で会えたら直接お礼を言いたかったんです(*^^*)
    わかりやすく色んな情報を載せて下さって、ありがとうございました。

    アフリカ54カ国制覇まであともう少し!
    引き続き、お気をつけて旅を続けて下さい〜応援してます!

    • 南アフリカからモロッコへ北上したんですね!なかなか刺激的なルートですね。
      ブログがお役に立てたようで、発信者として有り難いかぎりです。
      アフリカ54ヶ国制覇まで是非お付き合い下さい!

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です