南スーダンを旅する④ 危険レベル4の国を旅して 〜ステキな魅力いっぱいの南スーダンのリアル〜

2022年6月7日、天気雨のちくもり。(※2023年4月更新)

南スーダンを旅する

目が覚めると雨の音が聞こえてくる事実に驚き、思わずカーテンを開けて外を確認。
灰色の雲が空を覆(おお)い雨降りで始まる本日。
アフリカ54ヶ国制覇の旅-第6章-の実質最終日が雨というのもこれはこれで乙(おつ)なのかもしれません。

いよいよ明日は南スーダンを出国。
日本に向けた帰国がスタートします。
そのために必要なPCR検査を受けるべく今日は早朝から行動開始です。
昨日事前にクリニックの場所を確認しておいたので、今日は歩いて向かうことに。
お世話になっているAirbnbの宿から10分ほどなので歩ける距離です。
これまでのブログを読んでいただいている方には

「歩いて大丈夫なの?」

とご心配をかけるかもしれません。
が、首都ジュバが

『歩くと危険に出くわす街』

というわけでは決してありません。必要な注意をすれば問題なく歩けます。
ただ、もうおわかりですよね。
この国では警察とセキュリティーには気を付ける!
無闇矢鱈な街中での写真撮影は絶対にNGです。

PCR検査

やって来たのはCheck Upというクリニック。
さぁ、一番に気になるのはやはり検査結果が出るまでの時間です。
この旅では出国のギリギリまで陰性証明書が手元に届かず焦(あせ)るということが2回ありました。
精神的にかなり疲れたコロナ禍ならではのハプニング。
そしてここは南スーダンです。
出国を前日に控(ひか)えた現在、正直緊張しております。
空港といえば警察のみなさんの城ですからね。

なので何が何でも今日中に取得したいPCR検査の陰性証明書。
それがこのクリニックではなんと6時間で結果がもらえるというんです!

「スゴイぞ南スーダン!!」

やはり国の一括管理よりもクリニックレベルの検査の方が短い時間で取得が可能だということが証明されました。
それにしても6時間は早い!

さらにこのスピード感でお値段は30USドル。
南スーダン国民プライスでOKという太っ腹なサービスです!
ということで朝9時に検査完了。
そして忘れてはいけないのが

『日本帰国用のPCR検査の陰性証明書』

の作成をお願いすること。
2022年6月現在、日本帰国時に必要なものになります。

※2023年4月現在、有効なワクチン接種証明書がある場合は帰国時のPCR検査は不要です。

こちらの作成も笑顔で快(こころよ)く引き受けてくれたスタッフさん。

「13時に来てください」

4時間後ですけど?
と思いつつもそう言われたら従うのみです。
それまでカフェで時間を過ごすことに。
現在雨季の南スーダン。
朝はポツポツぐらいでしたが、次第にしっかりと降るようになりまして。
こんな日はコーヒーを飲みながらのんびりするのが一番。

では、本日は南スーダンの首都ジュバで見つけたいろいろなコトを紹介していきたいと思います。
これまでの国の旅と比べるとあまり良い写真がないのも

『南スーダンらしさ』

として理解していただけるとありがたいです。

カフェ「Connected Coffee」

改めてこちらについては書かせてください。
この緊張感あるジュバの街の中で、唯一思いっきり羽を伸ばしてリラックスできる場所。
それがConnected Coffeeです。
初日に来てから今日までの4日間中なんと3日も利用させていただきました。
癒(いや)しを求めてやってくると、最高の笑顔で迎えてくれる店員さんたち。

コーヒーが美味しいのはもちろんのこと、温めてから提供されるマフィンやクロワッサンもちょうど良い甘さで◎
今日は南スーダンでゆっくり過ごせる最後の朝だったので、朝食メニューからセレクト。
どれも美味しそうで迷いましたが

自分にしては珍しくワッフルを注文!
アフリカ旅中は甘いものがほしくなるんです。
サクフワの食感がたまらない幸せの味。
当然コーヒーともよく合います!

カフェ「Phenicia Cafe」

ちなみに残りの1日も実はカフェへ。
Connected coffeeのすぐ隣(となり)にもう一軒、これまた良い感じのカフェがあるんです。
それがスーパーに併設されたPhenicia Cafeになります。
防犯のためか中の様子が全くわからないシンプルな外観。
しかし扉を開けると

まるで別の世界に来たかのようなキラキラした店内に思わず

「オォ~」

と声が出ます。
席数が多く、とっても広々とした味のあるレトロ風な空間。
平日の昼間ですが人で賑わう店内です。

これまた柄にもなくレモンティーを頼んでしまいました。

「こんな一杯が南スーダンで飲めるなんて」

渡航する前の自分は思ってもいませんでした。
メニューのバリエーションはこちらのお店の方が多いので、しっかり食事をしたかったらPhenicia Cafe、長居がしたかったら椅子の座り心地が良いConnected Coffeeというのが私の結論です!

高身長な男性

個人的に印象に残った南スーダンの男性の話を一つ。
首都ジュバを歩いていると当然街行くみなさんとすれ違います。
が、ここでビックリするのが南スーダン男子のみなさんの身長の高さなんです。
これは他の国を旅してきたからこそ強く感じる感覚なのだと思います。
本当に驚くくらい背の高い人がいっぱいいるんです。

スーパーで買い物をしていると突然目の前に2m越えの方が現れて驚いた!
なんてことも数回ありまして。
エビデンスが無いのが残念なところ。
お世話になった宿の警備のお兄さんたちも高身長でした。

はたらくくるま in南スーダン

首都ジュバを移動していると面白いことに何度も何度も同じ車を見かけます。
そしてそれは他の国ではなかなかお目にかかることのない車たち。
こんなに車が印象に残る国というのは珍しいです。
では、この街を走る

『はたらくくるま』

ベスト3をご紹介。
※JICA(日本国際協力機構)のステッカーが貼られた車も見かけますが惜しくもベスト3には入れずでした。

第3位:赤十字の車

戦争における傷病者・捕虜の救護活動を目的に設立された国際組織である赤十字国際委員会(ICRC)の赤い十字のマークがついた車両がこの街を走ります。
残念ながら今回私が撮った写真には一台も写っていませんでした。
数は少ないですが非常に存在感のある赤十字の車です。

第2位:国連の車

続いて多いのが国際連合、通称国連の車になります。
シンプルなのに非常に目立つ白地に黒でUNと書かれたボディー。
こちらは1台だけ写真に残っていました。
撮影はあまり良しとはされないかと思いますが、1枚だけなので許してください。

第1位:飲料水の車

そして栄えある第1位に輝いたのはこちら!
青い車体が印象的な飲料水を運ぶタンク車です。
2位の国連の車とでは数の差は圧倒的。
街を移動すると至る所で見かけます。
首都であるジュバでも水道インフラが整っていないため、タンクで各家庭に飲料水を運んで販売しているそうです。
とにかく目立つ青いタンク車が堂々の1位!

南スーダンという国の今を象徴する車たちでした。
ちなみに、この国のドライバーさんの中には歩行者を見かけると手やヘッドライトで

「渡っていいよ!」

と合図を出してくれる方がいます。
日本ではよくあることですが、アフリカでは滅多にお目にかからないこの行動。
歩行者にやさしい南スーダンのドライバーのみなさんです。

伝統料理「ケセラ」

さぁ、お昼近くになると当然お腹が空いてきます。
ランチもカフェでと一瞬思いましたが、雨も少し弱まってきまして。
せっかくなのでローカルレストランへ足を運んでみることに!
ずっと気になっていた宿近くにある地元の方で賑わうお店にやってきました。

店先に並ぶたくさんの鍋。

「どれにしようかな~」

なんて選ぶ楽しみも味わいたいわけですが、初めて来たお店でそんな悠長(ゆうちょう)なことはしていられません。
全部フタがしてあるので中身は見えず。
こういう時はもうお店の方を信じて注文するのみ!

「美味しい魚が食べたいです!!」

と伝えて出てきたのは大きな煮魚!!
もう見た瞬間にヨダレがとまりません。
我慢できないのでもうさっそくいただきます。
手で魚の身をほぐして一口パクリ。

「・・・うんめぇ~!!」

とっても柔らかく煮込まれた白身の魚が口の中で溶けるんです。
魚をしっかり引き立てる絶妙な味付けのスープがこれまた最高!

そしてこの煮魚といっしょにいただくのはなんとエチオピアの伝統料理として有名な「インジェラ」に似た

「ケセラ」

と呼ばれる南スーダンの主食の一つです。

ソルガムと呼ばれる穀物の粉を水で溶いて発酵した生地で焼いた薄いクレープ。
まず何よりビックリしたのはインジェラ(原料はテフ)とは異なるその色!
初めて見る

『白いインジェラ』

に大興奮してしまいました。
酸味のある味は同じですが、インジェラよりも薄く焼かれたパリフワ食感がとても新鮮で。
これをスープに浸して食べるともうたまりません!!

南スーダンは北部のスーダンとは異なりキリスト教が主流の国になります。
そのため近隣のエチオピアやケニア、ウガンダといった同じキリスト教の国の影響を受けた食文化が発展したようです。
ナイル川の恵みである魚といっしょにいただくケセラ。
とにかく美味しすぎてあっという間に完食してしまいました。

ちなみに店員さんもお客さんもやさしい人たちばかり!
ローカルレストランにいるということを一瞬忘れてしまうほどの居心地の良さで。

「もっと早くこういうお店を見つけることができたらよかったなぁ~」

なんて思うわけですが、ここまでの様々な出来事があったからこそ地元の人たちの温かさをより強く感じるのだろうなと。
南スーダンの旅では常に警戒が必要なことは変わりませんが、危険なだけじゃないこの国の側面に触れることができたステキなお店と南スーダンの魅力的な食との出会いでした。

そんなこんなでPCR検査を受けてから4時間が経過したところで改めてクリニックにやって来ました。
するともうすでに陰性証明書が発行されていました!
そして大事な日本政府が指定する書式の証明書はわざわざ下書きまで作成してくれる神対応!!
PCR検査でこんなに感動させられるとは。
どんな時も想像を超えてくる南スーダンです。

日本人がまず旅行で訪れることはない南スーダンですが、この国の開発や支援のために諸外国からは多くの団体や機関の人々が日々往来しています。
スタッフさんたちによる検査の手際が良いのも数をたくさんこなしているからこそ。
今日もクリニックにはPCR検査のために多くの方が来院していました。

2022年現在、観光をするには大変不向きな国であることは間違いない南スーダン。
首都ジュバ以外は危険度レベル4ということで、国内移動は決して推奨されていません。
が、地元の人と話をしていると

「ジュバ以外には行かないの?」

という質問を当たり前のようにされることがあります。
南スーダンはそれなりに大きな国。
他にも見てほしい場所があるようです。
今回私が見たのはこの国のほんの一部にすぎません。
果たして他の地域にはどんな景色や人との出会いがあるのか。
この国の治安が安定して自由に旅ができるようになる日が来ることを願いながら、今夜は明日の出国に向けて荷物の整理と心の準備をしたいと思います。

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