2022年5月13日、天気晴れ時々曇り。
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タンザニアの旅は今日で4日目。なんだかものすごく長い間滞在しているような感覚になっているのは、きっとこの国にすっかり心を許しているからかもしれません。危険な都市として認識していたダルエスサラーム。それなりの覚悟をしてきたわけですが、実際に来てみると治安に対する不安を感じることは一切無く。こんなに安心して過ごせるアフリカの国は他にはなかなかないと思います。好きです、タンザニア!
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ということで本日はこの国がもっと好きになる場所へとみなさんをご案内します。ダルエスサラームの北東部に位置するオイスターベイと呼ばれるエリア。オシャレなカフェやレストランもあり、のんびりするのに最適のこの場所に、実は世界中から旅行者が集まる工房があります。これが最初はなかなか見つけられず。こんな場所にあるの?と思いながらスーパーの横の細い道を進んでいくと
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突き当たりにTINGATINGAの文字を発見!こちらがダルエスサラームで生まれたアート「ティンガティンガ」の工房です。
ティンガティンガ
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ティンガティンガ は、1960年代にタンザニア・ダルエスサラームにおいて、エドワード・サイディ・ティンガティンガ(1932年 – 1972年) が生み出したポップアートの手法。主に動物や植物などの自然が描かれる。ティンガティンガ絵画ともいう。
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当初は、メゾナイトと呼ばれる建築資材にエナメルペンキで描かれた、日常生活の傍らとしての芸術であったが、専門的な絵画教育を受けていない素朴な技法が評価された。
【Wikipediaより】
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ティンガティンガというその名前がキャッチーなアフリカを代表するアート。私は青年海外協力隊時代にタンザニアを訪れた際にティンガティンガを初めて目にしました。もうその瞬間の感動は今でも忘れません。特徴的な動物たちの姿。止まっている世界なのに目が命を感じるからなのか動いているように見えるのがまぁ不思議なんです。そしてカラフルな色づかいが与える躍動(やくどう)感。こんなの他では見たことない!という新鮮な驚きと興奮で一気にティンガティンガの大ファンになりました。写真は6年前に人生で初めて見たティンガティンガ。
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創始者のエドワードが40歳のときに、警官に誤射され不慮の死を遂げた後も、同じ手法や画風を継ぐ弟子たちの画家によって描かれ、世界中に広まっている。日本でもインターネットを利用した通信販売などの手段で入手することが可能である。
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そのティンガティンガを製作している『ティンガティンガ村』というものがある!という情報もずっと知っていたわけですが、そこに今回ついにやって来ることができたわけです。
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ダルエスサラーム郊外に、ティンガティンガの画家が集まって生活している村がある。制作は村内の協働の工房で行われ、生前のエドワードから直接学んだ年長者が手法を伝達し、若い画家を指導している。現在、村はエドワードを頼った甥のオマリー・アモンデ (Omary A. Amonde) が中心となっている。
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残念ながらオマリーさんは2015年にお亡くなりになったそうです。それでも今日もここでティンガティンガ制作が盛んに行われているのはお弟子さんたちがその技術をしっかり受け継いでいるから!
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現在は日本でも作品展や販売が行われているティンガティンガ。高島屋や伊勢丹などのデパートが会場のようです。ここにいるアーティストのみなさんの中には日本に行ったことがある人もいて、いろいろと教えてくれました。この工房で現在最年長かと思われるアブドゥルさんのあまりに自然な日本語にはビックリ!温かい歓迎をしていただきました。
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もちろんみなさん商売のために絵を描いているわけですが、市場でよくあるものすごい押し売りはそこまでありません。まぁ全く無いわけではありませんが、話しかけていただけると職人さんが自らの手で作り上げた見事な作品をじっくり見せてもらえるので逆に良いチャンスになります。とっても陽気なサランゲさん!
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着々と進んでいく制作作業。その真剣な表情に職人魂を感じます。
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描かれる対象としては、サルやヘビなどの身近な動植物から、自然における神聖とされているものまで多岐にわたるが、一般に人工物よりも自然物が多く描かれる。また、創始者のエドワードが美術の教育を受けていなかったこともあり、自由な作風が特徴的である。
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伝統的な動物たちの絵は見ているだけで本当に幸せな気持ちになります。これぞティンガティンガマジック!いつまでも見ていたいカラフルな世界です。
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さらにその伝統を受け継ぎながらも新しいデザインやテーマも取り入れる職人さんたち。時代に応じた流行を取り入れるあたりにもティンガティンガという芸術のスタイルを感じます。
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人々の生活風景を一枚絵に表現したこの作品を作るのはマリキタさんです。「Malikita art」で検索するとたくさんの彼の作品が出てきます。この工房の中でも一番入り口に席を構える彼の作品は唯一無二!動物だけでなく人まで絵の中でイキイキと動かしてしまうからまぁビックリ。
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工房に併設されたレストランの大きな壁にも彼の作品があります。時代に合わせて生み出されたマリキタ流ティンガティンガ。見事なアートに心を射抜かれました。
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そして平面作品だけではなく、いろんなカタチのティンガティンガも生み出されています。その中でも特にこの鉛筆が個人的にヒット!絵の世界からみんなが出てきたような感じがして思わず大興奮です。この他にもコップやグラスに描かれたティンガティンガがありまして。…そしてここで思いついたことが一つ。ものは試しで職人さんに聞いてみます。
「このスマホケースに描いてもらうことはできますか?」
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なんとこんな小さなキャンバスにもティンガティンガを描くことができるということで、実は昨日の時点で制作をお願いしていました。なので今日はその受け取りの日。もうワクワクしかありません。描いてもらう動物も好きなものを選ばせていただきました!いったいどんな作品に仕上がっているのか!?
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ちなみに注文する際にはこんなお願いを!ケースの外面に描いてもらうと擦れたり手で触ることで汚れたりするだろうと思ったので、「内側に描いてほしい」というオーダーをさせてもらいました。
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が、そのあとふと気付いたんです。背景から順に描いていくティンガティンガ。キャンバス全体の色塗りを仕上げてから、その上に動物などのシルエットを描き、模様をのせて最後に目を入れて完成。これが一般的なティンガティンガの制作の流れになります。つまり、ケースの内側に描くとなると…!!
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マズイと思った予想は見事的中。職人さんも一度作ったあとに気付いたそうです。ケースを装着すると絵が見えなくなることに!…いやー、わかっていましたがそうですよねと。まぁ諦(あきら)めるしかないと思っていました。
「今描き直してるからもう少し時間をちょうだい!」
まさかの一度描いたティンガティンガを消して、再度制作にかかってくれていた職人さん!マジですか~!!この事実を知りますます好きになるティンガティンガ。妥協(だきょう)せずに作り上げてくれるというその職人としての誇りに触れてもう感激です。ということで通常のものと大きく異なり手順が逆になる今回のティンガティンガ!作り直してくれるなら当然いつまでだって待ちます。
ココビーチ
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ということでやって来たのはティンガティンガ村から歩いて行けるダルエスサラームの人気スポットのココビーチです。都会のビーチなので案外閑散(かんさん)としているかと思いきや、近くに行くと声がバンバンかかります。キレイすぎず味のあるザ・海の家がいくつか並ぶココビーチ。海の男たちによる客引き合戦です。
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求めていたのはまさにこんな感じ!という地元感満載の海の家で、安いコーラ1本でのんびり過ごす時間はこれまた趣(おもむき)があって良きです。今日は金曜日ですがビーチは昼間から人で賑(にぎ)わいます。
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本当は今日スマホケースを受け取ったらそのまま国内移動を開始しようと思っていたので来る予定はなかったココビーチ。時間ができたのでたまたま訪れることができたというこういう偶然の出来事が旅する上では楽しいものです。そしてこれは偶然ではなく必然。今日はまだダルエスサラームでのんびりしなさいということなのかもしれません。
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海を眺めながら2時間ほど過ごしたところで、再びティンガティンガ村へ。するとそこに天日干しで乾燥させているスマホケースが!早く裏返した~いとなりますが、ここでしっかり乾かさないと大変なことになります。職人さんのオッケーが出るまで我慢です。そして待つこと30分。職人さんが手渡してくれたのが…
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コチラ!めっちゃイイ~!!世界に一つのティンガティンガのスマホケースが完成です!!想像以上の出来栄えにもう感動が止まりません。これから始まる毎日手元にティンガティンガのある生活。アートは心をワクワクさせてくれます!
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やはりアフリカで何かを買う時は特注でモノに思い出をプラスするのが個人的にオススメです。このティンガティンガを制作してくれたのはルーカスさん。「時間がかかったよ~」と言いながらも、要望を全てバッチリ形にしてくれました。本当にアサンテサーナ!最高のティンガティンガを手に入れました。いやー、ハッピー!!
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とにかく見ているだけで楽しすぎて、工房全体がカラフルな幸せで満たされているティンガティンガ村。その独特な絵の世界観に魅了(みりょう)されて、つい時間を忘れて作品鑑賞に夢中になってしまいます。この中には後日日本で展示される予定の作品もいくつかあるそうです。今日も次々と生み出される作品の数々。ダルエスサラームから世界に幸せと彩(いろどり)を届けるティンガティンガ村の職人さんたちでした!
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ティンガティンガケースをつけてさっそく気分が上がったところで、今日はもう無理に移動せずにダルエスサラームにステイすることに。そしてこの決断が正しかったとわかったのは翌日。私はまだタンザニアという国を理解しきれていなかったのでした。
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